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【AJJC2016】ライト級3位、細川顕の戦いとこれから。「あとは自分次第です」

akira-hosokawa【写真】日本にいて世界レベルと戦うことができるのがアジア選手権だ(C)MMAPLANET

10&11日(土・日)に東京都足立区の東京武道館で国際ブラジリアン柔術連盟=IBJJF主催のアジア柔術選手権2016(Asian Jiu-Jitsu Championship 2016)が開催され、ライト級でホドリゴ・カポラルが細川顕、岩崎正寛という日本のツートップを下して優勝を果たした。


そもそもカポラルは最激戦区のひとつと見られていたライト級で優勝候補筆頭だった。昨年のアジア選手権ではミドル級2位、今年に入ってライト級に転向し6月のムンジアルもライト級で出場している。

細川顕も今大会に向けてカポラルの存在を最も警戒していた。試合前のインタビューで、全日本選手権の決勝をシェアしたカルペディエムのチームメイト・岩崎正寛とのムンジアル出場権を賭けた対戦について聞かれた細川は、「その前にどちらがカポラルと当たるか」と語っている。

迎えた大会前日のトーナメント組み合わせ発表――。カポラルと先に当たるのは、細川だった。勝ち進めば、準決勝戦でカポラルを迎え撃つことになる。しかし、トーナメント表を見た細川は、驚きも不安もなかったという。

「先にカポラルと当たるのは自分かぁぐらいの気持ちでしたね。トーナメント表が出る前から、自分のほうが先にやるという覚悟もできていましたし、初戦の相手がカポラルになることも想定していましたから」

hosokawa-vs-capral結果は5分25秒、十字絞めで一本負けを喫した。カポラルのダブルレッグはカットしたものの、リバーサルで2ポイントを奪われ、さらにパスガードからサイドに移行したカポラルが、トップからの十字絞めで細川からタップを奪った。

身長など見た目の部分からは、さほどカポラルと細川の体格差は感じられなかったが、細川はカポラルと向かい合った印象を、次のように語っている。

「何か大きかったですね(苦笑)。肩まわりとか、自分と同じ階級とは思えないぐらい。どうやって体重を落としたんだろうと不思議に思えるほどでしたよ」

さらに、マット横で取材している記者の目から見た感覚とは異なる、向かい合った者にしか分からないカポラルの圧力――。その要因は、カポラルの力の使い方にあった。

「僕もコンディションは悪くなかったんです。でもカポラルは、テイクダウンにしてもポジショニングにしても、何か日本人選手とは違う安定感があったんですよ。力の使い方が上手かった。ゼロの状態からいきなり100の力になるというか……。あの緩急のつけ方は、上手いと思いましたね。それが“百戦錬磨”ということなんでしょうけど」

一方、細川にはアクシデントが訪れていた。試合開始から4分が過ぎた頃のことだ。

「カポラルがハーフガードからスイープして、担いでパスを狙ってきた時、踏ん張って腰を痛めてしまったんです。そうなったのは僕が悪いので言い訳でしかないんですけど……ただあの状態で、カポラルを返すことはできませんでした」

一度はカポラルのパスを防いだものの、カポラルは一度起き上がってから再び抑え込み、サイドから十字絞めを極めた。
優勝すれば2年間のムンジアル出場権を得られるアジア選手権。準決勝でカポラルに敗れ3位に終わった細川だったが、試合後に話を聞くと、その眼はすぐ次の目標に向かっていた。

「10月22日、韓国のソウル・オープンに出場しようと思っています。今回は3位だったので、得たポイントは9ポイント。もうひとつ国際大会で勝てば、来年のムンジアルには出場できるので」

今回のアジア選手権では、順位別ポイント 1×大会別倍率 3 ×年度別倍率 3で、細川は9ポイントを獲得した。今年4月にライト級で優勝した国際大会、ジャパニーズ・ナショナルでの獲得ポイントは来年のムンジアル出場へのポイントとして計算すると、(9×1)×2で18ポイント。

3位獲得で、ムンジアル出場に一歩進んだのも事実だ(C)MMAPLANET

3位獲得で、ムンジアル出場に一歩進んだのも事実だ(C)MMAPLANET

これで来年のムンジアルまでにソウル・オープンかジャパニーズ・ナショナルなど、国際大会でも優勝すれば、(9×1)×3で27ポイントを追加し、合計でムンジアル出場要件の50ポイントを超えることになる。

「正直、僕は今、名古屋から東京に来て試合をしているじゃないですか。その交通費や移動時間を考えると、韓国へ行くのとそれほど変わらないんですよね」

確かに名古屋国際空港セントレアから、韓国への飛行機が出ていることを考えれば、行きやすい場所であることは間違いない。

加えて大会終了後、JBJJF関係者に確認したところ、ジャパニーズ・ナショナルは来年4月、名古屋で2回目の開催が予定されているという。

「アジア選手権、ソウル・オープン、ジャパニーズ・ナショナルと、アジアでもムンジアルに向けた大会が確立してきましたよね。だからチャンスは広がっていくんじゃないですか」
 
「あとは自分次第ですけど――」と続けた細川に、改めて今回のアジア選手権と、カポラル戦について振り返ってもらった。

「カポラルと試合ができて良かったです。日本にいながら、あのレベルの選手と対戦できるチャンスは、なかなかないですから。でも、ただカポラルと対戦したっていうだけで終わらせたくはない。この内容と結果を、今後の自分に還元したいです。今後は、ワールドクラスの相手を想定した練習を行っていかないといけませんね。ジムに戻って、杉江(アマゾン大輔)さんと一緒に考えます」

今年4月ジャパニーズ・ナショナルでライト級に続き、オープンクラスでも優勝すれば、6月のムンジアルに出場することはできた。もちろん優勝する可能性もあっただろう。

しかし、先にアマゾンがムンジアル行きを決め、細川はアマゾン不在のジムでの指導を選んだ。

それでも、カルペディエムのチームメイトが戦う姿を見て、改めて自分も出たいと思ったムンジアル。来年こそ、世界一を決める舞台に立つため、細川の戦いは続く。

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