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【Pancrase346】重田ホノカに挑戦、杉山しずか「今の若い子たちは最初から答えをもらっているから」

【写真】サラリと、意地が感じられる言葉を発していた(C)MMAPLANET

21日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPancrase346で、杉山しずかがフライ級QOPの重田ホノカに挑戦する。
Text by Shojiro Kameike

プロデビュー4戦めでベルトを巻いた重田にとっては、この試合が初防衛戦となる。対する杉山しずかは2008年のプロデビューで、これまで2度DEEPJewelsの王座決定戦に臨みながら、チャンスをモノにできなかった。改めてパンクラスで掴んだベルト挑戦のチャンス。重田ホノカとともにタイトルマッチ調印式に出席した直後の杉山に、2年のブランクとパンクラス参戦の経緯——そしてベルトへの想いを訊いた。


――先ほど記者会見が終わりました。「スーパー挑戦者」杉山しずか選手です。

「皆さん、その言葉に反応していましたね。それほどピックアップされる言葉だとは思っていませんでした(笑)」

――記事の見出しとして使いやすいと思います(笑)。「スーパー挑戦者」というのはチャンピオンより自分のほうが格上、という気持ちがあるのでしょうか。

「う~ん……、そういう気持ちはないですよ。『格の違いを見せる』とか驕ってはいないけど、『失敗は許されない』とは思っています」

――「失敗は許されない」とは?

「全局面で『ヒィっ!』と言わせるぐらいのパフォーマンスを見せないと、ベルトは獲れないと思うので。それは重田選手が相手ではなく、どんな相手も同じですね」

――前回のライカ戦も、一つのミスも許されない試合でしたか。

「そうですね。やっぱり元ボクシングの世界チャンピオンなので、打撃をもらわないように」

――そのためかライカ選手よりも杉山選手のほうが、常に先に手を出していました。

「攻撃は最大の防御でもあるし、もともと私がライカ選手より打撃の面で劣っているとも思っていなかったです。だから『打撃を使わない』という選択はなかったですね」

――元ボクシング世界王者に対して、打撃で圧をかけ、良い形で組むことができていた。それだけ自分の中で、MMAとして進化している実感はありますか。

「うん、あります! 前回の試合はその成功例ですね。毎回、試合ではトライしているけど作戦ミスがあったりして、負けることもありました。勝っても判定がスプリットになったりとか。相手との相性もあるとは思いますけど」

――DEEP JEWELSのフライ級GP決勝からパンクラスで復帰するまで、2年間も試合間隔が空いていました。ブランクの理由は何だったのでしょうか。

「それが……そう聞いて、私も『2年間も空いていたんだ!?』と思ったんですよ。2年の間に試合のオファーも頂いていました。いつもどおり練習も減量もしていたし、いつでも試合ができる状態ではあって。ただ、最終的に試合が成立しなかったという状態でした。あとは――う~ん、忙しかったですね。いろいろな仕事も増えて」

――いまや杉山選手はRIZINのレギュラー解説者ですから。そんななかで2年という時を経て復帰することも、その舞台がパンクラスになることも意外でした。

「私も『パンクラスに出ることはない』と思っていました。ずっと佐伯(繁DEEP代表)さんにお世話になっていましたから。私、会場で佐伯さんと会うと逐一、状況は話し合うんです。でもDEEPやDEEP Jewelsでは今、私の階級はタイ人とか海外から選手を呼ばないと試合を組むのが難しくなっていて。日本人選手はみんな対戦していますし」

――パンクラスに参戦することで、また新しい気持ちで試合に臨むことができているのですか。

「はい。すごい希望を持ってパンクラスに来ています。会見ではDEEP Jewelsのベルトとの統一戦がどうとか言っちゃって、パンクラスの人にどう受け取られているか分からないですけど――私としてはパンクラスでベルトを獲ったら防衛しまくって、いろんな人と戦っていくのが面白いかなと思っています」

――その会見では、怖い杉山選手を見た気がします。

「えっ!? そんなことないですよ!」

――着席後、最初にマイクを持った時の表情が……これは良い意味で、ファイターの顔だなと思いました。

「ありがとうございます(笑)。でも今回は相手に対する気持ちというよりも、『ベルトが欲しい!』という想いのほうが強いです。結構、自分勝手になってしまっているかもしれないですね。エゴというか」

――エゴ、ですか。

「エゴ、という言葉が正しいかどうかは分からないんですけど……。本当にベルトを獲ることしか考えていないという意味です」

――杉山選手は以前のインタビューで「自分の好きなことをする」といった旨の発言をしていました。復帰&パンクラス参戦で、その気持ちが強くなっているわけですね。

「勝つためには、その気持ちが一番シンプルだと思うんです。邪念もないというか」

――たとえばRIZINの解説では冷静に、客観的な杉山選手のMMA論を聞くことができます。それだけ杉山選手は格闘技に関する知識も経験も蓄積されていて、ライカ戦では、蓄積されてきたものを放出することができた。他の選手の試合を視て、解説することで自分自身のMMAも成長させることができた面はありますか。

「成長させてくれたとは思います。でも、もともと自分はああいう感じなんですよ。だから解説をすると『聞きやすいね』と言ってくれる人がたくさんいて。『これまで自分がやってきたことが無駄じゃなかったんだな』と思います」

――2年間も試合をしていない間に、辞めようとは考えなかったですか。

「ないです。辞める理由がないんですよ。だって、強いんだもん」

――言い切りますね!!

「私は今、本領発揮していますから。やっぱりポテンシャルが――マイルドな言い方ができなくて、スミマセン」

――杉山選手は禅道会の全日本リアルファイティング選手権に出場していた頃から、体格や身体能力などポテンシャルを見せていました。しかし、そのポテンシャルを発揮しないまま格闘技から離れてしまうのではないか、と思っていました。

「それは分かります(笑)。私は、そんな自分を打開してきました。今の若い子たちは最初から答えをもらっているから、できるのは当たり前で。でも私は自分から掴みに行きました。

だから、できない人の気持ちもわかっちゃうんですよ。その分、できる人の気持ちが分かるかといえば、分からないんですけど。ただ、できる人っていうのはバックボーンがあったりするか、燃えつけるのも早いと思います。私はバックボーンがないから燃え尽きていないし、今も燃えていられるんじゃないですか」

――なるほど。次は重田選手の持つパンクラスQOPのベルトに挑みますが、重田選手は防衛に成功すればストロー級に戻ると発言しています。「勝ち逃げ」とも取れる発言に対して、どの感じていますか。

「あぁ、それは別に……『そうなんだな』というぐらいで。この試合が終わったら重田選手が今後どうするかは興味ないですね。ストロー級に行ってもらっても構わないです。私が欲しいのはベルトであって、ベルトを巻くために重田選手に勝つので」

■Pancrase346視聴方法(予定)
7月21日(日)
午後1時45分~U-NEXT

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