【ONE107】お竜、危機一髪。デルフィーノに快勝の和田竜光「アップでは右ストレートも打てなかった」
【写真】安堵感、そして良く勝てた和田竜光だ (C)MMAPLANET
1月 31日(金・現地時間)にフィリピンはメトロマニラのパサイ・シティ、MOAアリーナで開催されたONE107「Fire & Fury」で、和田竜光がイヴァニウド・デルフィーノに快勝した。
スタンドで打撃を当て、または一気にケージに押し込んで得意の形からテイクダウン。グラウンドでも粘るデルフィーノにパウンドを打ち込み、危なげない判定勝ちを手にした。
そんな和田だが──ケージのなかでは伺い知ることはできなかったが、試合当日の朝にはキャンセルを考えるほど危機的な体調不良だった。そんな状況を乗り越え、「感じることが多い旅になった」という和田を大会終了後にインタビューした。
──デルフィーノに快勝した和田選手ですが、マニラに来て体調を崩していたという話も伝わってきていました。
「ハイ、一昨日ぐらいから腰に違和感がありました。そのまま調整していたのですが、ミットをやっていても途中で止めるような感じで。ただ減量もしていたので水分が抜けて腰に負担がかかっているのか──ぐらいに思っていたんです。
そうしたら、どんどん痛くなってきて。もうルールミーティングの頃から痛かったですね。昨日は痛みが増して、長南さんが日本に連絡して、参考になる動画を送ってもらい、そこからビデオ電話で指示を受けて処置をしてくれていたんです」
──それで今日は上向きになっていたのでしょうか。
「いえ、実は朝起きた時にあまりの痛みに『これは試合……無理だな』って思っていたぐらいでした……」
──ぎっくり腰ではなくて、徐々に痛みが強まったということですか。
「ハイ。これまで腰を痛めたことがなかったので、自分でもどういう症状が分からなくて……。ベキッと一気に来るのではなくて、じんわりと痛みが増した感じで。普段はなるべくアドレナリンが出ないように試合の臨むんですけど、今日ばかりは出まくれって思いました」
──試合前は痛みは緩和したのですか。
「試合になれば動けました。今日は控室でも長南さん圧してもらって。グラウンドだけでもアップしようかと思ったのですが、痛くて……怖いしできなかったです。ただしスタンドのレスリングは動けたので、そこに集中してアップをしていました。でも初めてですね、こんな雰囲気で試合をしたのは。これまでも多少のケガはありましたけど、こんなに体が動けかないのは……。アップでは右のパンチも打てなかったんです」
──そこまでだったのですね。
「ヤバイなぁと思いながら戦ったのは、初めてでした。でも『もうやるしかないな』って覚悟を決めて。ただ、試合が始まると痛みは感じなかったです」
──……。凄いですね、ファイターは……。
「アドレナリンって凄いですね。気合なんですかね……ちょっと、朝は本当に無理かと思っていたので。歩けたので最悪の最悪ではなかったのでしょうが、初めてだったので不安は大きかったです。勝ったから言える感じですね(笑)」
──うがった見方をすると、この規模の試合に出ていないと痛みを感じたかもしれないですね。
「それこそ場に盛り上げてもらった感じはあります。本当に周囲のサポートのおかげです。将光さんのセコンドで来ていたノヴァウニオン・ジャパンの阿部(修)さんは拳頭分の皮がめくれるぐらいケアしてくれて、気持ちも高めていただきました。今まで以上に、感じることが多い旅になりました」
──実際に試合内容としては、試合前の不気味さはどこへやら一貫して和田選手のペースで試合は進みました。
「そうですね。戦える選手でしたね。途中でスタンドの組みに弱点が見えたので、そこをついて戦いました。ただ寝技になっても足もきいていて、決定的なシーンは作れなかったですけどね」
──小外刈りが見事に2度決まりました。
無理やり投げることもできたんですけど、柔軟だったのでバックにつかれるのとか嫌で、小外をかけたらハマりました。結構、警戒はされていたのですが逆が決まりましたね。アレも得意な形でもあるので……」
──話していて今、また腰が痛くなっていないですか……その姿勢は?
「実はそうなんです。試合後からすぐに痛くなってきて……。明日の飛行機が嫌ですね」
──その状況で勝てたとのは本当に大きいですね。マイクでジェヘ・ユースタキオの名前を出していました。
「まぁ、アレはマニラのファン向きに(笑)。マニラで試合をしたいぞってアピールです。でも、そこまでこだわっていないです。別に違う相手でも。またマニラに来たいですってことで。今日はとにかく勝てて良かったです」