【ROMAN03】6年4カ月振りの実戦復帰&ヨースキー・ストー戦。石川英司「格闘技をやっている人たちは…」
【写真】試合の翌日に46歳となる石川。MMA戦績は58戦、31勝24敗3分で道着MMA (C)TAKUMI NAKAMURA
11日(土)、東京都新宿区GENスポーツパレスで開催されるROMAN03で石川英司が約6年4カ月ぶりに復帰し、ヨースキ・ストーと対戦する。
Text Takumi Nakamura
前回大会でアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ×日沖発や門脇英基の試合をマッチメイクしたROMAN。今大会では2000年~2010年代の国内MMAで活躍した石川の復帰戦が組まれた。2016年9月のミノワマン戦以降、石川は交通事故による逮捕もあり、格闘技から距離を置き、プロMMAの表舞台に立つことはなかった。
対戦相手のヨースキ・ストーは石川と同世代の45歳。Xガードの名手として名を馳せており、国内ブラジリアン柔術界の重鎮だ。今年もASJJFのCENTRAL JAPAN大会で道着、およびノーギのアダルト黒帯で階級と無差別を制して四冠となっている。
そんなヨースキ・ストーに挑む石川だが、この6年間で何があったのか。なぜ再び度格闘技の試合に挑む気持ちになったのか。包み隠さず、今の想いを語ってくれた。
――石川選手、お久しぶりです。2019年6月のミノワマン戦以来、約6年4カ月ぶりの試合が決まりました。この期間、石川選手はどのように過ごされていたのですか。
「ミノワさんとやる前からGRABAKA東中野の代表を任されていて、ミノワさんとやった翌年に水商売(ガールズバー)も始めたんですよ。しばらくはジムとバーを兼用してやっていたのですが、バーの方が忙しくなってきて、ジムを辞めてバーに専念するようになったんです。その3カ月後に交通事故で捕まってしまって……」
――当時報道もされていましたが、言える範囲でどういう状況だったのでしょうか。
「お店で飲んだあとに一度寝て、起きてから女の子を家まで車で送迎している途中で事故を起こしました。居眠り運転で反対車線に出てしまって車と車で事故を起こして、罪状としては道路交通法違反と危険致傷罪でした。逮捕されたあと留置所に20日間拘留されて、裁判を経て執行猶予4年がつきました。今は執行猶予も終わっている状況です」
――色々な憶測も飛び交っていたので石川選手の口から正しい情報を聞くことが出来てよかったです。その後もバーの経営は続けていたのですか。
「お店そのものはしばらく続いたのですが、最終的に2年半くらいで潰れました。ただ自分も世間知らずだったので、お店を畳む時に色々と大変だったんですよ。それで職もなくしてどうしようもなかった時に朴(光哲)さんが『本当に困っているんだったら仕事を紹介するよ』と連絡をくれて、解体関連の仕事を紹介してくれたんですね。そこで働かせてもらうようになり、今もその会社で現場仕事をしながら格闘技を続けています」
――いつ頃から格闘技の練習を再開したのですか。
「ある程度自分のことに整理がついてから、山ちゃん(山﨑剛)のリバーサルジム新宿Me,Weに一会員として入会して練習を再開しました。今はMe,We、八隅(孝平)先輩のロータス世田谷、朴さんのNOFACE GYMの三つで練習させてもらっています」
――何かしらの形で格闘技をやりたいという気持ちは持ち続けていたのですか。
「正直もう格闘技はいいかなと思ったこともあります。でも格闘技をやっている人たちは………みんな温かいんですよ。Fighting NEXUSの山田(峻平)代表の結婚式に出席した時、過去に戦ったことがある桜井隆多さんと話しをしたり、髙阪(剛)さんから『いつでも練習においでよ』と声をかけてもらえたり。そういうこともあって自分ももう少しだけ格闘技を頑張ろうと思いましたね」
――そのなかでどのような経緯でROMANに参戦することになったのですか。
「朴さんに誘われてROMAN02を見に行って、日沖(発)選手が出ることも何も知らなかったんですけど、ものすごくいい大会だなと思ったんですよね。それで打ち上げにも参加させていただいて、(渡辺)直由さんから次は10月に予定しているということを聞いて『自分もROMANで試合をやってみたいです。もしよかったら次の大会に出してください』と自分からお願いしました」
――石川選手からのリクエストだったのですね。
「そうですね。どうせやるなら準備が整ってから試合を決めるのではなくて、先に試合を決めてからそこに向かって頑張ろうと思いました」
――久々の試合に向けた練習はいかがですか。
「純粋に楽しいですね。練習を再開した時は全然体も動かなかったのですが、やっていくうちに段々と動くようになってきたし、スパーリングでもちょっとずついい動きが出来るようになっているんですよ。そういう感触があるのでもう少し頑張れるなという気持ちになりますね」
――意外に動けるなという感覚もありますか。
「これもひとえに朴さんのおかげで、朴さんからストレッチのやり方を教えてもらったんですよ。自分はそれまでストレッチとか一切やってこなかったんですけど、朴さんのストレッチをやるようになってから、また体が動くようになりました」
――ここでも朴さんが登場するのですね。もともと石川選手は朴さんとどういうつながりなのですか。
「若い頃によく一緒に飲みに行っていて、KRAZYBEEにも練習に行かせてもらっていたんですよ。それ以来の付き合いですね。今もお世話になるとは思っていなかったし、苦しい時期に色々と助けてもらうことになるとは想像もしていなかったです。本当に自分の恩人ですね。それは山ちゃんも八隅先輩も同じです」
――山﨑さんは石川選手にとって年上の後輩のような間柄なのですか。
「いや普通に先輩ですね(笑)。ちょうどGRABAKAに入ってすぐくらいの時に、お互いのことをどう呼ぶかという話になって。『面倒くさいから“山ちゃん”と“英ちゃん”でいいですか?』と言ったら『いいよ』と言ってくれて、それから“山ちゃん”と呼んでいます(笑)。もちろん話す時は敬語を使っていますよ」
――敬語でも山ちゃんなのですね(笑)。ところでROMANは道衣着用のMMAですが、そのあたりの練習方法は?
「しかもヒジもグラウンドのヒザ蹴りも全部OKという過酷なルールで、Me,WeでROMANルールのスパーリングをやっています。道衣のテクニックが分からないから練習ではズタボロになっていますけどね(笑)」
――逆に道衣も含めて練習そのものが新鮮なのですはないですか。
「その通りですね。同じMMAでもROMANルール=全く新しいものなので、気持ち的には新鮮な気持ちでチャレンジできています」
――対戦相手のヨースキ・ストー選手についてはいかがでしょうか。
「どういう人で強い選手ということは分かっているので、本当に強い相手を用意してもらって格闘家冥利に尽きます」
――約6年4カ月ぶりの試合でどのような自分を見せたいですか。
「一生懸命戦うだけですね。一生懸命やるだけ………。それ以外のことは考えられないです」
――石川選手と言えば一心不乱に戦う姿、それこそ一生懸命に戦うところが持ち味だと思うので、そういう姿を見たい人たちは多いと思います。
「ありがとうございます。今後も試合をやるかどうかは別として、これからも格闘技そのものは続けていきたいです。実は試合の次の日が自分の誕生日なんですよ。6年ぶりに試合をやって、翌日が誕生日というのもなんかいいなぁと思っていて。たまたま自分が出たいと思った大会がそういう日だったというのも試合をやるタイミングだったのかなと思います」
――ROMANは前回大会でアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ×日沖発や門脇英基選手の試合が組まれていたり、石川選手が復帰するには相応しい舞台かもしれないですね。
「そうですね。他のMMAの団体だったら、簡単に試合をしたいとは思えなかったと思うんですけど、逆にROMANという色がある大会だったから復帰したいと思ったかもしれないです」
――それでは最後に石川選手が戦う姿を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。
「数年前に不祥事を起こして、たくさんの人に迷惑と心配をかけてしまいました。本当に申し訳なかったと思います。またこうして試合をすることになり、一生懸命戦いますので、その姿を見てもらえたら幸いです」
■放送予定
10月11日(土・日本時間)
午後1時00分~U-NEXT