【ONE FF127】山本歩夢がONE FF初陣。フィリピンのサクレッグ×コロンビアのフアン・トルヒーリョも注目
【写真】セレモニアルといえども、この体躯はONE階級らしい(C)ONE
本日3日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FF127に山本歩夢が出場し、アルゼンチン人ファイターのルカス・ガニンと対戦する。
text by Manabu Takashima
山本は高校や実業団の柔道で活躍した後、起業をして手っ取り早く会社を有名するために「UFCは見たことがない」という状態で格闘DREAMERSに挑戦するなど、型破りなプロMMA人生を歩んでいた。結果、目指すモノが違うとDREAMERSの負傷脱落も気にせずにプロMMAデビューを2020年12月にDEEPで果たす。
4戦目の関鉄矢戦で腕十字によって初黒星を喫しながら、2022年3月にRIZINで戦う機会を得るもRYUKIにTKO負けする。己に自信があり、ぶっちぎりの勝利でキャリア序盤を謳歌した選手は、その勢いを叩き折られるとMMAへの熱を失うことも少なくない。特に山本のように他競技で上々の成績を残しているファイターは、勝利と脚光を浴びる舞台から遠ざかるとそうなる傾向が強い。
しかし、山本は素潜り漁師を志し石垣で、柔術黒帯で現ROAMANを率いる渡辺直由氏と出会うと、その石垣で柔術を学ぶことになった。その後、ROMANから桜井隆多興行=Resilience、NEXUS、そしてPancraseとファイトシーンに拘りを見せキャリアを再構築している。同時にK-PLACE所属となり、決して大舞台でなくても真剣にMMAに向き合うチームメイトを得たことが山本の精神面、そしてファイトスタイルにどのような変化をもたらしたのか。
ONE FFという舞台で戦うルカス・ガニンはキャリア8勝1敗のアルゼンチン人ファイターだ。ONE FF103ではハリソン・ヌネス・ソウザを相手にえげつない回転数のフックの連打で30秒KO勝ちを収めている。それでいて、8つの勝利のうち5試合が一本勝ち(ヒールフック、RNC、腕十字×3)というガニン。山本のMMAファイター力と今後の可能性を占ううえで最適な相手といえるかもしれない。
また今大会のオープニングマッチで組まれたジアン・クラウド・サクレッグ×フアン・トルヒーリョにも注目だ。散打では2016年のワールドカップ60キロ級優勝。2014年の世界武術選手権では同級3位になっているサクレッグ。2019年のMMAデビューは日本の修斗で、当時の環太平洋バンタム級王者の岡田遼と対戦した。
結果はテイクダウン&コントロールの前に判定負けを喫したが、「外せる距離だと思っていたのに、蹴られました。想像を超えた踏み込みのスピード。このまま普通に練習していたら勝てなくなるぞと教えてもらった」と岡田が振り返るほど、チーム・ラカイの新鋭はポテンシャルの高さを見せていた。
サクレッグはMMAデビューの7カ月後にSEA Gamesのキック部門63.5キロ級で、ONEでも戦っているマレーシア人キックボクサーのモハメド・ビン・マムードを決勝で下し金メダルを獲得した。
しかし、コロナでキャリアが4年以上途絶え2023年にMMA二戦目で初勝利を挙げると、去年からONE FFに参戦し2勝1敗の戦績を残している。今年の5月にトルクメニスタンのシャザダ・アタエフに腕十字で敗れたが、敗れてなお精度のあがったテイクダウンディフェンスやスクランブルなど組み技に長足の進歩を見せている。
打撃に関してはデビュー時から得意だった遠距離のサイドキックやカーフは当然として、蹴りの後のパンチのコンビ――特に左フックを強力な威力を秘めており、首相撲からヒザというゼロ距離でも打撃を駆使できるようになっている。
対するフアン・トルヒーリョは6戦負けなしのコロンビア人ファイターで、打撃も使いこなすが組んでバックテイク&RNCという必殺の勝利のパターンを持つ。
ONEに関していえば、MMAのバンタム級戦線が活発とはいえない。が、フィリピンやコロンビアのヤングプロスペクトのファイトをチェックすることで、世界を知ることができる。そういう意味でも注目度の高い第1試合だ。
■放送予定
10月3日(金)
午後9時15分~U-NEXT