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【POUNDSTORM01】世界に立ち向かうJ-MMAファイター(01)中村倫也「PRIDEを再現し、世界へ行きます」

【写真】3戦目で修斗ブラジル王者と対戦。ここで勝てば、一気に勢いがつくことは絶対だが……怖い一戦といえる(C)MMAPLANET

24日(日)、東京都墨田区の両国国技館で開催されるPOUNDSTORM01。そのメインでアリアンドロ・カエタノと中村倫也が対戦する。LDHのアーティストのライブと合体イベントとはいえ、あくまでも主役はMMAファイターというなかで、キャリア3戦目の中村のメインを戦うことはJ-MMAの歴史のなかでも異例だ。

キャリア23勝6敗1分、修斗ブラジル・スーパーバンタム級(※63.5キロ)王座を獲得しているカエタノを相手に、世界に向けて助走、飛翔となるか。

2022年、春~世界に立ち向かうJ-MMAファイター特集~。第1弾は、最速で世界を目指す中村倫也に話を訊いた。


──会見が終わり、カエタノというキャリア30戦の修斗ブラジル王者との対戦が発表されました。

「大会の規模どうこうよりも、対戦相手のことしか考えられないです。実は会見では何を話そうか決めていたのですが、直前に対戦相手の試合映像が流れると……もう、そっちの方に気持ちが向かってしまって(苦笑)。いざマイクを向けられると、カァっとなっていました(笑)」

──プロ3戦目ですが、MMAが日本国内でどのように行われてきたかをずっと見てきた倫也選手です。HIROさんの『LDH martial artsを通じて選手の皆さん、ご家族の皆さん、関係者の方とか本当にたくさんの人と僕らも出会うことができています。そういう方々が笑顔になり、幸せにある仕組みを絶対に創っていきたい』という言葉をどのように受け止めましたか。

「本当に……嬉しいです。子供の頃からという部分では、自分ほど身近に格闘技を見てきて、肌感覚で格闘技界を分かっている同世代はいないと思っています。そういうなかでHIROさんが言ってくださったことは、あらゆる面で嬉しかったです。『格闘技が主役で』という言葉も、胸に響きました。

正直、2年前にLDH martial artsに所属するにあたって、否定的な声がなかったわけじゃないです。でも、ああいう風に言っていただけるとLDH martial artsに所属し、EXFIGHTで練習してきて良かったと思いました。実際、こういう相手を用意してもらったわけですし」

──ではカエタノという選手について、どのような印象を持っていますか。

「分かりやすくイメージするなら、クレベル・コイケ選手を連想してもらえればと思います。足を出して、テイクダウン・ディフェンスをせずに狙ってくる。向うの感覚では『相手はキャリアの浅いレスラーだ。ならギロチンだろう』というイメージでいると思います(笑)」

──修斗ブラジルのスーパーバンタム級王者、その王座があることを知らなかったですが、修斗ブラジルといえばブラジルMMA界の登竜門です。

「力があって当然ですよね。ただし、肩書はそれほど気にしていないです。試合映像を視た印象としては寝技の技術は勿論ですが、そこがあるので荒々しい打撃を思い切り出すことができています。

それを被弾しないように、癖や特徴を捉えて戦います。攻略できない相手だとは、全然思っていないです」

──日本人相手に戦うと倫也選手は、十分に野生的なのですが……ブラジル人ファイター、やはり野生度数が違うかと。

「そうですね。やっとMMA IQを使って戦える相手だと思います(笑)」

──漬けて勝つ、MMAファイターとして必要な部分として理解しています。とはいえPOUNDSTORMのメインです。そうなった時にこれまでのように「自分が強くなりたい」という欲望のままのファイトなのか、「イベントを盛り上げたい」という気持ちが出てくるのか。

「何も変わらないです。その辺りを意識することはないです。大会を盛り上げたいという気持ちが強くなりたいという想いよりも強くなると、POUNDSTORMを創ってくださった人達の期待に応えられなくなります。HIROさんが『夢を叶えろ』と言って、髙谷さんや岡見さんを巻き込んで与えてくれた場なので。夢を叶えるための試合、そのつもりで臨みます。クリアすれば、夢に近づく幅が大きい相手ですからね。

と同時に僕らが目指すのは世界に通用するファイターになって、日本のMMAを盛り上げること。なら大きな箱で、大歓声のなかで戦うというのも僕のやりたかったことです。それが叶えば、悔いなく日本を発つことができます。だから……POUNDSTORMでPRIDEを再現したい。そして世界へ行きます」

──これまでの2年、中村倫也という選手に関して出稽古先から『極めましたよ』、『いうほどじゃない』という声が届かなかったわけではないです。デビュー後、この2試合の勝ちっぷりは凄まじのですが、それでもなお『じゃあ、どこまでなんだ?』という疑問の声もあります。

「練習でやられて、勿論悔しかったです。それにここまでの試合を通して実戦経験がそれほど積めてないのも事実です。そういう風に言われることはしょうがないと自分でも理解しています。でも髙谷さんと岡見さんは、過去の試合だけを見てカエタノ戦を組んだのではなくて、僕の練習内容だったり、取り組み方を見て行けると思って組んでくれているわけですし。やっぱり一番近くて見てくれている人の言葉を信じてやるだけです」

──レスラーがテイクダウンしてきたらギロチンだよって、簡単に考えられるような日々は送っていないと。

「世界に発信できる試合だと思っています。米国も含めて。プロ3戦目で、こんなことができる選手が日本にいることを世界に向けて発信できれば、僕だけでなく日本の格闘技界の追い風になると思っています。日本のMMAが見直されるきっかけになる。ネクスト堀口恭司が来る──みたいな。そこを見せたいです。この試合をクリアすれば、もっと大きな舞台が待っていると思います」

──それはズバリ、以前から口にしていたコンテンダーシリーズからUFCへということですね。長くて2年以内と年頭に話していました。

「僕が考えているよりも、スピード感がある。そんな風にモノゴトが動いています。だからこそ、そのスピードに置いて行かれない……それだけの努力をして、以前より練習の質も努力自体の質も上がってきています。置いていかれる気はしていないです」

──正直、コンテンダーシリーズ出場の機会があれば勝ち星と契約の可能性は決して低くないと思っています。ただし、そこからUFCで生き残るのは困難。急ぎすぎなくても良いという気もします。

「そうっスね。そうなってみないと分からないですけど……」

──今、ロニー・ローレンスと対峙する自分を想像できますか。

「ハイ。逆にそこに合わせていかないとダメだと思っているので。色々と考えていたことを一度、全部崩して最速のスピードで進んでいかないといけない。そうですね、カエタノ戦まで来ることがデキたので……。過去何試合戦って、何勝しているとか関係ない。そんなことは関係ないという気持ちです。

この試合、この舞台を踏み台にします。まさに看板選手として、経験豊かな世界レベルの選手とメインで戦い──その世界に一歩近づけるか。分岐点となる試合なので絶対に落とせないです。そして、勝利、世界へ行くという気持ちは僕の方が絶対に強いので、そこを見せて格闘DEREAMERSのシーズン1と同様にPOUNDSTORMを良い締めくくりにするだけです」

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