【RIZIN LANDMARK12】彷徨える松嶋こよみがケラモフと対戦。万人が強いと認めるファイトが活路を開く
【写真】打撃の指導だけだなく、参謀ともいえる良太郎コーチと息の合ったコンビで挑みたい(C)MMAPLANET
3日(金)、11月3日(月・祝)に神戸市のGLION ARENA KOBEで開催されるRIZIN LANDMARK12の追加カードの発表がインスタライブで行われた。
Text by Manabu Takashima
そしてフェザー級でヴガール・ケラモフ×松嶋こよみ、ライト級でキ・ウォンビン×キャプテン☆アフリカ、バンタム級で金太郎×リ・ユンフォンの3試合が実施されることが明らかとなった。
松嶋のRIZIN初参戦とケラモフ戦の決定は、サプライズ――とはいえ、組まれるべきして組まれたカードとも捉えることができる。MMAを戦うのは、UFCで戦うため。そのためにプロ修斗デビュー直後から海外に出向き、パンクラス~ONEとキャリアを積んできた。
アジア最大のイベントとの契約で、生活は一定の安定をみた松嶋だったが、UFCを目指すために契約は更新せず。しかしながら、UFC出場の足がかりすらつかめない。一度はBRAVE CFでキム・テキュンと戦うことを決めるも、そこでRoad to UFCという新たな世界最高峰への道が整えられ、シーズン01のフェザー級への出場権を得た。
しかしながら、準決勝でイー・チャアに惜敗しUFCが遠ざかる。それでも松嶋はUFC出場という目標を持ち続け、少しでも強い相手と戦うMMA道を歩み続けることに。2023年にDEEPで元UFCファイター&LFAファイターのガブリエル・シウバ戦が決まるも、ビザが間に合わず代役の獅劉をサッカーボールキックで下す。
続いて猛者狩りの旅は、TOP BRIGHTSのカルシャガ・ダウトベック戦へ。ここで松嶋はダウトベックがRIZIN再来日&脚光を浴びるきっかけとなる――初回TKO負けを喫してしまう。さすがに「ここまで」という声も挙がったが、LFAとのパイプがあったGladiator Challenger Seriesで再起を図ると、そのLFAとの契約を果たす。
LFAとの契約の肝は3年間のビザ取得。LFAで戦いながら、UFCへのショートノーディス・デビューの可能性を探ってのものだ。それが松嶋にとってUFC挑戦の最終章――となるはずだったが、MMAの神様はどこまでも試練を与え続けた。
LFA側も過去に例がなかった――ビザ申請が通らないという事態に陥り、加えて恩人の急逝により、ジムを引き継ぐことを決めIDEA.Asakusaを運営していくことに。この半年を荒波のなかを往く小舟のような状態で過ごしてきた松嶋は、ついに国内で戦うことを決意する。
そんな彼の下に、KNOCK OUTからUNLMITEDルール出場のオファーが届く。8月29日に中国のジャン・チャオに判定勝ちを収める。本人は自身のパフォーマンスに満足できなかったが、KNOCK OUT山口元気代表から発想豊かな戦いを絶賛し、MVPに選ばれた。
この時点で松嶋は今後に関して、「単発契約、ビザが下りればLFAで戦うことを認めてくれる」条件下で国内で戦う路を真剣に模索するようになる。そのタイミングで、RIZINからケラモフ戦のオファーがあった。
松嶋サイドでは契約下にあるLFAに話を通し、了承を得て今回の参戦が決まった。過去にUFCと対局の場という捉え方をしていた松嶋のRIZIN出場。重ねて書き記すと、松嶋がUFCを目指す理由は世界中の強豪が集まる場だからだ。UFCで戦う筋道が立てられないなかで誰もが強者として認めるケラモフ戦を断っては、自らがそのMMAファイター人生を否定することになる。
インスタライブで榊原信行CEOは「日本のフェザー級ではトップレベル。ファンも喜んでくれていると確信している」とコメントし、松嶋も「初参戦で前王者のケラモフと対戦というチャンスをもらえて嬉しいです」とコメントを寄せた。
なんといってもONE離脱後、試合中に荒々しさがマイナスに働くことが少なくない状態が続いているなかで、過去最高のフィジカル&メンタル状態を創ってケラモフに挑むことが絶対条件だ。
松嶋に必要なのは勝利、それ以上に「疑いなく強い」と万人に認められるファイトをすることだ。RIZINとしても元王者超えを新参者が果たし、ファンが継続参戦を望めばそれらの声は無視できなくなる。一発逆転でUFCへの道が再び見えてくるのか。RIZINフェザー級戦線で、とんでもない外国勢と伍していく日本代表となるのか。ケラモフ戦は松嶋のMMAファイター人生に訪れた、(何度目となる)今後を決める一戦になることは間違いない。