【ONE FN08】ハム・ソヒ、平田樹にかける言葉─02─「試合が終わって、平田選手の友達になりたいです」
【写真】トラッシュトークではないので。そこは理解いただきたいです(C)TSUTOMU SHIIKI/TSP
25日(土・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE Fight Night08に平田樹と対戦するハム・ソヒ・インタビュー後編。
ABEMA格闘ChとMMAPLANETの共同取材で、ハム・ソヒは平田樹への想いを赤裸々に吐露した。字面だけ見れば、平田樹のことを忌み嫌っているように受け取られたかもしれない。そうではない。
ハム・ソヒはプロファイターとしてのけじめ、人としての常識を平田──このスポーツの先人として理解してほしい。その素直な感情を嘘偽りなく、言葉にしてくれただけだ。
<ハム・ソヒ・インタビューPart.01はコチラから>
──平田選手は日本のMMA界では過去に例のないキャリアの積み方をしている選手です。アマチュア時代からリアリティTVショーに出て、そのままONEと契約。常にカメラが周囲にあり、いつも誰かの目がある。結果、自分の見られ方を気にせざるを得ない。そのことで利益を享受することも当然多いですが、何か失っているモノもあるように感じます。
「それは悲しいことですね。同情してしまいます。模範となる選手、色々と教えてくれる先輩がいないのは本当に大変でしょう。それはよく分かります。でも同時に常識って、自分の生きていく中で身に付けていくもので。人はそういうものは自然と学んでいくものです。皆が皆、先輩や先生に導いてもらえるものじゃない。誰もがロールモデルがいるわけじゃないです。
底辺からスターになる人もいますよね。その人達って礼儀や常識を自然と身に付けているかと思います。誰も何も教えてくれなくても、それは自分が生きていくなかで自然に学んでいくものです。
計量に失敗して謝罪することは、常識です。人としてのマナー、人としてあの場で謝罪することは、成長するなかで身に付いていて然りだと思います。正直、彼女のことに関しては友人や知り合いの選手、ジム関係者から色々と話を聞いています。彼女は自分が世界の中心にいるかのように思っている、と。全ては自分のために動いている。そんな考え方をしているって。彼女はスターで、自分のことしか考えないと」
──う~ん、自分などは同じぐらいの娘がいるので「大変だなぁ」と思ってばかりです。それでも取材後など、ちらりと素を見せることもあって。インタビューでも『同じ世代の同性の友人がいることが大切で。彼氏はその時々で、創れるから』というような……自分の娘に話すような感じで、取材中に友人関係とか尋ねてしまうこともありました(笑)。
「フフフフ。最初に尋ねられた──なぜ私がキャッチウェイトを受けなかったのかという質問に対し、それは彼女のためにでもあると答えましたよね」
──ハイ。
「そのことで彼女に学んでほしいからです。もう2度、あんなことをしないように。それも私がキャッチウェイトを飲まなかった理由の一つです。それが彼女のためになると思ったんです。だから平田選手に伝えてください。この試合が終わって、友達が欲しいと思っているなら、私が彼女の友達になります」
──えっ?
「私は真剣ですよ。本気で言っています。私は平田選手の友達になりたいです。私は彼女より先にMMAをやってきました。だから、彼女の先輩になりたい。先輩として、彼女を導いてあげたい。そしてこの世界の常識、人として必要なものを彼女に知って欲しい。そのために本当の友達になりたいと思っています。
私は彼女の成功を願っています。だからこそ11月にあったことに関して、彼女は常識を身に付けるうえでしっかりと心に受け止めてほしいです」
──……今回の試合、まず計量を彼女がパスできるのか。そこがまずに気になるかと思います。本来は対戦相手の計量のことなど気にする必要はないのですが、試合以外に気になることがあるとファイトに集中できないということはないですか。
「平田選手は、既にこういうことを以前から経験してきました。人として、本当のアスリートとして今回は絶対に計量、ハイドレーションをパスしないといけない。それは絶対です。でも私がそこを気にすることはないです。体重もハイドレーションも彼女はパスするしかないんで。その他のオプションは何一つないです。彼女は計量をパスしないといけない。それだけです。
だから私は100パーセント、ファイトに集中できています。体重とハイドレーションは、全て平田選手の責任においてクリアしないといけない。人として、本物の選手として計量をパスするしかない。それ以外、何も選択肢はないですから」
──押忍。その通りですね。では最後にガラリと質問を変えさせてください。妹分のパク・シウ選手がコロナ禍の2年程を日本で過ごし、DEEPとRIZINで戦ってきました。そして大晦日の伊澤星花選手との試合は、論議を呼ぶ判定負けでした。その後、年齢のネックもあり彼女の望むUFCとの契約も上手く進まないという話も伺いました。今、パク・シウ選手にはどのようなアドバイスをしてあげることができますか。
「彼女は既に素晴らしい選手であり、人としても凄く立派です。絶対に明るい未来が待っています。あの判定は、凄く疑問が残るモノではありました。でも、プロのアスリートはどのような裁定にも従う、受け入れる必要があります。それがプロです。今、彼女はUFCで戦うことはできていませんが、何もこの世の終わりということではないので。
これまで通り、厳しい練習を続け、今のまま立派な姿勢を持ち続ければ──彼女はどこに行こうが、明るく、ポジティブな将来が待っています。絶対に──。だから私が彼女に言えることは……。そうですね、『このまま、前を向いて進もう。そんなに深く考えないで。自分らしく生きていけば良い。これ以上ないぐらい、ちゃんとやっているんだから』ということだけですね」