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【JBJJF】HOMIES代表、細川顕―02―「今になって『今を生きる』というあの言葉。すんごい胸に染みます」

Akira Hosokawa【写真】今を仲間と生きている細川(C)AKIRA HOSOKAWA

長らく日本のブラジリアン柔術界のライト級を牽引してきた細川顕インタビュー後編。自らの城=HOMIESを持つようになった彼に現役生活とジム経営、さらに柔術界を席巻するQUINTETについて、尋ねた。
Text by Tsubasa Ito

<細川顕インタビューPart.01はコチラから>


――HOMIES(=友達や仲間というスラング)という名前がそのままジムのコンセプトと言えそうですね。

「選手が集まるような道場にしようとは思っていないですし、楽しんでもらえればそれで良いかなと。試合に勝った負けたでも良いですし、この技ができるようになったでも良いですし、いろいろなことを楽しんでもらいたいですね」

――サラリーマン時代の実体験があったからこそ、そういった考えを持つようになったのでしょうか。

「あぁ、確かに。僕自身も仕事をしながら練習をしていた時は、柔術の練習をしていることで自分を保てた部分があったんですよね。そういう場所があれば、僕みたいに救われる人もいるんじゃないかなという気もしますし。そういう大義も少しありますよね」

――将来的にはコンペティション練習を導入したい気持ちもありますか。

「どうしようかなという感じですね。世界を目指す子がいるわけではないですし、目指そうぜと言うつもりもないですからね。僕に言われて目指すようじゃダメだと思いますし。でも、頑張っている人が出てきたら背中を押してあげたい気持ちはあります。僕自身もALIVEにいた時は鈴木社長に背中を押してもらいましたから」

――3月にHOMIESで青木真也選手のセミナーを開催されたそうですが、経緯を教えてください。

「去年、青木さんが『柔術はMMAをやれないやつがやるもんだ』と発言して話題になったじゃないですか。その後にJBJJFで青木さんと柔術家の対戦を設けますみたいな流れになって、その話が浜島さんから僕にきたんです。細川さん、青木さんとやってくださいと」

――そうだったのですか!?

「『マジっすか? 良いですよ、やりますよ』と。でもいろいろあって頓挫してしまって。そのくらいの時期に僕が独立するという話になったんですけど、スポンサードしていただいているところと組んでジムを出すというやり方に青木さんが賛同してくれて、そこからつながりました」

――それまで青木選手と接点はなかったんですよね。

「全然ないです。その流れでセミナーをやってくれるという話になりました。『ギャラもいらないから』みたいな感じで。さすがにゼロではないんですけど、ぶっちゃけ交通費に毛が生えたような額です。まだそんなに人が集まっていない状況だったので、経営的にはすごく助かりました」

――青木選手は「趣味の延長だから」とおっしゃっていたそうですね。

「本当に良いのかと思ったのですけど、『いいよ、がんばって』という感じで。ありがたいですね。この恩はどこかで返したいです」

――細川選手自身も7月16日の「第1回関西ノービス柔術オープントーナメント」終了後にセミナーを予定されていますが、内容は決まっているのでしょうか。

「参加者を見て決めます。もしかしたら子どももいるかもしれないですし、色帯ばかりかもしれないですし。大筋だけは決めていこうかなと思うんですけど、望まれればトレアドールパスもやります」

――トレアドールパスと言えば、DVD『ストロングスタイル・トレアドール』(http://shop.fullforce-pro.com/?pid=131812834)を発売されるそうですね。

「初回予約が終わって、6月末くらいに一般販売すると思います。トレアドールパス以外にも、いろいろなガードの外し方をまとめているので、白帯や青帯の方にもおすすめです」

――「ストロングスタイル」というのは……。

「新日本プロレス、アントニオ猪木のストロングスタイルです。ジャケットも天龍源一郎のDVDをパクっていますからね(笑)」

――タイトルは新日本プロレスから、ジャケットは全日本プロレス出身の天龍さんからと呉越同舟ですね(笑)。

「やりたいことを全部ぶちこんじゃえって(笑)。後ろ三角という技があるんですけど、あれも橋本真也が使う三角絞めなので、勝手に『ハシモト・トライアングル』とか言っていますからね(笑)」

――なるほど(笑)。先日の「QUINTET FIGHT NIGHT in TOKYO」のこともうかがいたいと思っていたんです。TEAM CARPE DIEMが優勝を果たしましたが、ご覧になりましたか。

「もちろん見ました。僕もHALEOのスポンサーに変わったのでやらせてくれないかと思っていたんですけど、残念ながら声がかからず(笑)」

――この先、TEAM HALEOの一員としてCARPE DIEM勢と対戦する可能性もあり得るかもしれません。

「たぶん、今回は気を遣われたと思うんですよ(笑)。いつか出てみたいですよね。ノーギに全然抵抗はないですし、組技に光を与えてくれるコンテンツなので」

――QUINTET全体の印象はいかがですか。

「すごく評判がいいですよね。見せ方であそこまで変わるかと思いました。1回目をやる前は正直、塩試合で終わるのかなと思っていたんですけど、あんなに爆発するとは。

1回目はクレイグ・ジョーンズ、2回目はホベルト・サトシ・ソウザ。そういうスターを軸にいろいろ絡めていくのもおもしろいですね。次はジオ・マルチネスが楽しみです。エディ・ブラボー軍団がどういうことをやってくれるんだというのが見ものですよね」

――打撃のないグラップリングは大物を招聘しやすいのかもしれないですね。

「往年の名選手もやりやすいでしょうし、ああいう大物を呼べる桜庭さんの求心力ってすごいなと思いました」

――選手、経営者、指導者とさまざまな顔がある細川選手ですが、今後のビジョンを教えてください。

「今は一日一日が必死で、遠くのビジョンは見づらいんですけど……たとえば支部を増やすとか後進を育てるとか、そこまで追いついていないんですよね。でも、こういう日々の積み重ねの先に何か見えてくるものがあると思っています。

今、こういう立場になって『CARPE DIEM=今を生きる』というあの言葉。すんごい胸に染みます。石川さん、そういうことですかと(笑)。本当に今が全てですね。でも、このままフェードアウトするつもりはないですし、必ずまた試合はしますので、宜しくお願いします!」

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