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【UFC205】美貌のコバケビッチを相手にヨアナの選択はムエタイin MMA or MMAムエタイ??

kowalkiewicz【写真】一昨年11月に魅津希に辛勝し、UFCに転じたコバケビッチがこれほど早く世界戦にたどり着くことは予想できなかった (C)INVICTA FC

12日(土・現地時間)にニューヨーク州ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで開催されるUFC 205「Alvarez vs McGregor」。UFC世界ライト級選手権試合=エディ・アルバレス×コナー・マクレガー、世界ウェルター級選手権試合=タイロン・ウッドリー×スティーブン・トンプソンと並んで女子ストロー級選手権試合=ヨアナ・イェンジェチック×カロリーナ・コバケビッチというポーランド女子同士の世界戦も組まれている。


歴史的な大会でポーランド人同士の世界戦を戦うヨアナにとって、昨年3月の王座奪取以来、すでに4度目の王座防衛戦となる。前回、クラウディア・ガデーリャ戦で序盤の劣勢をひっくり返し、MMAファイターとしての耐久力、防御力、そして精神性を見せつけたチャンピオンが戦績12勝0敗なのに対し、挑戦者・美貌のコバケビッチはキャリア10勝0敗、UFCでも3連勝中で無敗対決となる。

コバケビッチは7月に戦前の予想を覆しローズ・ナマジュナスをスプリット判定で破り、今回の大舞台での世界戦出場権を手にした。ヨアナとコバケビッチは、アマチュア時代の対戦経験があり、1R4分18秒でヨアナがRNCによる一本勝ちを収めている。

それから4年半が経過したわけだが、ヨアナはその凶悪なまでの打撃の強さが印象深い一方で当時から絞め技で勝てるだけの引き出しの多さを備えていたわけになる。打撃&柔術的なポーランドMMAと違い、レスリングをベースとしたファイターが多い北米にあって、徹底的にテイクダウンを切り、接近戦におけるヒジやヒザの強さも見せつけてきたヨアナだが、上で記した通りガデーリャ戦では寝技での耐久力、加えて柔術ができるファイターを相手にしてもスクランブルの強さを見せつけている。

一方、コバケビッチもナマジュナス戦では打撃と極めという展開以上にMMAらしいトランジッションを見せていた。この両者、相手がMMAで攻めてくると、対応するという部分でウェルラウンダー振りを発揮するものの、自ら攻めるときは互いにムエタイが中心となる。

ムエタイが本領発揮するのは中間距離、そして正面の戦いだ。MMA特有の遠目のレンジと自由自在に左右に回る動きに対しては、追い足を持つ技術体系でないだけに相手が自分の距離に入ってきたときに強烈な強さを――特にヨアナは見せてきた。では、相手が組んでこない時はどうなるのか。

過去の試合を見る限り、それこそキックボクシングのような攻防に終始し、打撃一辺倒のリズムになることも考えられる。相手の動きに合わせたMMAという面において、ヨアナはスピードでコバケビッチを上回る。その一方で、コバケビッチは中間距離の打撃の間合いだと体が開き気味になるが、打ち合いという展開においてはパワーで上回るか(ヨアナにはそもそも打ち合いという展開がほとんど見られない)。

果たして、そんなチャレンジャーを相手にしたときにヨアナが能動的にMMA的なファイトを展開するのか。あくまでも打撃×打撃になり、真正面からやりあうようなことがあればコバケビッチにも勝機が広がる。相手の得意な部分を封じ込む手段が多いMMAにあって、ヨアナがどのような選択は果たして……。MMA的なキック&ムエタイという間合いのファイトとなるのか。あるいはキックとムエタイを有効利用したMMAを展開するのか。その選択肢を持っているのは王者ヨアナ・イェンジェチックであることは間違いない。

■ UFC205対戦カード

<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者] エディ・アルバレス(米国)
[挑戦者] コナー・マクレガー(アイルランド/※フェザー級王者)

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者] タイロン・ウッドリー(米国)
[挑戦者] スティーブン・トンプソン(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ヨアナ・イェンジェチック(ポーランド)
[挑戦者] カロリーナ・コバケビッチ(ポーランド/2位)

<ミドル級/5分3R>
クリス・ワイドマン(米国/2位)
ヨエル・ロメロ(キューバ/4位)

<ウェルター級/5分3R>
ドナルド・セラーニ(米国/6位)
ケルヴィン・ガステラム(米国/5位)

<女子バンタム級/5分3R>
ミーシャ・テイト(米国/1位)
ラケル・ペニントン(米国/8位)

<フェザー級/5分3R>
フランク・エドガー(米国/2位)
ジェレミー・スティーブンス(米国/7位)

<ライト級/5分3R>
カビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア/1位)
マイケル・ジョンソン(米国/6位)

<ミドル級/5分3R>
ラシャド・エヴァンス(米国/※ライトヘビー級8位)
ティム・ケネディ(米国/12位)

<ウェルター級/5分3R>
ベラ・マハメッド(米国)
ヴィセント・ルケ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
チアゴ・アウベス(ブラジル)
ジム・ミラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ティム・ボッシュ(米国)
ハファエル・ナタウ(ブラジル)

<女子バンタム級/5分3R>
リズ・カモーシェ(米国/9位)
ケイトリン・チューケイギアン(米国/14位)

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