この星の格闘技を追いかける

【Pancrase324】菊入正之と暫定ウェルター級KOPC、村山暁洋─01─「ガッツマンの合宿があったから今も」

【写真】10カ月振りのファイトが、菊入との再戦で暫定王座決定戦となった (C) KEISUKE TAKAZAWA

17日(日)、東京都江東区のスタジオコーストで開催されるPancrase324で、村山暁洋が菊入正之とのウェルター級暫定王座決定戦に挑む。
Text by Shojiro Kameike

2016年3月にパンクラスで同級のベルトを巻いている村山だが、初防衛に失敗して無冠に。あれから5年、昨年12月に一度下している菊入との再戦で、暫定ながらベルトを巻くチャンスを得た。

2004年プロデビュー、現在41歳とベテランの域に達した村山に、この5年間はどのような想いを持って戦っていたのか訊いた。


――17日、ウェルター級暫定王座を賭けて、菊入正之選手と再戦を行うことになりました。村山選手にとっては2016年10月、三浦広光選手に判定負けを喫し、ベルトを失って以来5年ぶりのタイトルマッチとなります。

「ベルトを巻いていたのは、かなり前のお話になりますね(苦笑)。確かに一度はベルトを持っていたのですが、今回はそのベルトを取り返すということではなく、新しく挑戦するという気持ちです」

――ここまでの5年間は、村山選手にとって、どのような期間でしたか。

「長く格闘技を続けていると、もちろん年齢的な影響も出てくるとは思います。でも、今でも新しい発見があるし、自分の中ではさらに強くなっている気はします」

――三浦戦以降も3敗を喫するなど、苦しい期間ではなかったのでしょうか。

「実は――負けてはいますけど、J.J.アンブローズ戦では自分なりに手応えを感じていました」

――2019年6月、J.J.アンブローズに判定負けを喫していますが、その時につかんだ手応えというのは?

「1Rにダウンを喫して、以降は記憶が飛んでいるんですが、そんな状況でも終盤は盛り返すことができていました。たとえば三浦選手との試合は、最終ラウンドにもっと攻めることができたと思うんですけど、相手のジャブをもらってジリ貧になってしまいましたよね。手塚選手との試合(2018年12月、手塚裕之に判定負け)でも、同じ展開で負けています」

――それが、アンブリーズ戦では違っていたということですね。

「はい。自分が最後まで攻めることができました。それは大きかったです」

――村山選手といえば、常に左ジャブを起点として、右ストレートや投げの展開につなげることが多かったと思います。しかし、ここ数年は得意の左ジャブを出すより相手に先手を打たれ、ペースを掴むことができなかったのではないかと。

「打撃が強い選手を相手にして、自分の左ジャブがダメだった場合の対応ができていませんでした。作戦的な幅、技術的な幅が足りなかったです」

――しかしタイトルマッチに向けて、その点も改良できているのでしょうか。

「そうですね。今41歳なんですが、この年齢になっても成長できています。MMAだから、ファイトスタイルも1つではなく、いろんな手段がありますよね。それがMMAの魅力だと思いますし」

――なるほど。村山選手のSNSを見ても、そして今のお話を聞いても、MMAを楽しく続けているんだろうなと感じます。決して楽観的な意味ではなく。

「楽しく……それはあると思います。楽観的かもしれないですけど(苦笑)。でも、打撃のダメージがあるわけではないですし、引退とか考えたこともありません。楽しいというのは、自分の道場(暁道場)を作ったことも大きいかもしれないですね」

――なぜ自分の道場を持とうと思ったのでしょうか。

「暁道場を立ち上げたのは2015年ぐらいだと思うんですが、もともと所属していたガッツマンとは別に、格闘技の練習会をやっていて。そんな時に、自宅の近くに安い物件があったので、そこを借りて常設道場にして今に至ります。まだプロ選手は出ていませんが、道場生も強くなってきているし、それが楽しいというのはあります」

――自身の道場を立ち上げると、現役選手としての活動を並行してできるかどうか。そんな不安はなかったですか。

「そういうのは、なかったです。今も試行錯誤しているところではありますけど、僕の練習時間を確保するため、協力してくださる方もいます。一方で、僕も指導しながら、自分が身につけているものを再確認できたりと、相互作用があるので」

――では現在、どのような練習スケジュールを送っているのでしょうか。

「今はガッツマン、CAVEさんで、それぞれ週1〜2回。あとは暁道場の若手と一緒に練習したり、ガッツマンの選手が暁道場に来てくれたりしていますね。もちろん今でも、基本的に苦しい時もあります。現役選手として練習しているわけですから。でも、昔やっていたガッツマンの合宿のこととか考えると――」

――厳しいことで有名だった、ガッツマンの合宿ですね。

「もう10年ぐらい前ですよね。千葉とか山梨に行って、合宿という名のとおり泊まり込みで、1日2~3回の練習を行っていました。もう泊まり込みの合宿はなくなりましたけど、その後は通い合宿という形で、同じような練習をしていましたね。今思えば、ありがたかったです。あの合宿があったから、今も現役を続けられているのかなって思います。参加すれば、他の競技で実績のない人でもMMAで強くなれる。そういう合宿でした」

――――そういった苦しさは、若い時しか経験できないことかもしれないです。

「あれからもずっと、桜田(直樹)先生に教えていただいていますし、一緒に練習してくれている仲間や道場生がいます。そういう人たちに喜んでもらうために、次の試合は絶対に勝ってベルトを巻きたいです」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
10月17日
午後1時00分~ TIGET LIVE
午後1時00分~ ABEMA PPV ONLINE LIVE

PR
PR

関連記事

Movie