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【Bellator】7/30 RIZINと再合体。スコット・コーカーに訊く─01─「バイアコムはベラトールを売却しない」

【写真】買収問題に関して、話せる範囲だろうが話してくれたスコット。ただし、某柏木信吾さんに「別れる時に『じゃあ明日会見で』と伝えると、『Road to UFCを視聴するから来られない』と言っていたぞ。どういうヤツだ!!」とこぼしていたそうです……ゴメンなさい (C)MMAPLANET

27日(土)、東京都新宿区の東急歌舞伎町タワー正面で7月30日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで行われるRIZINとBELLATORの合同興行に関しての会見に出席したスコット・コーカー。

その会見のために来日したスコット・コーカーから、会見前夜にインタビューの機会が得られた。これからのBellatorを知るうえで──今や至るところで聞かれるバイアコムのベラトール売却問題をスルーすることは決してできなかった。


──スコット、昨年の大晦日ショーの会見以来になりますが、なんだか血色も良くお元気そうですね。

「ありがとう。いや実はパリ大会の後、スコットランドで4日間だけどバケーションが取れてね。ゴルフを楽しんできたんだ」

──おお、スコットといえばやはりゴルフです。しかもスコットランドでゴルフとなると米国や日本のようや人工的なコースではなく、リンクスが思い浮かびます。

「実はセントアンドリュースでプレイしてきたんだ」

──ホーム・オブ・マーシャルアーツ……ではなく、ホーム・オブ・ゴルフ!!

「そう、神がデザインしたゴルフコースだよ(笑)。オールドコースでプレイできてね。500年近い歴史を持つコースだけど、ニューコース、キャッスルコースでもプレイしてきた。本当に満喫できたよ。風もなく、雨も降らなかったし」

──信じられないんです。それは凄いです!!

「普通のリゾートコースはチャレンジングで、ひたすら楽しめる。でも、セントアンドリュースは違う。タフだよ。そしても、もっと楽しめるんだ(笑)」

──そんな楽しい日々を終え、また多忙な日々を送られていると思いますが、時間をいただきありがとうございます。

「とんでもない。いつでも時間を空けるよ」

──ただ今回のインタビューでは、回答は控えたいNGな質問があるなら最初に仰ってください。

「構わないよ。何でも尋ねたいことは尋ねてくれ」

──ありがとうございます。火のない所に煙は立たぬと言われますが、今年に入ってからBellator周辺にはきな臭ない噂が流れてきます。親会社のバイアコムがBellatorを売りに出す。最近では、その交渉相手がPFLやONEだという実名も聞かれるようになってきました。

「そうだね。そういう話が出回っている。うん、その質問に関してノーコメントということはしない。私はその問いに答えることができるから。過去5年、Bellatorを手にしたいという話は毎年のようにバイアコムに舞い込んで来ていた。そして、我々は毎年、『ノー』と返答してきたんだ。Bellatorの運営を続けるとバイアコムは言い続けてきた。

今年に関しては、Bellatorに投資したいところとは話を聞くようにすることになった。ただし売却するのではない。資金調達ができるかどうかだ、ファイナンシャル・パートナーとして。ONEにはどれだけのファイナンシャル・パートナーがいる? PFL、UFCはどうだろうか。バイアコムはこれまで、そういうパートナーを持たずにBellatorを運営してきたんだ」

──自己資金で経営しているといことですね。

「その通りだ。つまりはそういうことだよ。パートナーが見つかれば、Bellatorの成長はスピードアップする。ビジネス展開も広がりを見せることができるだろう。バイアコムはBellatorを手放そうとはしていない。彼らは堅実にビジネスをしてきた。資本が増えれば、ビジネスも変わる。今、MMAビジネスとはそういう時代を迎えているんだ」

──Bellatorの集客やイベント展開はPFLより規模が大きいですが、PFLは資本家や投資家の参入が際立っているように感じます。

「皆が自分たちのやり方を持っている。そして、皆がビジネスの押し進め方を学びながら前に進んでいるんだ。資本家や投資家が、MMAビジネスに興味を持ち参入するのは良いことだ。そして、ディールを結ぶには時間が掛かる。皆が学んでいる状態なんだよ。PFLもそうだけど、学習にするにも時間と対価が掛かるんだよ。

資本家や投資家が参入すれば、Bellatorの成長はテンポが早まる。総資本が増えるわけだからね。でもBellatorはPFLとは別モノだ。ライトヘビー級には世界最高の選手が揃っている。ワジム・ネムコフはUFC王者を倒せると私は思っている。

ジェニー・エブレンは間違いなくUFCミドル級チャンピオンを倒せる。ウェルター級のヤーソラフ・アモソフは無敗のチャンピオンだ。複数の世界レベルのファイターがベラトールにはいる。今すぐUFCと対抗戦を戦っても、十分にやりあえる。それだけの選手が揃っている。

そんな彼らのファイトマネーは高額だ(笑)。もし世界最強をぶっ飛ばしたいなら……UFCに勝ちたいなら、それだけ強くて高額なファイトマネーを支払う必要のあるファイターが必要になる。だから会社は資本が必要になる。Bellatorは世界のベストファイターの創造の仕方を知っている。世界のベストファイターが戦う場を生み続けるには、それだけの元手が必要になるんだよ」

──キャピタリストやインベスターと話をするという姿勢があるなかで、PFLやONEといる競合プロモ―ションの名前が挙がったことで事態はややこしくなったのかと思います。そして皆が色めき立つような空気となりました。これがフォードやモンスターエナジー、ナイキならそのような空気にはならなかった。

「話し相手は、スポンサーではないからね」

──なるほど、そうですね。資本家ということで。

「MMAには世界中で4億人に及ぶファンが存在している。UFCは年間40大会だ。我々は18大会、RIZINは18大会、ONEは13大会ぐらいかな。4つのプロモーションの合計が100大会にも及ばない。PFLは10大会ぐらいかな? 世界中でビッグプロモーションのイベントはこれだけしか行われていないんだ。

サッカーや野球と比較して、どれだけ少ないのか。サッカーなんて数千試合が世界中で開催されている。まだまだMMAは、コンテンツを必要としている。もっとLIVEショーが人々の前で開かれるべき潜在能力が備わっている。MMAには素晴しい未来が待っているんだ」

──今でも世界有数の規模を欧州と北米にサーキットを持つBellatorが、さらに大きくなるための資本が必要でということですね。

「そうだ。ずっと成長しないといけないからね。私は1985年からキックのプロモーションを始めた。最初はスポンサーもTVもなく、観客は2000人だった。キックだけのフィーダーショーだ。この仕事を37年間やってきて、今も選手の頑張りをどの大会でも目にするのが楽しくてしょうがないんだ」

──いかにもスコットらしいです。我々もMMAがUFC一色になるのは困ります。UFCにはUFCの色があって、ONEにはONEの味がある。そしてBellatorにはBellatorの世界観があります。それぞれの違いがあり、UFC一色でないからMMAは楽しい。

「もちろん、その通りだよ。世界を見渡しても、米国発で世界中に広まっているMMAはUFCとBellatorだけだ。世界のベストファイターがUFCにはいて、我々にもいる。ONEが初めて米国大会を開き、米国市場に進出してきた。素晴しいことだ。祝福するよ。ただし、我々と肩を並べるには10年間、継続的に活動してからだ」

──確かに、継続できるのか。そこが大切になってきますね。

「PFLもそうだ。生き残りを賭けて、独自路線を模索し続けている。金も時間も掛かることをやっている。つまり、それがファイトビジネスということなんだよ」

<この項、続く

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