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【JBJJF】8月6日、全日本で復活──芝本幸司─02─「ケガの是非など、実はない。自分がどうするかだけ」

Koji Shibamoto【写真】現実を見つけ、しっかりとこの先を見据えている芝本 (C)MMAPLANET

8月6日(日)、東京都大田区の大森スポーツセンターで第18回全日本ブラジリアン柔術選手権が開催され、同大会で復帰戦を戦う芝本幸司インタビュー後編。
Text by Tsubasa Ito

3月のパン選手権、そして6月には黒帯では6年連続で出場を続けていたムンジアルも欠場となったが、マットから離れていた時間は芝本に何を与えていたのか。そして、ケガをした事実をどのように捉えているのか。

そこでは理路整然とした前向きの応え、常人ではなかなかたどり着けない境地にある芝本がいた。

<芝本幸司インタビューPart.01はコチララから>

――メダル獲得という点においては、橋本選手に先を越される形となりました。

「過去の自分の大会を見ても、組み合わせ次第では3位に入っていたと思うようなトーナメントはあったんですよね。たらればの話なので実際はわからないですけど、だいたい(ジョアオ・)ミヤオとかカイオとベスト8で当たっていたので。その時点で2位、3位は捨てていましたし、そこに他の日本人が入ったから先を越されたとは思わないですね。

ただ、そうは言ってもきっちり勝ち上がってメダルを取ったことはすごいと思います。私より後から黒帯になった選手が現時点で私以上の成績を挙げているわけですから、もちろんいい刺激はもらっています。

でも、先を越された、悔しいというような感情はあまり自分には必要ないというか、そういうことを思ってしまうと純粋に強くなるための練習が私の場合はできないんです。人と比べて結果だけを追ってしまうと、すごく精神的にきつくなってしまう。あくまでも、自分のベストの成績をつねに出せるように考えています」

――他人の成績よりも、自分自身がどうするかが大切だと。

「ただ、唯一恐れていたと言うとおかしいんですけど、まったく知らない選手が勝ち上がっていたら、少し動揺したと思います。自分が参加していないトーナメントで、ブルーノ、カイオ、橋本、ピニェーロよりも強い選手がいたら、これはものすごいプレッシャーなんです。

ところが結局、私が予想した通りの順位に収まった。ということは、情勢は変わっていないんです。今回は1回パスしましたけど、今までの通りの勢力図に自分が割り込んでいけるようにするという目標は変えずに済んだので」

――では、全日本に向けてヒザの状態はいかがですか。

「現時点では絶好調です。こちらのスケジューリング通りに回復して、スケジューリング通りにトレーニングを再開できているということですね。手術から近ければ近いほどもろい状態で再発しやすいということなので、何事もなく時間が経つほど安定すると思います」

――スパーリングはいつから再開したのでしょうか。

「本格的なスパーリングは7月に入ってからです。それもまだ1日に2回も3回もというわけにはいかないので、少しずつ。これはケガの再発とは別の理由で、いきなり強度を上げてしまうと他の部位も含めてケガのリスクがありますので。ここから徐々に量などを増やしていって、最終的に試合に出られるまでに戻します」

――現在はどういったテーマを持って練習していますか。

「休んでいた期間に自分の技術体系を整理したんです。今は実際に体を使って、イメージの中でつくり上げた流れを再現できるかどうかのすり合わせをしています」

――これまでなかった動き、新しい試みを?

「フルで体を休めて考えるという時間は、ケガをしたからこそ得られたものだと思うんですよ。もちろん今までも考えていたんですけど、時間が来たらスパーリングに入るわけです。そうすると、どうしてもいつもと同じ展開になってしまったり、得意な展開に頼ってしまったりして、なかなか修正が利かないことがありました。

今持っている技のムダを省いてより効率よく連携するために、コンビネーションの組み合わせとか、技と技の間のここを省けばこの技とこの技がつながるとか、何回も練り直してひとつの流れをつくったんです。実際にやってみるとイメージ通りいかなかったりするので、微調整しながらですね」

――転んでもただでは起きないと。復帰戦では今までとは違う芝本選手が見られるかもしれないですね。

「そうですね。でも選手を続ける限り、その選択肢しかないと思うんですよ。ケガしたことをプラスにとらえるかマイナスにとらえるか。続けるのであればプラスにとらえないと続かないんですよね。現役を今後も変わらずやっていくという選択をした時点で、ケガをしたことすらも強くなるための何かだと考えるのは必然だと思います。

それをプラスにするかマイナスにするかは自分の考え方次第ですし、今後の結果次第ですよね。世界チャンピオンになれば、『あのケガがあったから』と言えるでしょうし、この後負け続ければ『あのケガのせいで』と言うんですよ。そういうもんじゃないですか(笑)」

――すみません。我々は何に対しても理由をつけたがりますから。

「ですから、このケガが良かったのか悪かったのかということの意味なんて、実はないんです。自分が今後どうするかだけだというのは分かっているので、頑張るのみですね」

――全日本選手権にはアダルト黒帯ルースター級の6連覇がかかっています。世界選手権に向けて1年間のスタートと位置づける大会ですが、例年と意味合いは変わりますか。

「手術明け最初の試合がもともと新しい1年のスタートと定めていた全日本というのは、キリがいいしピッタリだと思います。ただひとつ心境が変わったことと言えば、試合ができることがとてもうれしい。これは今までになかったものかもしれません。

ケガがなかったら連覇を意識したと思うんですけど、今回は連覇というよりはマットに上がれることがうれしいです。もちろん優勝できればベストですけど、アジア、ヨーロッパ、パン、世界選手権につながるようなステップアップの大会にできたら良いなと思っています」

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