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【DEEP JEWELS36】フライ級GP2022参戦、杉山しずか―01―「期待されていた自覚もなくて……」

【写真】天性の華やかさに本人は、本人は気づいていなかったのか!! (C)SHOJIRO KAMEIKE

13日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS36でフライ級GP2022が開幕する。2月8日にはGP1回戦の抽選会が行われ、1回戦で杉山しずかがミッコ・ニルバーナと対戦することが決定した。
Text by Shojiro Kameike

今大会のポスターにはGP出場選手の顔写真が掲載されているが、その中でも杉山がポスターの中央で、かつ全身写真が使われている。一方で、今回のGPには日本女子フライ級トップファイターの1人、中井りんもエントリーしている。まさしく日本女子フライ級のトップを決める戦いを前に、杉山しずかが現在の想いを語ってくれた。


――試合を1週間後に控えてのインタビューとなります(※取材は3月5日に行われた)。現在の調子はいかがですか。

「調子は良いですね。今は練習仲間にレスリング全日本クラスの選手もいて、組みのレベルも上がってきています。ただ、しばらく試合をしていないという不安はなくはないんですけど……」

――杉山選手にとっては昨年2月の栗山葵戦(1R TKO勝ち)以来、1年1カ月ぶりの試合となります。前戦からこれだけブランクが空いたのは、コロナ禍の影響もあったのでしょうか。

「それもありますけど、私生活でも忙しい時期で、なかなか練習の予定が組めなかったんです。去年はK太郎さんのジム(UNITED GYM TOKYO)がオープンしたこともあったし、試合のオファーは頂いても、状況的に受けられないということが続きました」

――そんななかで今回のフライ級GPのオファーが来た時は……。

「最初にGP開催のお話を聞いた時点では、今のままだとオファーを断るかもしれない、と伝えました。ずっと練習の予定を組むことができていなかったので」

――しかし今年1月末に、フライ級GPの開催が発表され、出場メンバーの中に杉山選手の名前がありました。GP出場のオファーを受けたのは、何か理由があったのでしょうか。

「佐伯(繁DEEP代表)やDEEPのスタッフさんから、出てほしいと言われたのが一番大きかったですね。それで練習できる環境が整ってから、佐伯さんに返事をしました」

――練習できる環境を整えるためには、どのようなことが関わってきたのですか。

「まず大会が開催される日にちを聞いて、ジム(所属するリバーサルジム新宿Me,We)との確認はもちろん、あとはK太郎さんがその時期に試合のオファーがあるかどうか、ですね。いろいろと私生活でも変化がありましたし、そのあたりを判断してから決めました」

――杉山選手もK太郎選手と結婚し、今はお子さんもいます。ここ数年で自身の環境も大きく変化したのではないでしょうか。

「そうですね……もう結婚してから随分経つので、結婚前と比較するのも難しくなっていますけど(苦笑)。ただ、今はオファーをもらえるだけありがたい、って考えながら続けています」

――……。

「格闘技をやっていることに対して、意識も変わったんです。以前は自分が目立つことができれば良い、自分が楽しければ良いという考えを持っていました。でも今は、自分が動けるうちにDEEP JEWELSが盛り上がっていってほしいと思っています」

――「以前は自分が目立てればいい、自分が楽しければいい、という考えを持っていました」……この言葉を杉山選手自身の口から聞いたことが意外です。これまで杉山選手は、周囲からの期待をプレッシャーに感じたことはなかったのでしょうか。

「特にプレッシャーを感じてはいなかったです。期待されていた自覚もなくて……」

――え……杉山選手はプロデビュー当初、DEEPという冠がつく前のJEWELSで石岡沙織選手や長野美香選手とともに、プロモーター側からも推されていた印象が強いです。

「推されているっていうことも分かっていなかったです。だから、自覚がなかったんですよね。たとえば、よく大会の宣伝イベントに呼ばれることの意味も分かっていなくて」

――杉山選手はこれまでのMMA戦績が20勝6敗1分です。勝率もKOあるいは一本率も高いので当然かもしれませんが、これまで常に日本女子重量級のタイトル戦線やビッグマッチにも絡んできました。

「そうやってベルトに絡んだりできるのも、同じ階級に選手がいないからだと思っていたり……。だからそれが大事な試合だという自覚もなかったし、周りからそうやって見られていることも分かっていなかったんですよ」

――そういった意識も、ここ数年で変わってきたということですか。

「昔は楽しくやっていただけですからね。今も同じだったらヤバいです(苦笑)。今のほうがMMAを競技として考えることができていると思うんですよ」

――杉山選手のファイトスタイルも変化してきたように思います。前回の栗山戦は、開始早々にテイクダウンを奪ってから的確にパウンドを突き刺し続けました。あの試合では、ファイターとしての怖さが見えたといいますか。

「ありがとうございます。以前に、とある人から言われた言葉が大きくて」

――とある人から言われた言葉……それは、どのような内容なのでしょうか。

「ある試合前に私が、誰かが喜ぶような戦い方をしたいと言っていたんです。そうしたら『それも大切だけど、自分が一番良いと思うこと、自分が一番納得できる試合をすることも重要なんじゃないか』と言われたんですよ」

――その言葉を聞いて、杉山選手の中に変化があったということですか。

「次の試合では盛り上げることよりも、貪欲に一本を取りに行った記憶があります」

――なるほど。

「ベルトについても、以前はそれほど意識していませんでした。でも今回は、GPで勝ってベルトが欲しいです」

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