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【Shooto2022#01】野尻定由戦へ、中村倫也―02―「貫けば正義だと僕は思っています」

【写真】スピード、瞬発力は既に国内トップクラスかと思われる中村。求めているのは緩急だ (C)MMAPLANET

16日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2022#01で、野尻定由と対戦する中村倫也インタビュー後編。

プロ2戦目を前にして「型に囚われないMMAがしたい」と話す中村だが、その型に囚われない戦いの選択肢には、意外な勝ち方が含まれていた。全ては世界の最高峰でトップに立つため――そのための優先順位は徹底して強さを追求することだった。

<中村倫也インタビューPart.01はコチラから>


――ハイキックでKOというデビュー戦があり、それ以上のインパクトを求められていることにプレッシャーはないですか。

「いえ、ただ楽しみなだけです。デビュー戦と単に比較することは難しいですけど、一つ一つのパーツで完成度が上がっていると思います。打撃の軸ですとか、寝技の隙間を埋める動きだとか。

前はまだスペースを与えて、動かれるということがあったのですが、漬ける技術をしっかりと学んできたので。そうですね、MMAに転向したてのころは『極めたい』という気持ちが大きすぎて相手にスペースを与えてしまっていました。結果、動いた相手を極めることができるということもありましたけど、その隙間を与えないで戦えるようにしたいです」

――オーディションの最終選考試合前のアマチュア選でも、腕十字を狙い続けるという展開がありましたね。

「あの時は腕十字にこだわっていましたねぇ(笑)。今は無駄なこだわりはなく、フレキシブルになっています」

――インパクトのある勝利は力があるから狙えることですが、やはりリスキーでもあります。それでもハイキックに続き、ド派手な勝利を目指したい?

「KO勝ちをしたら、その感覚に囚われてしまうKO病があるとも聞いています。そうなってしまう気持ちも分かりますが、僕は漬けて勝ちたいので」

――えっ? 抑えてコントールして勝ちたいということですか。

「ハイ。それが許されない風潮が、このMMAにはありますよね。でも、それって簡単なことじゃないんですよ」

――力が拮抗しているときは、本当に大変なことをしていると思います。例えば川尻達也選手のジョシュ・トムソン戦やルイス・ブルカペ戦、あの試合を米国やブラジルのトップファイターにできるなら、それは最大の賛辞を受けるべきかと。

「それっ、分かるっス」

――川尻選手はそういう自分の評価は、世間に伝わらないことを意味しており喜ばしいことではなかったようですけど(笑)。

「アハハハハ。でも、それも貫けば正義だと僕は思っています。ベストを尽くして、最高の試合をしたわけですからね。相手がいるものですし。足を使って、回り続けるわけでなく攻めているので。あの足を使って、コンタクトしない試合はきついっス。誘い込むわけでもなく、ただ距離を取って回る。攻めることができないわけですからね。

そうですね……僕は、1度は漬けて勝ちたい。そういう試合をしてみたいです」

――初戦だけでなく練習を見ていても躍動感だらけですし、逆にジッと構える試合は倫也選手には難しいのではないですか。

「正直、苦手なんです。待たないで、自分から動くので。ただ、相手の様子を見て戦うことは打撃ではできつつあります。相手がテイクダウンのプレッシャーを感じると、色々と見やすくなってきますね。結果、ケージに詰めた相手が動くんじゃなくて、動かせる。そこに自分の攻撃を合わせることは、できてきたかと思います」

――まさにレスリングが得意なMMAファイターであって、レスラーがMMAをするということではないですね。

「ありがとうございます!!」

――まぁ、練習とはいえ引き込み十字、跳びつき十字にヒールフックを果敢に使っているのを目の当たりにしたので(笑)。

「練習ではいっぱい失敗したいです。そこで試さないで、試合で試すのかって話ですからね」

――今日も色々と試して、そこからリカバリーが必要になるというスパーリングをしていました。そこも踏まえて1月16日の野尻定由戦、どのような試合をファンに見せたいと思っていますか。改めてお願いします。

「そうですね、漬ける試合を見せたいです(笑)」

――素晴らしいです(笑)。

「ですかね?(笑)」

――ただし、最近の修斗はコントロールだとブレイクが掛かる傾向が強いです。

「ハイ、早くなってきましたね。ハーフでトップを取っていてもブレイクが掛かった試合もありましたし。尻餅をつかされた選手が、ケージを背負って両足を束ねられた時とかもブレイクが早いと感じます」

――北米より、明らかに早いと感じますね。もちろん、レフェリーの個人差もあるかと思いますが。ルールを利してスタンドに戻ることが横行すると、自分で立ち上がる手段を磨かなくなるという危惧を感じます。

「結果、殴るのが正義みたいな空気がある。僕もあれは疑問に思うことがあります。髙谷さんはビビアーノ・フェルナンデスとの試合とか、あれだけ組みの強い相手のテイクダウンを切って殴っていたわけですからね。それがMMAの打撃だと思っています。

なので僕はコントロールの技術力……関節技とか打撃では僕より巧い人はいくらでもいますが、動きのあるなかで相手をコントロールする試合を見せたいです。米国で勝つために必要な技術を――次の試合で見せたいと思います」

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