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【Shooto2021#05】笑顔のなかった戴冠劇、ベルトを巻かない修斗世界フェザー級王者SASUKE

【写真】インタビュー後の撮影では、ベルトは持ちたくないというSASUKEの意向に従わせてもらいました (C)MMAPLANET

7月25日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたShooto2021#5で工藤諒司が修斗世界フェザー級王座に就いた。

工藤諒司に判定勝ちを収めたSASUKEだが、一切笑顔はない。試合後の共同取材後も写真撮影時に「ベルト持たないといけないですか」という言葉も聞かれた。

あの時、SASUKEは何も想っていたのか。試合直後に訊いた言葉をお届けしたい。


──全く笑みのない王座奪取でした。試合内容に納得できないということですね。

インタビュー後のメディアへの記念撮影の際には、ベルトをセコンドに手渡していた

インタビュー後の撮影の際には、ベルトをセコンドに手渡していた[/caption]「口では強気なことを言っていましたけど、弱いなって(苦笑)。

なんか……インタビューしてもらった時に、『勝ちを拾う』って言ったじゃないですか。拾うことは拾ったのですが、胸を張れる──拾ったじゃないですよね。

攻めるべき時に攻めることができなかったです。

詰めることができなかった。長期戦を見越していたということと、それ以上に一撃を警戒し過ぎてしまいました。もともと右が武器だと思って、貰わないように戦っていると、自分が当てた後も行けなかったです。

打ち終わりを狙ってくるので、リターンを気にしてしまって……ダメですね。振りながら前に出てくる選手で、それを正面から受けるのが嫌でした」

──この試合に勝つということであれば、なんら問題はなかった。マジョリティだったことに首を傾げてしまう。そういう勝利だったと思います。ただし、この試合展開でUFCのスカウト網に引っ掛かるのか、という部分で評価をすれば……SASUKE選手が納得していないことで、逆にホッとしました。これで大喜びして、UFCに行くぞぉというマイクがあった方が厳しかったです。

「これで……UFCとかないです。UFCなんていう前に、日本人選手にも笑われてしまいます。自分の心の弱さが出た……そんな試合でした。

外に出てくと、もっと強い相手が待っています。もっと強打を振るって、もっと前に出てきて、もっと不気味です。この相手にビビッて前に出られないなんて……技術的な点では練習していたことができた面もあります。でも、もっと根本的なことです」

──勝って反省できた。これは生かすしかないかと。マイナスではないわけですし。

「う~ん、やるしかないです。気持ちから作り直さないと。正直、怖かったです。試合をしていて、怖いという気持ちがありました。25分間で、いつ一撃でぶっ飛ばされるパンチが入るのか……。頭のなかで倒されるんじゃないかという不安が残っていた。その状態でケージに入ってしまいました」

──それでも勝っています。小外と大内でのテイクダウン。あれはハイライトリール・テイクダウンでした。

「……。ただの試合だったら、それで良いかもしれないですけど。色々なモノが詰まった試合でした。そして、色々な見られた方をされる試合だったと思います。これじゃ……ダメです。

修斗のベルトを獲ることって名誉なことなんですけど……。皆はチャンピオンになったことで喜んでくれてはいます。でも、自分のためにやっている格闘技だし……実はアップしている時に斎藤(裕)選手を見かけて、僕から話し掛けるのは嫌がるかなと思ったんですけど、話しかけずにはいられなくて……」

──そんなことがあったのですね。

「ハイ。それで『修斗王者の名に恥じないように頑張ります』って伝えて、斎藤選手も『頑張ってください』と言ってくれたんです。でも……今日の試合じゃ、海外とか言えないです。でも、これじゃベルトも胸を張って巻けない。この試合をただの一つの試合にして、終わらせちゃいけないです。

もっと自分に理不尽な練習をしないといけない。恐怖と向き合うということをしていかないと……戦うことに関して、根本から見直さないと……。もう一度、やり直します。今日はそれだけです」

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