この星の格闘技を追いかける

『あれ、こっちなんですか』=「あっちじゃないんですか?」。ハイ、こっちなんです――のわけ

【写真】結果はいざしらず、彼らの試合が見たかったのです(C)MMAPLANET

「こっちなんですか?」。昨日、176BOXで行われたGladiator021で何度か、こう話しかけられた。つまり「あっちに行っていないのですか?」という疑問だ。あっちとはニューピアで開催されたPancraseを指している。

大会がバッティングすることはままあり、どこの取材に行き、どこに他のカメラマンや記者の人に仕事を依頼するのか。その答えは自分のなかにはもう明白に存在しているが、やはり悩ましい問題だ。

MMAPLANETとして取材をさせてもらうなら、自分が行こうが他の人に足を運んでもらおうが関係ないと思ってはいても、それすらかなわないケースも出てくる。

まさに昨日のパンクラスがそうだった。自分がどこに行くのか。これはもう本当に申し訳ないが、一番見たいと思うところとコスト、そして速報のスケジュールで決まってくる。

「広告が出ているところが優先だろう」と指摘されるかもしれないが、これは決してそうではない。その当たり前のことができないことも幾度となくあった。ここがMMAPLANETの良いところであり、ダメなところでもある。そして、そのことを理解して広告を出してくださる方々には、感謝の気持ちしかない。

昨日、自分がグラジを選択したのはフィリピンとモンゴルの選手と広島、名張、津を拠点にする日本人選手の試合をライブで見て、写真に収めたかったからだ。プログレスのグラップリングも同様だ。

そのための来阪だが、いつ大阪に向かうのかもこれはこれで問題だった。結論として、金曜日の夕方に大阪入りした。

金曜日の夜にはONE FFで狩野優選手の試合があった。土曜日の朝はONE FN、昼と夜にDEEP。日曜日は早朝からUFC、そして昼にはグラジがスタートするからだ。

計量会場まで自転車で20分程度の場所に滞在しているにもかかわらず、その取材は亀池君に任せた。ONEの終了、DEEPの開始時間、速報の試合レポート費&撮影代、計量のレポート費用を考えたうえでの――せこい判断だ。

パンクラスもDEEP同様に小久保さんに撮影をお願いしていたが、オフィシャルの仕事が他にあったので――ここは断念せざるをえなかった。

土曜日の昼、自分は大阪の宿泊先、亀池君がグラジの計量会場、小久保さんがDEEPのイベント会場。日曜日は自分がグラジのイベント会場、亀池君が作業場からUFCのメイン~グラジ、パンクラスと速報をしてくれる。それが、この2日間のMMAPLANETの陣形だった。

雑誌が10人近い編集部員&フリーという体制で取材ができていた時代は、一つの媒体で全てをフォローできた。いまや雑誌にその資金力はなく、自分で屋号を持ったサイトが個々の取材をしている状況なので、単独媒体で全てをフォローできない。結果、記事なる大会と記事にならない大会の格差が相当に広がる。何かを育てる余裕が、専門媒体にない。そんな時代になって久しい。その一方で、配信を視聴して、試合レポートを作成できることで体裁だけは整えている。

自分が取材したいもの、掲載したいものを優先するのか。取材できるもの、取材すべきものをするのか、それは媒体ごとの判断になる。メディアとは何なのか、専門媒体とは何なのか。メディアという体裁を整えるのか、メディアとして何かを追求するのか。そんななかで、かなり勝手にやらせてもらっているのがMMAPLANETだ。

昨日、自分は豊中にいた。重ねていうがフィリピン人とモンゴル人ファイターが、首都圏在住でない選手と戦う試合が見たかったからだ。そして、これから名古屋で取材をし帰京するのにも都合が良かった。

つまりはそういうことで、長々とパンクラスの現場にいなかったことを――坂本靖さんに説明をさせてもらった次第です。靖さん、4月30日の大会はプレビューからしっかりとやらせていただきますのでご容赦ください。

2023年3月27日、高島学


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