【NEXUS19】フェザー級T出場、REAL HYBRIDファイター=Shin「ジョン・ジョーンズの真似ができれば」
【写真】見た目のいかつい印象とは違い、インタビュー中の言葉は非常に丁寧だったShin。二面性AB型ファイターか? (C)NEXUS
フェザー級王座決定トーナメントが開幕するFighting NEXUS19が23日(日)、東京都新宿区GENスポーツパレスで開催される。
出場選手は青井太一、上田厚志、駿太、木村豊、健吾、佐々木郁也、shin、須貝秋彦、鈴木淑徳、滝田J太郎、秋山佑史、バン・ジェヒョク、山本空良の14名。
今回はプロ2戦目、初勝利を目指すトーナメント戦前にアルバカーキのジャクソン・ウィンクMMAで出稽古を行なったShinをピックアップしたい。その血も、育ってきた環境も複数の文化圏にまたがったリアル・ハイブリッドファイター=Shinとは、どのようなファイターなのか。
──初めまして。今日は宜しくお願いします。
「こちらこそ、宜しくお願いします」
──凄く流暢な日本語を話されていますが、アクセント、そしてシン・アング・イラハ(伊良波心)という本名からもShin選手はどこかアジアの国と日本のハイブリッドなのでしょうか。
「ハイ、自分は台湾生まれですが、14歳からカナダに住んでいました。その頃から親戚が住んでいる日本を何度か訪れたことがあって、カナダの学校を中退して18歳になる時に日本に来たんです。
もう10年以上いますし、日本国籍を取って日本人になっています。伊良波というのは沖縄の宮古や石垣の苗字で、親戚が宮古に住んでいて、10代の頃から凄くお世話になっていて、今も仕事の関係でよく沖縄に行っています。シン(心)はもともと台湾で入っていた名前で、アングというのは母親がインドネシア人で、彼女の苗字なんです。母は離婚して、自分は彼女に育ててもらったので彼女の名前をつけています」
──なんと血もそうですし、これまで育ってきた環境も本当にハイブリッドなのですね。
「確かにそうだと思います(笑)。色々な場所に住んでいました」
──そんなShin選手がMMAファイターになろうと思ったのは、どのようなきっかけだったのですか。
「以前はムエタイの道場に通っていて、試合も3試合ぐらい出ています。ただ台湾にいた時も、カナダにいた時も古いPRIDEの試合をよく見ていました。カナダでは当時、GPS人気が出てきた頃でUFCも人気が上がってくる頃でしたが、僕はそれほどでもなかったです。
MMAをやろうと思ったのは、ムエタイのジムにMMAをやっている人がいて、面白そうだったので(笑)。まずは柔術を習うようになりました。その人がノヴァウニオン・ジャパンの阿部(修)代表の黒帯で、阿部さんを紹介してもらったんです。で2回目か3回目ぐらいの練習の時に、阿部さんからMMAスパーリングを誘われて、2人ともガチガチに殴り合いました。
そのスパーリングから自分は阿部さんの弟子になったみたいな形です(笑)」
──なんとも!!
「阿部さんは黒帯だけど、ストライカーです(笑)」
──そして阿部代表の下でプロMMAファイターを志すようになったのですね。
「ハイ。阿部さんはプロでやるなら、アマチュア修斗かアマチュア・パンクラスでしっかりと経験を積めという拘りを凄く持っている人で、僕はアマ・パンでキャリアを積みました」
──晴れてプロになりましたが、一昨年10月に黒星デビュー。それ以来、試合に出ていなかったですね。
「2度ほどオファーを貰ったのですが、ちょっと家庭の事情もあって出られないこともあって……3回目は自分はできたのですが、相手の都合か試合が組まれなかったんです」
──その状況で今回はネクサスで、王座決定トーナメントに出場します。
「佐藤(将光)さんから、話をもらいました。駒杵選手がネクサスに出ていて、一緒に練習させてもらっている仲間なんです」
──今回、ジャクソン・ウィンクMMAで練習をしていたと聞きました。
「ハイ。自分、毎週水曜日に石渡(伸太郎)選手がやっているイジー・レスリングのクラスに通わせもらっていたんです。で、去年の夏にイジー(マルチネス)に直接教わりたくなって、ジャクソン・ウィンクMMAに行きました。
実際にはイジーとは1週間ぐらいしか練習できなくて(笑)。でも、イジー・スタイルのレスリングの指導を他の人から受けることもできましたし、レスリング以外でも最高の環境で練習できました。
今回は5週間ほど、この試合のために行きました。でも本当に打撃も寝技、レスリングも皆強いです。食事と睡眠以外はずっと練習できるので、凄く良い環境で好きです」
──よく練習した著名な選手はいますか。
「自分は軽量級なのでディエゴ・ブランダォン、ジョン・ドッドソン、夏はパトリック・ミックスとかが出ている軽量級のプロ練習に参加していました。ミックスとか滅茶苦茶強いですね」
──ところで今回のトーナメント、組み合わせは前日計量で決まりますが、戦ってみたい選手はいますか。
「いないです。とにかく自分の力を出すだけで。このフォーマットだと作戦を立てることができないですし。そうすると自分の戦いをいかにするかだと思います」
──Shin選手としては、ご自身の戦いでどのようなところをファンに注目してほしいですか。
「米国で色々と新しいスタイルを作ってきました。それがどこまで通用するのか、自分でも分かりません。一応ジョン・ジョーンズの戦い方に憧れていて、冷静でディフェンスが巧いのに、行くときはダメージを与える攻撃ができる。彼の真似ができれば良いですね」
──このトーナメント以降、MMAファイターとしての目標はどこにおいていますか。
「う~ん、メジャーに行きたいです。できればUFCに。すぐにリリースされるようだと本当の意味でUFCファイターじゃないと米国では言われていました。だから、ずっとUFCで戦えるような力をつけたいです。それかONEで戦えるなら、ONE行きたいです。だから、このトーナメントは優勝しかないと思っています」
──では最後に日曜日の試合に向けて、意気込みをお願いします。
「意気込みですが……こういうのは苦手で……。そうですね……日曜日は冷静に戦いつつ、フィニッシュを狙います」