【DEEP102】フェザー級王者・牛久絢太郎に挑戦。Uと武の融合、中村大介─01─「体の中心を打ち抜く」
【写真】精妙流兵法之会の稽古で、動きが変わったという中村(C)MMAPLANET
7月4日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP 101。そのメインイベントで元DEEPライト級王者の中村大介が、現フェザー級王者の牛久絢太郎に挑む。
Text by Shojiro Kameike
2016年9月にモンゴルでアマルサナー・ツゴォーフにKO負けし、MMAでは4年のブランクを作った中村。昨年9月の復帰戦では長倉立尚をKOし、続く牛久とのノンタイトル戦でも、ヒザ蹴りで現役王者をマットに沈めている。
なぜ中村は、4年ものブランクを作ることになったのか。そして復帰を決めた理由は? インタビュー前編では、そんな4年間と長倉との復帰戦について語る。
――中村大介選手は2002年にプロデビューし、MMAキャリアも20年を迎えます。そんななか2016年9月のモンゴルでの試合から昨年9月の長倉立尚戦まで、MMAでは4年のブランクがありました。そのブランクの理由は何だったのでしょうか。
「モンゴルでの試合……アマルサナー・ツゴォーフ戦で、KO負けしたんですね。その前の試合では、VTJで川名雄生選手にTKO負けしていたんですが、KO負けして直後に病院へ行ったのは初めてでした。それでMMAというか、打撃がある試合をすることが怖くなってしまったんです」
――えっ……そうだったのですか。
「僕はもともとプロレス、特にUWFが好きで格闘技を始めました。そのなかでも極め合いが好きで、MMAでも極めて勝つ試合を目指しているんです」
――中村選手といえば、デビュー当初から腕十字によるフィニッシュが印象的でした。デモリッションなどで、飛びつき腕十字を極めたりしていましたね。
「MMAをやっている選手はどう思うか分かりませんが、どれだけポイントを取られても最後に極めて勝てばいい、と思って試合していました」
――ただ、少しスタイルが変わっていたのではないですか。極め合いというよりは、ガードを下げて相手を誘いながら打つ、という内容が増えたように思います。
「はい。いつの頃からか、打撃中心の試合になっていたんです。それでアマルサナーとの試合では打撃戦でKO負けして……。打撃が怖くなり、一度MMAから離れようと思ったんですね」
――それは「一度」だったのですか。引退するのではなく……。
「引退というのは、考えていなかったです。一旦MMAから離れようと」
――以降、組み技イベントのクインテットに出場することになったのは、そのような経緯があったのですね。
「極め合いが好きなので、ポイント制の組み技よりも、サブミッションが重視されるクインテットは、やっぱり面白かったですね」
――そこから2020年に入ってMMAに復帰することになった経緯を教えてください。
「クインテットに出ている頃、いろんなところで練習させてもらっていました。そこで桜庭(和志)さんと一緒に練習することがあったんですけど、桜庭さんはデビューしてもう何十年も経つのに、今でも楽しく練習されていたんですよ」
――その姿を見て、復帰を決めたのですか。
「そんな桜庭さんを見て、自分もMMAを楽しくやれば良いんだと思いました。もともと『またMMAが楽しくなったら復帰しよう』と考えていたので、それがキッカケで復帰することにしたんです」
――なるほど……しかし、驚きです。打撃が怖くなってMMAから離れていたのに、復帰後の2試合は強烈な打撃によるKO勝ちでした。
「ハハハ、そうですね(笑)」
――復帰しようと決めた後に、長倉戦のオファーがあったのでしょうか。
「いえ。復帰したい、試合を組んでいただけないかと思ってDEEPの佐伯(繁)さんに話をしたんです。そうしたら、長倉選手ではどうか、という話になって」
――4年ぶりの復帰戦としては厳しい、しかも強烈なパンチを持つ相手です。
「そうなんですよ。相手を聞いて、また少し不安が戻ってきて……(苦笑)」
――その不安は、どのように克服したのですか。
「やるしかない。自分で復帰しようと決めたからには、練習して、不安を解消していくしかなかったです」
――試合中にも、そのような不安が戻ってくるのではないかと思うぐらい、相手のパンチを食らってしまう場面もありました。
「何発も食らっていましたね(苦笑)。でも試合中は、不思議と不安になったり、これはヤバいと思うことはなかったです」
――そんな打ち合いの末、最後は右ストレートでKO勝ちを収めました。
「あのパンチは、しっかりと打ち抜いた感触がありました。当たった瞬間、これはもう立てないだろう、と。実は、復帰戦の前から武術を学んでいるんです」
――武術ですか!?
「精妙流兵法之会の木村潤先生という方から、体の使い方や、あと相手の体の中心を打ち抜くことなどを教えていただいています」
――体の中心を打ち抜く! 長倉選手をKOした右ストレートは、まさにそんなパンチでした。
「長倉選手が左を出したところに、内側から右ストレートを打ち抜く形になりました。やっぱり内側から突くほうが強いですからね。その武術を学んでから、自分の動きも変わってきているように感じます」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
7月4日(日・日本時間)
午後5時30分~PPV SPWN
■ DEEP102対戦カード
<DEEPフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]牛久絢太郎(日本)
[挑戦者]中村大介(日本)
<DEEPミドル級選手権試合/5分3R>
[王者]水野達也(日本)
[挑戦者]ジョアォン・バティスタ・ヨシムラ(ブラジル)
<DEEP暫定ライト級王座決定戦/5分3R>
大原樹里(日本)
大木良太(日本)
<フライ級/5分2R>
藤田大和(日本)
山本聖悟(日本)
<バンタム級/5分2R>
雅駿介(日本)
RYUKI(日本)
<ライト級/5分2R>
大山釼呑助(日本)
泰斗(日本)
<バンタム級/5分2R>
原虎徹(日本)
吉野光(日本)
<67キロ契約/5分2R>
海飛(日本)
佐藤勇駿(日本)
<フライ級/5分2R>
鶴屋怜(日本)
荒木凌(日本)