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【RFC21】キム・チャンヒョンとの激闘制した佐々木信治<02> 「世界一が続けるモチベーションじゃない」

Shinji Sasaki【写真】羊の皮を被った狼ならぬ、狼の皮を被った羊ばりの良い人振りが明らかになった佐々木。そして、骨折した拳を打ち続ける気概の持ち主だ(C)MMAPLANET

2月1日のROAD FC21で、キム・チャンヒョンを激しい打撃戦の末に下した佐々木信治インタビュー後編。

左の拳を負傷しながら、魂の判定勝ちを収めた佐々木に今後のキャリア構築を尋ねると、彼の格闘技に対する取り組み方、そして溢れるばかりの修斗への想いが伝わってきた。『佐々木だけには負けたくない』──。その風貌もあり、同階級の選手からのやっかみを人一倍受けてきた佐々木の純粋で一本気な性格が明らかになる言葉の数々に耳を傾けてほしい。格闘技の価値は千差万別、十人十色の取り組み方があって然り──だ。
<佐々木信治インタビューPart.01はコチラから>

──激しい打撃戦のなかで、今も固められているのですが、左の拳の負傷したようですね。

「2Rの初めからかなり違和感があって、『やったなぁ』とは思っていました」

──でも、ずっと左のパンチを打ち続けていましたが……。

「セコンドから『左を打て』という指示がずっと飛んでいたので(笑)」

──左が見えていないという指示でしたね。

「ハイ。だから折れているだろうけど、当たるならって思って。実際に当たっていたので、もう、これからのこととか考えずに出し続けました」

──折れたという感触がありながらも、打ち続けていたとは。試合を見ていて、全く負傷したことは分からなかったです。

「まだ左しか、得意なパンチはないですからね。右は練習中で(笑)。左が当たっていないと、3Rも盛り返すことができました」

──ガムシャラな気持ちを全面に打ち出して、結果が出たことについてどのような想いでいますか。

「やっと結果がついてきたという感じです。ホント、自分のなかではちょっとずつは良くなってきたという感触があったんです。でも、結果がついてこなかったですから、本当に『やっと』ですね。でも、次はどうなるか分からないですけど」

──いやぁ、佐々木選手には初めてインタビューをさせてもらったのですが、オシャレ・キャラの印象が強く、こんな風に一本気な面があることを存じ上げていなかったです。男前だし、インスピさんもついていることで、サステインから与えられるチャンスも多い。ホントに70キロの選手からは『佐々木信治だけには負けたくない』という言葉を聞く機会が多かったです。

「いや、僕は地方在住だしチャンスが多いということはなかったと思います。でも、地方で頑張ってきた分、目を掛けてもらえるようになった。だから、自分が頑張ることで、他の選手にチャンスが広がればという想いを持って戦ってきました」

──韓国で勝ったことで、日本国内、韓国内でまたターゲットにされますね。

「恐ろしい話ですよ(苦笑)」

──ここで勝ち星を挙げられた結果なので、大きな一勝になりました。

「世界基準とか、日本全国とか大きなビジョンで何かを言えることはないのですが、自分に関わっている人や応援してくれる人、道場生に頑張っている姿を見せることができて良かったです。本当に久しぶりに、そういうところを見せられたので」

──まずはケガを治すことが先決ですが、2015年は幸先の良いスタートが切れたので、どのような展望を持っていますか。

「自分としてはベルトに絡みたいですが、何よりも与えてもらったチャンスをしっかりと生かしていきたいです」

──昨年、試合当日の体調不良で対戦できなくなった岸本泰昭戦などは、個人的に興味があります。復活した者同士で決着戦を。岸本選手自身は『自分のなかでは勝った』と捉えているようですが。

「まぁ、僕が当日に戦えなかったので、そういう風に考えることはあるでしょうね。病欠で出られない人間は、負けです。皆は何て思っているのか。関係者はこの試合をすべきだと考えているのでしょうか?  こんなことを言うのは格闘家としてどうかとは自分でも思うし、トップ選手は絶対にそんな甘いことは言わないですが、コブラ会は大阪で唯一、出稽古に行かせてもらっていた道場なんです。所属選手とは出稽古に行かせてもらう前から結構、仲が良かった。

でも、岸本選手との試合が決まると向こうも気を遣ってきますし、それでギクシャクしてしまうのは……。格闘技が好きで、格闘技を通じて色々な人とコミュケーションを取れることが僕にとって喜びなんです。格闘技で世界一になるとか、そういうことは自分が格闘技を続けるモチベーションではなく、格闘技を通じてできる人間関係を大切にしていきたいんです。だから、岸本選手との試合は気持ちが乗らないです」

──甘い。甘いけど、そういう考え方は大好きです。そうやって言ってしまえることも含めて。それなら、RFCで韓国人選手と戦っている方が気も楽ですね。

「ハイ、全然知らない人と戦う方がテンションもマックスに上がります」

──では佐々木選手はRFCライト級王者クォン・アソルという目標を掲げた方が気持ちも入りそうです。

「そっちの方がモチベーションは上がります。ただし、自分の最終的な目標は修斗の世界タイトルを取ることです」

──修斗にユニファイド化の波が打ち寄せ、ヒジの解禁、ケージ化に向かっています。修斗愛の強い佐々木選手は、この現状をどのように捉えていますか。

「良いことだと思っています。僕は修斗の競技性に拘っているんじゃないので。ただ、アマチュアから修斗でやってきて……僕は修斗に出会っていなければ、正直どうしようもない人間にしかならなかったと自分で思っています。自分を変えてくれたモノが修斗でした。自分で勝手に思っているだけかもしれないですが、その修斗の一番上のベルトを獲りたいです。それが僕の目標ですから、どのような道を歩もうが、最終的な終着点は修斗世界王座です」

■RFC22対戦決定カード

<RFCライト級選手権試合/5分3R&延長1R>
[王者]クォン・アソル(韓国)
[挑戦者]イ・グァンヒ(韓国)

<ミドル級/5分3R>
福田力(日本)
イ・ドルヒ(韓国)

<88キロ契約/5分3R>
ユン・ドンシク(韓国)
高瀬大樹(日本)

<ミドル級/5分3R>
パク・ジョンギョ(韓国)
ジョン・オジン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
田村一聖(日本)
チョ・ヨンスン(韓国)

<ヘビー級/5分2R>
ジム・ゴンオ(韓国)
ルカス谷(ブラジル)

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