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【RFC22】再起へ。チョ・ヨンスンと対戦、2014年6月26日に田村一聖が語っていたこと……

Issei Tamura【写真】グアムの夕陽を前にして、田村は活字では表せきれないほど切実な気持ちを語ってくれた(C)MMAPLANET

21日(土・現地時間)、ソウルのチャンチュン体育館で行われるRFC22。同大会で田村一聖が9カ月振りの実戦復帰し、チョ・ヨンスンと対戦する。

昨年5月31日にキム・スーチョルに敗れ、RFCで連敗を喫した田村をMMAPLANETでは、敗戦から約1カ月後にインタビューを行っていた。6月27日にPXCに出場した矢地祐介のセコンドとして訪れていたグアムの地で聞いた田村の思い。『敗者が何を言ってもいいわけ』という田村とは、次戦が決まれば決意表明として、インタビューを掲載するという約束があった。

8カ月前に連敗中の田村は何を考え、どこに向かっていたのかをチェ・ヨンスン戦を前にお届けしたい。

──5月31日のキム・スーチョル戦での敗北、私は米国でストリーミング中継を見させてもらったのですが、あの試合の直後にまず思ったことは田村選手が引退するかもしれないなということでした。

「う~ん、相手のレベルの云々というのは色々とあると思いますが、勝負の世界は勝つか負けでしかないじゃないですか。単純に自分はもう、勝負の世界の人間ではないと思いました。強い選手と戦って勝つということは、もう別次元の話なのかと、今も悩み続けています。負のスパイラルじゃないですけど、結果が全てなので、その結果が出ない限り、ここを抜け出すことはできないです。

ただ、すぐに練習は再開しました。色々、悩みました。凄く悩みました。その結論が、『俺は続ける』というところに行き着くのであれば、動き出すのは早い方が良い。だから、練習は続けています。悩む時間が勿体ない。まだ、結論は出せなくても、とにかく体は動かして、続けるという考えに至ってから、これまでの自分を振り返り、何が足らないのかなどを考えようと思っていました。

焦ってはいません。いや、焦ってはいますね(笑)。年も年だし。けれども焦る気持ちも、練習時間も、全てを強くなれることに当てようと思い、すぐに練習に戻ったんです」

──ROAD FCはUFCのようなビッグイベントに戻るための戦場だったと思いますが、田村選手は緒戦となったソン・ミンジョン戦から韓国人選手の強さを認め、全く楽観視していなかったです。そして、2連敗。実際に戦ってみて、韓国人ファイターの強さはどこにあると思いますか。

「前に出る気持ち……、プレッシャーもそうなんですけど、アグレッシブですよね。一言で言い表せば。粗く見えるんですけど、技術的にはしっかりしていて、基本ができているんです。やるべきことはシンプルなことなんだと、彼らは分かっていると思います。だから、その強さに突き落とされた感じがしました。

UFCではどのくらいの位置にあるのかも分からないですし、トレーニング環境や、技術の習得度合も分からないですが、本当に必死で練習していることは理解できます」

──無駄な打ち合いは、必要ないと思います。ただし、打ち合いができる度量、そして打ち勝つことはMMAに欠かせないと韓国人ファイターを見ていて、改めて思わされました。

「打ち合い=雑ではないんですよね。テイクダウンディフェンスができているし、テイクダウンを仕掛けることもできる」

──キム・スーチョル戦で田村選手がパンチを被弾してシングルに出たとき、あそこで首を切って離れる、あるいは足を取らせてパンチに来るようだと、実は仕切り直すことが可能だったかもしれないです。それをキム・スーチョルは潰してバックに回ってきました。付け入る隙を与えず、絞めでフィニッシュにきたことが怖かったです。

「僕がこんなこといってもしょうがないのですが、負けは自分のダメなところが出たからで……。そこが一番なんです。自分の自信のあるところは、通用していました。離れたところから、近づいたときにカウンターをもらいました。入った後の処理、スウェイとか必要なんだと自覚していたところを、キム・スーチョルに突かれてしまったんです。

最後も16オンスのグローブをつけてスパーをやっている時に、細かい処理をせずに、面倒くさがって背中をケージにつけて逃げようとする──そういう練習でもダメなところが、試合でそのまま出ました。モロにダメなところが出た。いつも通り、ダメな自分が試合にいて。

相手が強かったから負けという、大雑把なことじゃなくて、自分がダメなところが理解できています。自信を持ってやってきたことは通じて、ダメなところは通じない。そういうシンプルな敗北理由なので、漠然と理由が分からない落ち込み方ではなかったです。そこはまだ、良かったと思えました。

もちろん、実際に戦ってキム・スーチョルは強かったです。でも、ホントに俺がこんなこと言っても、何にもならないんですが、彼に勝てる日本人選手は少なくないです。負けているんですけど、それは思っています」

──韓国勢の強さをいち早く認めていた田村選手の言葉だけに重みがあります。韓国勢のことを気に留めていなかった人ほど、最近の成長に必要以上に脅威を感じてしまっているケースもあると思いますし。

「そういうのは、ありますよ。『ちょっと待てよ』と言いたくなります。韓国勢は強いです。でも日本が負けているとは思わないです」

──日本国内で韓国人との対戦を避ける風潮があるとも聞きました。

「マジっすか? それは……、強い日本人選手だってたくさんいますからね。でも、負けた人間が言っていることなんて説得力はないですよね……」

<この項続く>

■RFC22対戦決定カード

<RFCライト級選手権試合/5分3R&延長1R>
[王者]クォン・アソル(韓国)
[挑戦者]イ・グァンヒ(韓国)

<ミドル級/5分3R>
福田力(日本)
イ・ドルヒ(韓国)

<88キロ契約/5分3R>
ユン・ドンシク(韓国)
高瀬大樹(日本)

<ミドル級/5分3R>
パク・ジョンギョ(韓国)
ジョン・オジン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
田村一聖(日本)
チョ・ヨンスン(韓国)

<ヘビー級/5分2R>
ジム・ゴンオ(韓国)
ルカス谷(ブラジル)

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