【Pancrase293】とんでもない、魂の激闘。仙三が若松にTKO勝ち!!
<フライ級KOPT/5分5R>
仙三(日本)
Def.5R2分18秒by TKO
若松佑弥(日本)
思いきり左フックを振るった仙三、これをかわした若松がジリジリと距離を詰める。ケージを背負って回る仙三も左リードフック、若松は左を避けて左を当てる。仙三のローにも右を合わせた若松。仙三は左ボディフック、若松が踏み込んで右を見せ、左ミドルを狙う。続く若松の右オーバーハンドは空振りに、仙三は腰を振って間合いを外し、後ろ回し蹴り。バックステップでかわした若松に仙三が左を当てる。
仙三は左ジャブ、若松は回る仙三の正面に立ち、前進にカウンターを合わせつつ自ら踏み込んでパンチを放つ。そこに右を合わせた仙三は、下がった若松にコンビネーション。すぐに距離を取り直し、最後はケージ中央を陣取って左を当てる、若松も右を返して、迫力の初回が終わった。この回を取ったのは3票獲得の王者となった。
2R、両者の右が交錯。若松が右オーバーハンドで前に出る。頭を位置をずらして前に出る若松に対し、仙三は右を打つと見せてサークリングへ。ヒザを狙った王者は、若松の踏み込みのタイミングを掴んできたか。その刹那、若松も頭を揺らしてパンチを伸ばし、仙三に反応させる。仙三の二段蹴りを冷静に外した若松に、王者のリードアッパーが届く。若松は右オーバーハンドを打ち返し、左フックをよける。仙三も直後にヒザ蹴りを突き上げ、間合いを確保――左ジャブを被弾する。
若松は左ボディストレート、左ジャブ、仙三は右ローを蹴り込む。ジャブが当たるようになった若松、そのジャブに仙三も左を合わせた。瞬き厳禁の攻防は若松に2票、1人が仙三を支持した。
3R、左ジャブからシングルのフェイクを見せたチャレンジャー。王者は飛びヒザを繰り出す。左ジャブの差し合い、仙三が右ストレートをヒットさせる。右オーバーハンドを避けれられ、左フックで追いかけた若松に右を返すチャンピオン。若松は右を当てて、前に出てさらに右を当てる。視線が落ちた仙三に若松が首相撲、崩されて背中をつけてもそのまま蹴り上げて両者揃ってスタンドに戻る。
若松の圧力が強くなるなか、仙三はジャブを連続で打ち込む。そのジャブに右を合わせようとする若松、王者は打ち終わりに右フックを狙う。若松は引き続き左ジャブを当て、仙三が前に出て右ストレートを当てる。若松の右を受けても、下がらず打ち返す仙三が左ジャブをストレート気味に打ち抜く。さらに左を入れ、右の相打ちから、ヒザ蹴り、左ボディフック、果てしない打ち合いで仙三が右フック、ヒザを突き刺し、ボディから左フックと打ち勝った!!
凄まじい打ち合いで攻勢に出た仙三が3Rに3票獲得、試合はチャンピオンシップラウンドへ。王者の後ろ回し蹴りに、右を合わせようとした若松。2人とも軸が乱れ、息が上がっている。気持ちの勝負に次元があがると、両者は距離を詰めて左ジャブを打ち合う。ダブルでなく、トリプルでジャブを繰り出す王者は一旦間合いを外して、左ボディフックを打ち込む。さらに左フックを入れ、小刻みなステップを踏み、追ってくる若松に思い切り左フックを打っていく。
これを避けた若松は、やや動きを落とし気味のなかボディにヒザを2つもらう。残り1分を切り、鼻血を流した若松が右フック、王者は右に回りつつヒザを当てた直後に右を被弾する。前方に崩れた仙三にパンチのラッシュを掛ける若松。倒れた王者は殴られながら立ち上がり、首相撲でチャレンジャーの猛攻を遮断したが、ここは若松のラウンドとなった。
最終回、右オーバーハンドで頭が下がった若松にヒザを入れたチャンピオンだが、まだダメージは残っておりフックを打たれて頭が揺れる。それでも首相撲でヒザを入れた仙三、若松も4Rの攻め疲れからか手が出ずジャブを痛打される。ついに組みに行った若松は、ヒザを受けエルボーを被弾する。王者の猛攻に頭が下がり、動けない若きチャレンジャー。動けず、頭が垂れ下がる若松に仙三がヒザを連打し、日本MMAの歴史に残る激闘は終止符が打たれた。
「ずっと暮らしてきたおばあちゃんが1週間前に亡くなり、不安になり勝てるかなって。いつも応援してくれる皆さんがいるから、今回頑張れて……」と涙で声が詰まった仙三。それでも「応援してくれたので頑張れました。勝ったぞ」と天国の祖母に手を突き上げたチャンピオンは「UFCに行きたい。UFCファイターに負けない気持ちがあるので、UFCオファーください。日本で一番のストライカーは仙三なんで。UFCオファーください、お願いします」と試合と同様に魂のマイクアピールで激闘を締めた。