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【WJJC2017】ミディアムヘビー級 マルキーニョス×グレゴー・グレイシー&ホミーニョ、脅威の忍耐力

Rominho【写真】痛みを超越した精神力など、存在するのだろうか……信じられないモノを見た想いだ(C)MMAPLANET

1日(木・現地時間)から4日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて開催されたムンジアル=IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。レビュー第9回は、ミディアムヘビー級におけるボンサイ柔術のマルコス・ソウザの戦いと、衝撃的な結末となった準決勝のパトリック・ガウジオ×ホムロ・バハウの模様をお届けしたい。


01<ミディアムヘビー級1回戦/10分1R>
グレゴー・グレイシー(ブラジル)
Def. by 13-0
マルコス・ソウザ(ブラジル)

マルキーニョスことマルコス・ソウザは、ヘンゾ・グレイシーの黒帯のグレゴー・グレイシーと対戦。グレゴーは、ヒクソン以前に一族最強だったホーウス・グレイシーの未亡人の息子で、ホーウスの実の息子のホーレスやイゴールを兄弟として持つ。つまり、本人にはグレイシーの血は流れていないものの、幼少時よりグレイシー一族の一員として柔術を学んできた選手だ(※しかし、トーランスのグレイシー・アカデミーにあるグレイシー・ミュージアムのファミリー・ツリーには加えられていない)。

そのグレゴーは14年、MSGで行われたフリースタイルレスリングルールのエキシビションマッチで、グレコで二度米国五輪代表となったダリル・クリスチャンに勝利した実績も持つ。さらにモデルとしても活躍し、ブラジルの有名女性モデルと浮名を流したことのある色男でもある。

試合開始後、跳び三角を狙ったマルキーニョス。グレゴーにかわされると、今度は下からXガードで浮かせて立ち上がってのテイクダウンを狙うが、強力なレスリングベースも誇るグレゴーはバランスを保つ。

02次に引き込んだのはグレゴーの方。クローズドガードをマルキーニョスに開けられると、シザースイープで崩しかけた後、立ち上がったマルキーニョスの両足の膝あたりを両足で覆ってから、巴投げのように後方に返す基本的なスイープで2点を先制した。

03その後スクランブルから立ち上がったマルキーニョスは、両ヒザを付く背負い投げでグレゴーを舞わせるが、グレゴーはすぐに立ち上がり失点をアドバンテージで抑える。やがてグレゴーが再び引き込み。マルキーニョスが後方に倒れこんでグレゴーの右足を肩にかけたところで、シットアップしてリードを4点に広げると、その後マルキーニョスのテイクダウン狙いを重い腰でこらえて、場外ブレイクに持ち込んだ。

04再び引き込んだグレゴーは、マルキーニョスの低いパスの圧力をかわすと、オープンガードから再度、巴投げのような形で大きく投げて2点追加。そのままハーフで胸を合わせると、マルキーニョスが足を浮かせようとしてきたところに乗じてマウントを奪取。一気に7点を加えて勝利を決定付けた。

高い組み技の地力を持ち、タイトで重厚な攻撃を武器とする両者。点差ほどの実力差はないと思われるが、この日は、相手を崩した後に抑え切って得点する力においてグレゴーが上回っていた。

ちなみにグレゴーは次戦で、ヘナート・コルドッソに一本負け。そのコルドッソもその次で優勝候補筆頭のフィリッピ・ペナに敗れ、そのペナも後に報告するように今回は優勝できなかったのだから、この階級の層の厚さが伺えるというものだ。

<ミディアムヘビー級準決勝/10分1R>
パトリック・ガウジオ(ブラジル)
Def. by レフェリー判定
ホムロ・バハウ(ブラジル)

昨年の世界大会引退宣言を翻して参戦した35歳のレジェンド、ホミーニョことホムロ・バハウと、今年のパン大会とブラジレイロを制している23歳、ガウジオの戦いに。実はこの試合は昨年の準決勝の再戦。このときは、前半に大量得点をされたホミーニョが終盤に反撃し、最後はクロスチョークで大逆転勝ちを収めている。

05試合は予想どおり、ホミーニョのオープンガードとガウジオの低いプレッシャーがせめぎ合う展開に。アドバンテージで負けていたガウジオが終盤パスの猛攻を仕掛けると、ホミーニョは反転した状態でガウジオの胴に両足を巻きつけるリバースクローズドガード(?)
の体勢に。

06これで逃げ切りかと思われたホミーニョだが、立ち上がったガウジオは力で両足を押し下げるとトゥホールドで最後の攻撃へ。そして、ガウジオが全力で絞り上げると──なんと、ホミーニョの右足首は見ている者が目を背けたくなるほど捻じ曲がってしまう。しかし、ホミーニョは顔を歪めつつもタップをせず、そのまま試合終了に。

ガウジオが手を離すと、ホミーニョの右足首はネジまかった状態のまま戻らず。それを見て慌てて救急班が飛び込んで患部を見ている間、ホミーニョは脂汗を流しながらも静かな笑顔で、ガウジオになにやら言葉をかけたのだった。

この文字通り破壊的な最後の攻撃により、ガウジオがアドバンテージで並んだため試合はレフェリー判定に。当然ジャッジたちは、致命的なダメージを与えたガウジオに軍配を上げた。新世代がレジェンド相手に昨年の雪辱を果たしての、見事な決勝進出となった。

それにしても、足首を破壊されても笑顔を見せるホミーニョからは、長年世界の柔術界トップを張ってきた者の意地が感じられた。その姿は、2009年に突然柔術トーナメントに参戦してきたジョシュ・バーネットと対戦、足関節の連続攻撃に追い込まれながらも、耐え抜いて薄氷の勝利を得た姿を思い起こさせた。

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