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【DEEP108】この時期にTDCホールの真意、佐伯繁代表─01─「〇百万円ほど演出に力を入れています」

【写真】昨年2月のDEEP100以来、1年5カ月振りのTDCホール大会となる(C)MMAPLANET

10日(日)、東京都文京区のTDCホールでDEEP108が開催される。7月は修斗が大阪大会と後楽園ホール大会、パンクラスが高田の馬場、RIZINが沖縄とさいたまと2つのイベントを開くなか、後楽園でもニューピアでもなくTDCホールという箱をDEEPは選択した。

なぜ、このタイミングでTDCなのか──を佐伯繁代表に尋ね、見所、注目カードが決定した背景とこれからについて尋ねた。

そこにDEEPの「今」──が見られるTDCホール大会だ。


──RIZIN沖縄大会の直前(※取材は7月1日に行われた)のお忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。

「いえいえいえ」

──10日に昨年の2月以来のTDCホール大会があります。RIZINが1カ月で2大会あるタイミングでTDCホールという大箱で大会開催、いつ頃からその腹積もりだったのでしょうか。

「まぁ、ぶっちゃけていうとウチもパンクラスも修斗もスケジュールは早めに出ていると思います。基本は1年前から会場を抑えるわけじゃないですか。知っての通り、後楽園ホールなんて9月には翌年のスケジュールを抑えないといけない。そこにRIZINのスケジュールが入って来る。そこでいえばDEEPとしては7月の3日も大会をやるよう定で、それから1週間で10日のTDCを予定していました」

──ただし、THE MATCHの開催でRIZIN沖縄大会が7月3日にリスケされたので、3日の大会は取りやめたと。それにしても、佐伯さんとしては3日と10日に連続で大会を開くつもりではいたのですね。

「ハイ。実は10日のTDCに関しては、ちょっと趣向の変わったイベントにしたいと思っていたんですよ」

──趣向を変えるとは?

「音楽とのコラボとか難しいので、ちょっと演出面を変えて。実際、LDEスクリーンとか使って〇百万円ほど演出に力を入れています」

──えっ、〇百万円!!

「だからナンバーシリーズでやるつもりじゃなかったんですよ。それが3日のナンバーシリーズからスライドしてきたカードを組んだ……というのはあります。どういう試合を組んでいくのかとプランがあって、10日のTDCホールを抑えたわけではなかったんですよ。8月21日にも後楽園ホール大会がありますし……だからこそ、このタイミングでは趣向を凝らした形でTDC大会を開こうという考えは去年からありました。TDCホールって、今も2年先まで空いていない会場なんですよ。それが人を介して抑えることができたのだから、特別なことをするつもりでした。たまたま巡ってきた機会なので」

──たまたま、計画性を持っていたわけではなかったのですね。

「僕として今は意識してDEEPをTDCホールや大田区総合体育館でやろうというのはないです」

──それがリスケの影響で、趣向を凝らすよりも従来のナンバーシリーズとして組むべき試合を組んでいった大会になるというわけですね。

「そういうことですね。正直、準備もそこまでできなかったですし。まぁJEWELSをTDCで仕掛けるっていうアイデアはありだと思いますよ。それが予定外にフライ級でトーナメントをやって、やり切っちゃった状態ですよね(笑)」

──予定外(笑)。

「杉山(しずか)さんと中井りんさんの試合もありましたしね。ただ、RIZINが女子スーパーアトム級のトーナメントをやるって榊原社長が公言したので、ならチャンピオンの伊澤(星花)さん、大島(沙緒里)さんはそっちだろうと。パク・シウ選手だって、そうなるでしょう。なら、ここではJEWELSで仕掛けるタイミングではないですよね」

──何もかも流動的ななかで、DEEP内で今が見られる見所の多い対戦カードが並んだのではないでしょうか。なんかさいたまスーパーアリーナ大会を思い出します。

「アハハハハ。それはどうなのか……さっきも言った中井りんさんと杉山さん、神龍誠選手と藤田大和選手の統一戦のように温められてきたモノをやっちゃっていますからね。だから、物足りなさはあります。それでも今年はナンバーシリーズ以外の大会を7回ぐらい開くことになって若い選手が育ち、上の選手が落ちてきたというのもあります。その結果、有難いことに試合で出られる選手が多い状態です」

──なるほど温めるというのではなく、勝ち上がったり、インパクトを残した選手をぶつけるという手法で試合は組めると。

「そうなんですよ。だから良いカードは組めているとは思いますけど、時間を掛けて温められたカードではなく特別感という部分ではもう一押ししたかったです。僕的には考えられる余裕があった方が面白いんですよ、なんか」

──だからこそ、今のDEEPが分かるカード編成かと。

「そういうなかでいえばプロモーターとしてTDCは17試合ぐらい組まないと採算は合わないというのはあるんですよ。でも、次のことを考えないといけないのとRIZINに出る選手もいますし、そこはバランスを取りながらカードを組みました」

──新顔の参入として森山壱政の欠場は残念ですが、第2試合で泉武志✖野村駿太のライト級戦が、いきなり目を引きます。

「泉選手は半年以上前から話はしていて、タイミング的にTRIGGERでグラント・ボクダノフとの試合が決まりました。そういう意味では野村選手も武田君が返上したベルトを狙うという……レスラー✖空手家の異色のカードですね。フューチャーキングトーナメントで優勝し、今大会で山本有人選手と戦う濱口奏琉選手も極真の高校生の少年の部で結果を残している逸材で、まだ大学2年生ですけどレスリングもやっています(大阪体育大学。去年の西日本学生新人選手権グレコ63キロ優勝)。

先日の新宿フェイス大会でデビューした五明宏人選手も空手の全日本王者(※2019年全日本空手道選手権個人戦優勝。2016年全空連ナショナルメンバー世界大会出場)とか。今の時代に空手ベースの選手が上がってくるのが、面白いですよね。毎年、FKTをやればそれだけ強い選手が出てきます。そのなかで濱口選手と五明選手は抜けていました。

野村選手の場合はGRACHANで戦ってきて、新人の割には強い──MMAに順応しているということを聞きます。そこで泉選手に『やらない』という選択はないです。ライジンでデビューしているのでもう少し名前がある選手の方がという気持ちはあるでしょうが、そこは同じ経験が少ない者同士でやるしかない。

なんせ若くて良い選手は多いけど、抜けている選手もいないんですよ。戦績的には皆、黒星があるという状況で彼らがどうなるのか」

──それは佐伯さんが、そういう選手をぶつけているからじゃないですか(笑)。

「アハハハハ。そう簡単には、上にいけないですよ!!」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
7月10日(日)
午後2時30分~SPWN PPV
午後2時30分~ニコニコ生放送

■ DEEP108対戦カード

<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者] 大原樹理(日本)
[挑戦者] 石塚雄馬(日本)

<ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
上迫博仁(日本)

<フェザー級/5分3R>
中村大介(日本)
ユータ&ロック(日本)

<バンタム級/5分2R>
渡部修斗(日本)
内山拓真(日本)

<フライ級/5分2R>
本田良介(日本)
杉山廣平(日本)

<女子ストロー級/5分2R>
ケイト・ロータス(日本)
ARAMI(日本)

<メガトン級/5分2R>
赤沢幸典(日本)
アンディコング(日本)

<バンタム級/5分2R>
雅駿介(日本)
海飛(日本)

<フライ級/5分2R>
原虎徹(日本)
風我(日本)

<バンタム級/5分2R>
山本有人(日本)
濱口奏琉(日本)

<ライト級/5分2R>
泉武志(日本)
野村駿太(日本)

<フェザー級/5分2R>
劉獅(日本)
鷹辰(日本)

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