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【ONE114】ゲイリー・トノン戦へ。松嶋こよみ─02─「この相手に勝つのは、日本には僕しかいない」

【写真】今回のインタビューで松嶋が話してくれたような試合展開に挑むことは、精神的に非常にきつい。その覚悟を日々、養ってきたということか(C)MMAPLANET

4日(金・現地時間)、シンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE114「Bing Bang」で、ゲイリー・トノンと対戦する松嶋こよみインタビュー後編。

稀代のグラップラーと戦う松嶋をABEMA TVのTHE WONDERが追った。

MMAPLANETではトノン戦、トノン対策に特化したインタビューを同コンテンツ内で行った。

MMAとしては相当に特徴的なファイター=トノンに勝利するために、松嶋は自分を隠す──我慢のファイトに徹することを覚悟していた。

<松嶋こよみインタビューPart.01はコチラから>


──ユニファイドと違い、ONEルールではグラウンドでヒザが許されています。

「低い姿勢でのテイクダウン狙いは、ユニファイドと比較すると減ると思います。そこに関しては、ONEルールであることは僕の方に有利に働くでしょうね。

それとユニファイドのラウンドマスト判定でなく、コントロールされていてもダメージを与えることができればという裁定基準なので。全体を通して、自分が最終的には優位に立っていたと印象づける。そういう場面を創るように戦う。ONEで戦うので当然ONEルールになるのですが、ユニファイドでなくて良かった点ですね。

それに武器としてはトノンより、僕の方があると思っています。もちろんトノンは強いグラップラーであるけど、MMAの経験値の低い今、倒しておかないと。これからも成長していくでしょうし、対戦がこのタイミングで良かったと捉えています。それだけに『MMAってこうなんだよ』っていうのを見せないといけないです。

そういう部分でも、今後につながる面でも本当に大切な試合です。まずはトノンがコロナに感染しないで、試合に挑めることが一番かと」

──笑いごとでなく、その通りですね。トノンと対戦する前に、中原選手と彼の試合があったことが良かったということはないでしょうか。

「それはあります。あのヒールをMMAでもできる。それはそうだよなってことを……やっと刀を抜いたかっていうところを中原選手相手に見せていたので。中原選手もそんなアホじゃないと思うので、あれが来ることを想定して戦い、ああいう結果になった。あれを視ることができたので、自分のなかで色々と創ることができました。

あの試合がなければ、『あまり気にしなくて良いか』っていう感じで、イグルーに来ることもなかったかもしれないです。強いけど、MMAでは大丈夫だなっていう準備で戦うことになっていたかもしれない。そういう部分であの試合があって良かったです」

──トノンを相手に、コンビネーションのバン・バン・バンという打撃ではなく、ベースにドンというカラテがあるというのは、どういう風に考えていますか。それとも、そこも意識しないほうが良いのでしょうか。

「あまり意識はしていないですけど、カウンターのテイクダウンはキックボクシングの打撃より、僕の打撃は取られて辛いとは思っています。キックだとリズム&リズムで、ワンツー&蹴り、ワンツー&蹴りってなるところですが、僕の打撃はそれが見え辛い。

トノンのテイクダウンは打撃へのカウンターか、彼自身のガチャガチャした打撃から入って来るので、その一つであるタウンターのテイクダウンは僕の打撃で消すことができると思っています。

もちろん自分がミスをすれば、そこを衝いてこられるのですが、ミスをしないように戦うには、今の打撃は自分に合っていると思います」

──この試合はタイトルに向けてという試合になりますが。

「そこは、あまり意識していないです。タン・リーが上にいるのは分かっていますが、そんなことを意識していると勝てない相手なので。まずは目の前にいる強敵をしっかりと倒すことです。スプリット判定でも良いので、勝つことが大切。なんとかモノにしないといけない試合です」

──自分の階級に新チャンピオンが誕生したことも関係ないですか。

「そうですね、あの2人がまた戦うと思っているので。もともと、このトノンとの試合が決まってから、あの試合を見たので余り気にせずにやってきました。もちろん、2人の強いところを見ることができた試合でしたけど、トノンを倒すことに集中してきました」

──それ以前も含め、2月以来9カ月振りの試合になります。

「意外と試合がない期間を無駄に過ごしてきたという感じはなかったです」

──結果、海外のONE本戦と呼べる大会で戦うことになりました。

「待って良かったということに今回はなりました。Road to ONEがあったり、修斗だとか他に選択肢があるなかで、一番やりたかったトノンとの試合になったので。少し待って、練習に集中して、この機会に恵まれました。運命じゃないですけど……こうなる運命だったのかと(笑)。タン・リーの挑戦が決まっていたし、トノンだろうって気持ちを創ってきたのが良かったのかと思います」

──試合自体は11月20日から2週間ズレました。

「2週間延びたのはきつかったです(笑)。追い込み期間が2週間続いて……。でも、本来なら向うにいて隔離されている期間も、こうやって練習してグラップリングで修得できることも増えました。自分にとっては良い時間になったと思います。練習的にもそうだし、精神的にも余裕を持つことができて、良い自分を創ることができたかなと思っています」

──以前のように勢いで攻めたくならないですか。

「やりたくはなっちゃいますけど(笑)。ずっと試合では自分のやりたいことを思い切り投げ込んで戦う。自分の戦いにハメ込んで戦えば良いと思っていたのが、前回の試合から少しずつ変わってきました。

今回は特に自分を隠す、我慢することが本当に大切だと思っています。自分の攻撃がしたいとは思うのですが、そこは自分を隠す。我慢するという意味では、それはやってはいけないことです」

──攻めるけど、我慢。大変ですね。

「我慢して戦うには、精神的に成長しないといけなかったです。ただ、本当に触ってみないと分からないところもあります。どれだけ自分とトノンにレスリング力の差があるのか。トノンはそこまでレスリングの強さを見せた試合はまだないので。普通のテイクダウンは取られないと思いますが、引き込みからの攻撃とか細心の注意を払っていないと一瞬にして持っていかれるでしょうし。

最後まで気の抜けない辛い試合になるでしょうが、それはトノンも同じで。だから、そこばかりに余り気を遣わずに、やるべきことをやることを意識しようと思います。そうですね、最後の最後まで相手の後ろを走る……そういう試合をしないといけないと思っています」

──それは本当に覚悟が必要ですね。

「結果、見ている人たちに面白くないと思われるかもしれないけど、それはしょうがないでです。この相手に勝つのは、日本には僕しかいないので。とりあえず、それを見せたいと思います」

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