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【Bellator】スコット・コーカーに訊く─02─「対抗戦? RIZINの選手にはもう少し強くなって貰わないと」

【写真】スコットの本来の来日目的について、今回は話を訊いております (C)NOB YASUMURA

27日(土)、東京都新宿区の東急歌舞伎町タワー正面でRIZINと共同会見を開いたスコット・コーカー・インタビューPart.02。

前回は禁断のBellator売却問題をスコットに直撃したが、第2弾は7月30日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナでRIZINとBELLATORの合同興行が決定した経緯について尋ねた。そして改めてスコット・コーカーへの日本の格闘技へ想い、尊敬心が語られ、またビターな指摘も聞かれた。

<スコット・コーカー・インタビューPart.01はコチラから>

その会見のために来日したスコット・コーカーから、会見前日に話を訊く機会が得られた。これからBellatorを知るうえで──今や至るところで聞かれるバイアコムのベラトール売却問題を避けて通ることはできなかった。


──今回の来日の目的であるRIZINとの合同興行、年末にはという空気感があるなかで7月30日に実現する。正直、これは意外でした。

「大晦日のショーは素晴らしかった。鳥肌モノだったよ。PRIDE、K-1の時代が思い出された。あのショーをBellatorのファイター、スタッフが体験できて、満足している。1990年代終盤から2000年代の最初に私が日本で経験したことを、彼も経験できた。RIZINグループが、どれだけのことをやってきたのを知らない世代が──日本の格闘技の底力に触れることができたんだ。結果、私のファイターが揃って日本で戦いたいと口にするようになった(笑)。

アルチュレタなんて、日本中を訪れていたしね(笑)。彼のマネージャーとコーチには。5月の試合が終わってまた1週間日本にいるアルチュレタをジムに連れ戻し、練習させるように伝えた。真面目な話だよ。それだけ彼は日本の人々、日本のカルチャーの虜になったということだけど、大きな試合が控えているのでいつまでも観光気分でいるのは困る。

今回、このタイミングになったのはサカキバラに今ならAJ✖パトリッキーを組めるけど、どうするかと持ち掛けたからなんだ。まだ、この試合はどこで組むのか確定しておらず、日本のファンも絶対に見たいはずだからと。RIZINのビッグショーでBELLATORの試合を組み、ファンはどちらも楽しめることになるしね」

──対抗戦ではなく、ベラトールはベラトールで実施されるOne day Two events方式になることも驚きでした。

「対抗戦はハッキリと結果が出た。正直に言えば、RIZINの選手に時間を与えないといけない。もう少し強くなって貰わないと対抗戦はできない。ベラトールのファイターはワールドベストだから。何もサカキバラのファイターを尊敬していないわけじゃない。そこは分かって欲しい。私だってまた対抗戦がやりたいが、RIZINが負け続けるのは良くない。それにベラトールからBグループのファイターを用意しても──いや、実際にそういう提案をサカキバラにしたんだ」

──ハイ。

「彼はベラトールのファイターではなく、ベラトールのトップファイターを用意してほしいと言った。そうでないとファンの要望に応えることにならない。加えて日本のファイターに米国で戦う機会を増やして欲しいという話もあった。でも、そこも彼らがもう少し力をつけないといけない。私は日本のMMAを応援している。だから形を変えて……ベラトールのショーを持ちこむことに決めたんだよ」

──ベストファイターが見たいけど、日本の敗北が続くのはビジネスとして正しいともいえないですしね。

「今回はこの形がベストだろう。結果として日本のMMAが盛り上がれば……。そのことは私はずっと……2014年頃から思っていたことで、日本のMMAが正常化するのを待っていた。今、再び日本のMMAはヘルシーになったから、私もこうやって堂々と力を入れることができる。それが凄く嬉しいんだよ」

──日本のMMAファンもスコットの想いが伝わり、本当に感謝しているはずです。ところで7月30日のベラトールの試合は米国のプライムタイム、日本では午前中に行われるということでしょうか。

「詳細はこれから決まる。大晦日のショーは録画中継になった。米国の早朝にライブ中継するのは良いアイデアではなかったからね。米国のTV、世界中の中継パートナーとこれから話をつめることになる。とにかくAJとパトリッキーが戦う。それが重要なことだから。それにホリグチとタカハシ(神龍誠)のフライ級王座決定戦もある。初代王座を5分5Rで争う。

そしてカナ・ワタナベは〇〇〇〇と戦う。今、君のインタビューが始まる直前に決まったばかりだ。外部の人間には話すのは初めてだよ(笑)。明日の会見で発表する。レッツゴー(※会見では渡辺華奈の発表のみだったので、対戦相手については伏字にしておきます)。それと〇〇〇〇〇と〇〇〇〇のウェルター級の試合も組まれる。発表は来週の中頃になると思うけど、君のサイトで発表したければしても構わないよ(※と有難い言葉を頂いたのですが、正式発表に合わせることにします)。良い次第だろう?」

──これはコア層が喜びますね。

「もう1試合、計5試合を予定している」

──そしてケージのベラトールが終わって、リングのRIZINが始まるという流れですね。

「イタリア大会で使ったフライ方式を覚えているかい?」

──はい。ケージが会場天井部に吊り下げられる方式ですね。

「そうだ。米国でも使ったよ。イタリアのチームに『キックボクシングも大好きだから、MMAとキックの2つのルールをそれぞれ組みたい』と要請して、あの装置を創ってもらった。信じられなかった。リングとケージを並べた時は、どうしても向う側の試合が見えないという状態だったからね。彼らは天才だよ(笑)。リングからケージ、ケージからリング──自在に変化する。必要な時間は20分だ」

──たったそれだけで!!

「この入れ替えを見るのも一つのアトラクションになるはずだ。25分──かな。イタリアから日本に運ぶ手配をしている。だからケージでBellatorの最高のショーが終ってから、RIZINの素晴らしいイベントが堪能できる。ミクル・アサクラとヴガール・ケラモフ、そしてフアン・アルチュレタ✖カイ・アサクラ──グレートファイトだ!!」

──そんな装置を創って、しかも輸送するのだから資本が必要になってきますね(笑)。

「それは十分にある。今後、資本を増やす分は、ファイターや人員、スタッフのためだ。スタッフの増員、デジタル面により力をいれるので、そこに資金が必要になってくる。デジタルに関して、積極的に展開していくつもりだ」

──ところでAJ✖パトリッキーの開催地が未定だったのは? 米国で彼らの試合を組み込むことが理想かとは思うのですが。

「この試合はLAで組むつもりだった。それがバスケットボールの試合で既に予定が埋まっていて会場を抑えることができなかったんだ。なら日本で組みたいということになったんだよ」

<この項、続く>

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