この星の格闘技を追いかける

【Special】月刊、青木真也のこの一番:2月─その壱─ディエゴ・サンチェス✖ミシェル・ペレイラ「回顧」

UFN167【写真】ディエゴ・サンチェス、38歳。UFCの今を築いた1人──を、青木が語る (C) Zuffa UFC/Getty Images

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年2月の一番、第一弾は15日に行われたUFN167からディエゴ・サンチェス✖ミシェウ・ペレイラの一戦を語らおう。


──2020年2月度の青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?

「ディエゴ・サンチェス✖ミシェウ・ペレイラです」

──おお四次元MMAのペレイラに攻められまくった挙句、グラウンド状態での顔面ヒザ蹴りでディエゴが反則勝ちとなった試合ですね!!

「ディエゴは完全に負けていましたね。でも、もうぶっちゃけ動いていれば良いんですよね。そういう領域になっています」

──TUFシーズン01、15年前にUFCを一般層の支持を得るエンターテイメントとしたムーブのなかにいた先人です。

「ケニー・フロリアン、フォレスト・グリフィン……皆、とっくに引退していますよね。TUFシーズン1と同じ年に行われたADCCの77キロ級で戦っていた連中もGSP、ジェイク・シールズはもうMMAは戦っていないし、マルセリーニョ・ガウッシアなんて柔術やグラップリングすら出ていないですからね」

──光陰矢の如し。ただし、そのなかで青木選手とディエゴは続けていると。

「あと、レオ・サントスも柔術からMMAに転じて少し系統が違うけどMMAを続けていますね。いうたら同期というか同級生ですよ」

──ディエゴはグラップリング・ベースですが、打撃で足を止めて殴り合うゾンビファイトも展開していましたし、よくここまで続けられていますね。

「呂律が回っていないように見えた時期もあり、私生活も色々あった。階級も最初のミドル級はUFCで戦うためだったとしてもウェルター級からライト級、フェザー級まで落として、またライト級、そしてウェルター級に戻ってきた」

──いってみればボロボロですよね。

「結局、ファイトが好きなんでしょうね。同世代だから僕もディエゴは見ちゃいますよね。きっとコレしかできなくて、もっとボロボロになっていくんでしょうね。

BJ・ペンに挑戦してハイキックで蹴られて額からピューって流血して……。今からすると僕が一番熱く、UFCを見ていた時代の選手なんですよ、ディエゴって」

──BJ×ディエゴが行われたのが2009年12月で、青木選手はDREAMライト級王者の時代です。

「やっぱりBJ・ペンなんでしょうね。GSPとウェルター級でやった時は負けたけど、ショーン・シャークに勝ち、ケニー・フロリアンに勝ち、ディエゴに勝った」

──そこからフランキー・エドガーに敗れ、MMAの形が変わりました。

Josh vs Diego「良い時代でした。回顧主義で老害感でますけど……、高島さんも被っていて、俺たちにとってあの時代ってやっぱり違うんですよね。GSPとかマット・ヒューズとか。

あぁ、そうそう……PRIDEの最後の大会(※2007年4月8日。PRIDE34)が、ちょうどUFCでジョシュ・コスチェックとディエゴがやっていて(※2007年4月7日、UFC69)。僕は自分の試合(※ブライアン・ロアニューに腕十字で一本勝ち)が終わって、すぐに『どっちが勝ったの?』とか確認していたんですよね。まださ、ネット配信とかなかった時代で」

──携帯の画面で世界中のMMAが視聴できるなんて、誰も思っていなかったですよ。

Jo vs Gillard「あの頃はUFNも始まっていて、コスチェックとディエゴの2日前とかにジョー・スティーブンス×メルディ・ギラードがあって、スティーブンスがギロチンで秒殺したんですよ。あの時も、これでスティーブンスが挑戦するぞとか思っていて……」

──PRIDEを守ると宣言していた青木真也の事実ですね。

「モロに意識していましたね(笑)。僕のなかではスティーブンスとギラードがどういうものなのか、あの当時でも分かっていた。でも、それってBJがいたからだと思います。

スティーブンスが三島(☆ド根性ノ助)にコブラカイ✖コブラ会対決で勝って(笑)。そこからギラード。BJとどうなるのかなって考えていましたね。その裏で三島が落ち始めた頃で、ケニー・フロリアンにも負けて」

──当時のUFCライト級の面々は『日本人選手に憧れていた』と公言していて、でも次から次へと日本からUFCに挑む選手を撃破するようになっていった頃です。

「宇野さんとか五味とかも、そういう対象でしたよね。いやぁ、こういう話ができるって面白いです。本当に(笑)。だからこそ、ディエゴ・サンチェスなんですよ」

(C)(C) Zuffa UFC/Getty Images

(C)(C) Zuffa UFC/Getty Images

──ディエゴ、どこまで行きますかね。ペレイラにボコられても、反則勝ちしたことで現役続行でしょうし。

「もう本当にボロボロになるんでしょうね。ペレイラとやって、あの内容だったから。でも、それがディエゴなんじゃないでしょうか。

あそこで反則しちゃうのも、ペレイラの良さですよ(笑)」


15分経過

PR
PR

関連記事

Movie