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【DEEP JEWELS49】仕切り直して初参戦。HIMEと激突、重田ホノカ「進化よりも変化を見てほしい」

【写真】とにかくUFCの試合を参考に、自分自身を高めているという重田(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(日)、東京都港区のニューピアホールにて開催されるDEEP JEWELS49で、元パンクラス・フライ級QOPの重田ホノカがHIMEと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年7月、杉山しずかに敗れてフライ級KOPのベルトを失った重田が、DEEPジュエルスで復帰戦を迎える。当初は今年3月のDEEP JEWELS48でHIMEと対戦する予定であったが、重田の負傷で延期に。改めて組まれた復帰戦を控えた重田が、キャリア初黒星を経て得たものと自身の成長とは。


――重田選手がパンクラスのベルトを失ったあと、DEEPジュエルスに参戦すると聞いた時は驚きました。フライ級からストロー級に戻し、その王座を狙うのかと……。

「私は高校生の時からずっとDEEPジュエルスを視ていて、いつか出たいと思っていたんです。パンクラスのように男子の試合と一緒に女子の試合が組まれるのも良いけど、女子だけの興行は選手層も厚くて、華がある。そういう大会で試合をしてみたい、という気持ちはありました」

――最初は今年3月にHIME選手と戦うことが発表されながら、重田選手の負傷で試合は延期に。改めてHIME戦を控えている今ですが、体もかなり絞れていますね。本来はストロー級だったとしても、しばらくフライ級で戦っていました。今回の契約体重である49キロまで絞ることは難しくないですか。

「良い感じで落とせてきていますね。いつも1日に3部練、4部練とかやりすぎて、この時期はゲソッとしていたりするんですよ。でも今回は怪我からの復帰でもあるので、練習しすぎないように、練習しすぎないように――と注意していて。良い感じで筋肉も残っています。今回はしっかりと打撃もやっていますし」

――中指と人差し指にナックルに練習の跡が見えます。しっかりと良いポイントでパンチを当てることができている証拠ですね。

ナックル部分の傷跡は、正しくパンチを打ち込んできた証(C)SHOJIRO KAMEIKE

「パンクラスで負けてから10カ月、しっかりと自分の中でテーマを決めて練習してきました。UFCの選手を参考にしながら打撃はもちろん、首相撲やヒジとかを強化してきて。ずっとMMAを組みだけで戦ってきたんですよ。打撃も荒々しく、とにかく打ち勝てば良いという感じの『攻め勝つ』スタイルですよね。少しは変化したかなぁ……ちゃんとゲームができるようになったとは思います」

――前回の杉山戦は、最初から攻めすぎていたのでしょうか。

「攻めすぎたというか、気持ちが入っていなかったですね。試合当日は朝起きて一番に、後輩に電話したんです。『保険証っている?』って(笑)」

――というと?

「実は試合の2週間にアバラを骨折していたんですよ。だから体も動かせなくて。そんなに減量はなかったけど、体も全然ハリがなく、むくんでいたと思います。動けないから、1日中ただただ歩いて体重を落としていました。

練習も全くできずに、気持ちもつくることはできなくて。でも試合をキャンセルしたら、次の大会はカンナさんの引退試合と被っちゃうし……(※杉山戦は7月21日のPancrase346で実施。この大会をキャンセルすると次のナンバーシリーズは9月29日。その日はRIZINで浅倉が伊澤星花との引退試合に臨むこととなっていた)。

当日はカンナさんのセコンドに入ることになっていたから、絶対にキャンセルできないと思って。だから体重だけ落として、試合は何もできずに負けました」

――試合当日、アバラの具合は……。

「もう痛すぎて、アップでも息が上がってしまうぐらいでした。リカバリーも失敗していたのか、アップだけで汗がバァーッと出てしまう状態で。

あとはストレスもあって、ずっと眠ることができていなかったんです。なのに試合当日、眠気が来ちゃって。だけど寝てはいけない。ここで寝たら試合できなくなる。だから意地でも起きていたけど、試合は全然ダメでしたね(苦笑)」

――それだけアバラ付近に痛みがあると、ニンジャチョークで絞め上げられた時も激痛が走ったのではないですか。

「最初にテイクダウンした時『これはもうダメだ』と思いました。そのあと、いつもならニンジャは上を向いて外しに行くけど、その時は痛すぎて上を向くことができなかったですね。体が動く前に脳が『ダメだ』って指示した感じで、体が反応しなくて。結果、眠っちゃいましたね」

――試合まで眠れていなかった分……と笑いごとではないですが。

「アハハハ! でも入場の時から、もう半分寝ていたような感じでしたね。覇気はないし、試合前から母にも『いつもと違うよ。大丈夫?』と心配されていました」

――負傷があったとはいえ、ファイターとして試合でベストを尽くすことができなかった。その点で悔しさはありませんか。

「そうですね。『私、何やっているんだろう?』『何故こうなっちゃうんだろう?』って……。でもここまで着々と積み上げてきて、サッとベルトを獲ったから『このあと絶対に悪いことあるだろうな』と思っていました。それこそ人生最大に悪いことが――ドーピング問題(※端貴代戦のドラッグテストで、漢方薬や風邪薬に含まれるエフェドリンが検出された)、アバラの骨折、そして王座から転落と」

――……。

「年内に復帰したかったけど、対戦相手も決まらず、私自身も体調が良くなくて。今まで駆け抜けてきたし、一度休んでみても良いかなと思ったんです。

ちょうどその頃にカンナさんが引退して、練習にも来なくなるじゃないですか。私の手元にはベルトも残っていない。そうなると『私、何のためにMMAをやっているのかな』と考えようになって。闘志がなく、とりあえず練習だけはしているという状態でしたね。

それで3月にDEEPジュエルスで復帰戦が決まったけど、また練習中に負傷して試合ができなくなりました。だけど、何としても1年以内には復帰したいと思っていて。去年の7月に試合をしてから1年以上ブランクができてしまうのは嫌で」

――DEEP事務局からのプレスリリースには、「練習中に左ヒザを負傷した」とありました。

「一般的には体を動かせるようになるまで半年はかかる怪我でした。そこからリハビリとなると……。でもスポーツ専門のドクターを紹介してもらい、復帰も早くなって」

――負傷も癒えて、改めて対戦するHIME選手の印象を教えてください。

「パンチの回転力がありますよね。ただ、足を使うタイプじゃないですか。圧をかけてくる選手よりは比較的やりやすいと思います。ただ、ケージに詰めた時に見えない壁というか……分かります?」

――それはカウンター攻撃のプレッシャーのことですか。

「はい。『もっと近づくとアッパーとかスーパーマンパンチを打ってくるんだろうな』という距離は、試合中に絶対生まれてくると思います。でも、そこはしっかりと練習してきたので、あとはいつもどおりの試合をするだけですね。

単にテイクダウンに行くだけでは倒せない。腰が重いのも、力が強いのも想定内で――なかなか試合が思うように運ばないのも想定内です。どんな状況になっても良いように練習してきました」

――自身の強みであるテイクダウンに至るためにも、鍛えてきたその拳が生きるわけですね。

「もちろん進化はしていますけど、それよりも変化を見てほしいです。『あれ? 重田ホノカ、変わったな』って。この1年弱で本当に変わったと思ってもらえる試合をしたいですね。

試合でいろんな経験をしてきて、私も大人になりましたから。大人になったと思いません?」

――確かに以前より、考えていることも話すこともシッカリしてきたとは思います。ただ、それで「大人になったと思いません?」と自分から聞いてくるのは……。

「そうですね、アハハハ」

――大人の重田ホノカとして臨むHIME戦、楽しみにしています。そういえば浅倉カンナ選手が引退試合前のインタビューで「私のセコンドにつくことで少しでもモチベーションが上がってくれたら嬉しいし、次はホノカにあの舞台を目指してほしいです」と言っていました。実際セコンドに入って、何か得ることはできましたか。

「カンナさんが入場して私もリングサイドに着いた時点で、私もう号泣しちゃっていたんですよ。でもそこに伊澤選手の入場曲がかかって――見たら、RIZINのベルトがキラキラと輝いていて『良いなぁ、アレ欲しいなぁ』と思いました(笑)。今の目標はRIZINのベルトではありますけど、今は目の前の試合があって、自分がやるべきことに集中します」

■視聴方法(予定)
5月25日(日)午後12時25分~
U-NEXT、サムライTV、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ

■DEEP JEWELS49 対戦カード

<49キロ契約/5分3R>
HIME(日本)
重田ホノカ(日本)

<58キロ契約/5分3R>
栗山葵(日本)
奥富夕夏(日本)

<49キロ契約/5分2R>
彩綺(日本)
SAAYA(日本)

<54キロ契約/5分2R>
横瀬友愛(日本)
成本優良(日本)

<キック 60キロ契約/3分2R>
エレナ(フランス)
ちゃんりな(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
あきぴ(日本)
堀内美沙紀(日本)

<アマチュア 50キロ契約/3分2R>
大井すず(日本)
渡辺真央(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
和智美音(日本)
山吹マリン(日本)

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