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【PFL CS03】バックに帰結する逆算MMAでウスマン・ヌルマゴがヒューズを返り討ち。PFLのベルト巻く

【写真】巧さは強さ。そんなウスマン・ヌルマゴメドフだった(C)PFL

<PFL世界ライト級王座決定戦/5分5R>
ウスマン・ヌルマゴメドフ(ロシア)
Def.3-0:50-45.49-46.48-47
ポール・ヒューズ(アイルランド)

ウスマンがサウスポーに構え、右ローを軽く蹴る。ヒューズも牽制のような蹴りを見せるが、互いに慎重な立ち上がりに。ウスマンはオーソから右ミドル、ワンツーの右を伸ばす。スイッチを繰り返すウスマンに対し、ヒューズが左を振るって前に出る。首相撲にもパンチを続けるヒューズ。ウスマンはヒザ蹴りで後方にバランスを崩すが、すぐに立ち上がると左インローを蹴る。これが急所に入りヒューズが悶絶する。

再開後、左ミドルを蹴ったウスマン。ヒューズはキャッチしきれない。と再びウスマンの蹴りが急所付近に入り、ヒューズがFワードを叫ぶが、レフェリーは流す。スイッチキックを見せたウスマンは、一瞬にして距離を詰めるとテイクダウンからスクランブルでスタンドバック&両足フック。RNCにヒザをついたヒューズを殴るウスマンは、ボディトライアングルからRNCもヒューズが正対しつつ、前方に落としてピンチを逃れた。

残り10秒のスタンド戦はウスマンのテイクダウン狙いにヒューズがヒザを合わせにいき、右を当てるがウスマンも左を打ち返して時間に。

直後に頭をつき合わせる両者、ウスマンが頭をぶつけるがレフェリーはこれも流した。

2R、ダブルジャブのヒューズ。ウスマンは足を使って右を伸ばす。圧を掛けるヒューズがジャブをヒットし、右インローを入れる。ウスマンは左リードフック、続く左フックは空振りに。右ボディを入れたヒューズの右ハイをかわしたウスマンは、ややペースを抑えているか。と、ヒューズが左リードフックから前に出る。ウスマンは近い距離でパンチを振るうとテイクダウンを考慮しているのか、ややバランスが悪くなるのが気になる。

ヒューズはジャブを2度見せるが、直後にウスマンがシングルレッグからバックに回ってワンフック。そのままボディロックテイクダウンを狙うが、切られてヒザをボディに入れる。ヒューズは構わず左右のコンビで距離を詰め、思い切り左を伸ばす。フックは空振りもジャブを当てたヒューズが首相撲&ヒザ蹴りを入れ、右も届かせる。ウスマンはワンツーからスピニングバックキックも当たりは浅かった。

3R、関節蹴りを見せたウスマン。直後にテイクダウンを仕掛けたか。ヒューズは前に出てボディから顔面にショートを2発打ち込む。ウスマンもここで下がらず右をヒット。互いに構えを変える神経戦から、ウスマンがダブルレッグからバックもヒューズが離れて前方に姿勢を乱す。打撃の攻防ではヒューズが左ヒジを空振りし、ウスマンがインローを蹴り、ヒザに右を合わせる。

ヒューズのローをチェックしたウスマンが、左インロー。ヒューズはボディから顔へとコンビを決める。慎重な両者、ウスマンは左フックにダブルレッグを合わせてバックに回り、タイム。試合はチャンピオンシップラウンドへ。

4R、ウスマンが前足でハイを狙う。ブロックしたヒューズはインローを蹴られると、またもウスマンの左の蹴りが急所に入り、今度は腹ばいで倒れ込んでしまう。それでもスッと立ち上がったヒューズは試合再開に即応じる。と、ウスマンがニータップからバックに回り、ワンフックでしっかりとバックに。

ウスマンの着地のタイミングで離れたヒューズだったが、序盤のように圧を掛けることなくシングルレッグからまたも背中に乗られる。RNCを仕掛け、落とされそうになったところで自ら離したウスマンは、打撃では無理をせずバック奪取でラウンドを取るという計算でここまで戦っているようだ。攻めないといけないヒューズだが、テイクダウンを織り交ぜたウスマンとの距離をなかなか詰められないまま時間に。ここで両者は何やら、言葉をかわし険悪な空気になった。

最終回、挑発を続けるウスマンに観客がわく。フィニッシュが必要なヒューズは左フック。続いて右をヒットさせる。組みのタイミングが狂うと、一発で試合が終わるかもしれないという空気の中ウスマンがジャブを被弾して腰を落とす。直後のハイクロッチからリフトしてヒューズを落としたウスマンが、ファンに手を挙げてアピールする。直後のシングルを切ったヒューズが、ジャブを2発届かせる。ウスマンも右を返し、打撃戦を続けたいヒューズがワンツーに左を合わせようとする。

残り2分、ボディ&顔面のコンビをかわしたウスマンは、接近戦でヒザ蹴りを許すが離れて右を当てる。ヒューズの右ハイがウスマンの顔面をかすめる。と、打撃の交換のなかで今度はウスマンが目を抑える。頭が当たりカットしたウスマンは、リスタート時にタッチグローブをしてみせた。

最後の60秒、ウスマンはヒザ蹴りからシングルレッグでテイクダウンし、バックへ。ヒューズはスイッチ狙いから離れて最後の勝負を仕掛けようとするも、ウスマンは間合いを外して、サークリング、心憎いばかりの試合運びの巧さを見せたウスマンが、3-0でヒューズを返り討ちにPFL世界ライト級のベルトを腰に巻いた。

「最高の気分だ。チームの皆に感謝している。父の前で勝てて本当に嬉しい。このベルトは父に捧げたい。この試合、接戦だったというの? タフファイトでタフなファイトだった。僕はポールを軽視していなかった。でも、君は僕を軽く見ていたんだ」と話すと、ヒューズはそんなことはないとばかりに首を横に振り、王者に拍手を送った。

そしてウスマンは「アルフィー・デイヴィス、いつ、どこで戦うから言ってこい」と話す。カビブ・ヌルマゴメドフは「この8カ月間準備してきて、進歩を見せていた」とウスマンを称え、「このケージのなかで僕らに勝つことは簡単じゃない。なぜか、僕らは毎日思い切りトレーニングを繰り返しているからだ」と言葉を続けた。


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