【ONE107】クォン・ウォンイル戦に向けて、佐藤将光─02─「打ち合わないと、もっと打たれる」
【写真】自らの城FIGHT BASEで柔術の練習に励む会員さんをバックに (C)MMAPLANET
31日(金・現地時間)にフィリピンはメトロマニラのパサイ・シティ、MOAアリーナで開催されるONE107「Fire & Fury」でクォン・ウォンイルと対戦する佐藤将光インタビュー後編。
その試合数の多さから、若きベテランと言われていた佐藤もキャリア54戦目を迎え──20日の会見では出席6選手で最年長になっていた。32歳、そのMMAが完成の領域に入ったように見える充実の2019年から2020年へ。ONE世界バンタム級王座挑戦も視界に入ってきた佐藤をAbema TVのドキュメンタリー番組=「THE WONDER」が追った。
同番組内でMMAPLANETではクォン・ウォンイル戦に集約して話を訊いたインタビューを敢行、佐藤は「タイトル挑戦を考えて勝てる相手じゃない」とクォン・ウォンイル戦について語った。
<佐藤将光インタビューPart.01はコチラから>
──そのような特徴のあるクォン・ウォンイルに対して、佐藤選手自身の動きとして気を付けないといけない部分はどこでしょうか。
「プレッシャーをかけられた時に姿勢が崩れないようにすることですね。それと一発もらった時に慌てて大振りになって態勢を崩したり。そうなることが一番良くないです。プレッシャーをかけられても相手を見て、どこが空いているのか隙間を叩いたり、カウンターでテイクダウンを狙いたいですね」
──今回はケージが使用されるようですが、金網と相手に挟まれている距離、そして挟んでいる距離、このゼロ距離での打撃が佐藤選手の一つの持ち味かと。
「それを普通に練習で使っているので。出稽古に行って驚かれるのですが、ヒジとかヒザとかサポーターをつけずに使ってしまって……、謝らないといけないようなことがあって(苦笑)」
──それは嫌ですねえ(苦笑)。
「ウチと坂口道場の練習ではカカト蹴りとかも、OKにしているのでつい使ってしまうんです。ホント、出稽古で使わないでいようと思っていてもついつい出てしまって。普段から使っているから、試合でも出るというのはあるはずです」
──ファイトベース、坂口道場以外で練習というのは?
「月曜日が坂口道場で、火曜日は出稽古でKRAZYBEE、水曜日はここ(ファイトベース)、木曜日がTRIBE、金曜日が坂口道場、土曜日はランニングと筋トレ、日曜日は禅道会でLUIZ選手と練習しています」
──日曜日も。休みがないではないですか!!
「火曜日は道場を創ってからはパーソナルが入るといけなくなるので、日曜日も練習できる環境を創っておこうと思っていたらLUIZさんに誘っていただいて。疲れが溜まっていない時……火曜と木曜に出稽古へ行けない時は日曜日も練習しています。今は試合前なので、火曜日もなるべくパーソナルをいれないようにはしています」
──出稽古およびプロ練習が多いと、自然とスパーも多めになるということでしょうか。
「そうですね。出稽古もここでもMMAグローブで、MMAスパーリングです」
──毎日のように打撃有りのスパーリングをしているということですか!!
「そうですね(笑)。打撃の強度はどこの練習もほぼ同じで、TRIBEは身体的により厳しいところはあります。ただし打撃に関しては練習の強度でも、試合と同じで打たれないで打つよう心がけています」
──どうしても佐藤選手の試合はROAD FCでの一連の戦いや石橋佳太選手との試合の印象が強くて……。
「ロードはもう打ち合う状況しかなかったです。本当はキレーに戦いたいのですが、あれだけ前に出てこられると打ち合うしか……。石橋さんも、もうしょうがないですよね。アレもしょうがない、打ち合うしかなかった。出てくるので。
もともとは足を使って自分だけ当てるスタイルなので、基本はそのつもりなんです(笑)。引いてくれれば、僕は距離を取って戦うのですが、出てくると打ち合うしかない」
──いざとなったら打ち合うことができるのは、大きいと思います。距離のマネージメントをしたうえで打ち合える。それが佐藤選手の強さなのですね。
「次の試合も相手は出てくるので、打ち合う展開になると思います。出てくる相手をすかすことも大切ですが、すかしきれない……キレーにいなせないと、飲み込まれるので。それだったら打ち合ったほうが良い。そうしないと勝てないですからね。打ち合わないともっと打たれるから、打ち合うんです」
──パンチを被弾する数を減らすために打ち合うと。
「そういう判断です」
──そのポリシーがあるなかで、ハファエル・シウバのテイクダウンを切って勝てたことは、より自信を得られる結果になったのではないでですか。
「あの試合はシウバ対策をひたすらしていた試合なので。だから他の試合に適応するモノではないのですが、練習でやってきたことが試合で反映されたことは凄い自信になったというか……」
──✖✖✖✖✖戦のオファーが一度あったことは、世界挑戦が違いという気持ちが以前よりも確信になったのではないでしょうか。
「ONEの人達がそうしようとしてくれたということは、リストに入っているとは認識できました。もう遠くない。勝っていけば1戦、2戦で来るかと思います。ただし、次の試合は次の試合です。そんなことを考えて勝てる相手じゃないです。
結構、強いです。松嶋選手と戦って、あれだけ立ってガンガン打撃を見せているので……それは強いです。スタンドのレスリングもソレなりにできますし。ここに勝たないことには始まらないので、タイトルとかそういうことは考えずに集中して臨みます」
──どのような試合をしたいと思っていますか。
「勝つことしか考えていないので、どういう試合を見せたいとかはないです。ただただ相手を研究して、勝つための動きをするなかで、フィニッシュは常に意識しています。その方が勝つ確率も上がると思うので。そうやって戦うと相手もプレッシャーを感じて、ミスをする可能性も上がるので。フィニッシュを狙う圧力は常にかけていきたいです」
──フィニッシュを狙うというのも、綻びが見えたらそこを一気につくような印象です。
「ハイ。できるだけリスクを負いたくないので、相手が下手こいたところ、嫌がっているところついていきます。そうすると誰だって不安が大きくなっていくので、小突いていきます。そういう戦いをしていると、実際は相手の方が実力があっても、ひっくり返すことも可能なので精神的には『余裕だぜ』と思いつつ、締めて戦うようにしています」
──ONEで戦うようになり、流れが良くなっていますね。
「自分では分からないですが、結果を見れば上手いことはいっていますね。でも、やっていることは今までと変わっていないです」
■クォン・ウォンイル インタビューはコチラから