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【Pancrase319】4度の大会中止と、3度の対戦相手変更=アキラと対戦、田村一聖「一つの試合だからこそ」

【写真】田村一聖のMMA道を全うしてほしい(C)MMAPLANET

25日(日)に東京都江東区のスタジオコーストで開催されるPancrase319で、田村一聖がアキラと対戦する。

新型コロナ感染拡大の影響で、パンクラスでは3月8日、4月12日、5月31日、そして8月23日と大会が中止になった。

そして田村一聖は、いずれの大会でも試合が組まれており、半年以上準備を続け、流れるという連続だった。4度のイベント中止と、3度の対戦相手の変更を経て、田村の「戦う」、「強くなる」という想いはより純化してきた。


──試合まで2日、今回は当日計量になりましたが、今日は体を動かすことはあるのでしょうか。

「いえ、今日はもう動かしていないです。でも、当日計量で70キロという体重は体が動くから良いっすね。ただ普段から71キロとかだったのに、当日計量になってから通常体重が1.5キロほど増えてしまって(笑)。でも、少し気にするだけで計量は問題ないし、水抜きがないとやはり気持ちは楽ですね。

前日計量で水抜き有りのほうが合っている人もいるでしょうね。普段から抑えるより、ドンと下げる方が良いって感じる選手もいるはずです。でも、この計量方法は俺は凄く良いなって思っています」

──とにかくMMAは階級の幅がありますしね。

「体重よりもコンディションが戻せるのか、そうじゃないのかっていうのもあります。俺は減量の幅は少ないのに、リカバリーをしてからは、少ししんどかったですね。だからって階級を上げると、回りは大きいし。だから、今回は同じような条件で水抜きがないので、コンディション自体は普段通りです」

──田村選手の2020年は、8月の大会当日の中止が極めつけとはいえ本当に色々とありましたね。

「8月の時はアップして汗でビシャビシャだった時に、陽性の人がいたからって、すぐに会場を出ろと言われて。まぁ、今の世の中だし陽性の人はどこにいるか分からないですけど、気持ちとしてはホントに試合はしたかったですね」

──当初の予定では最初の試合は3月8日のコンバ王子戦でした。

「それが中止になり、4月12日に小森選手と戦うことになったのですが、そこも5月に変更されて。結局、7月までずれ込むと、小森選手が試合ができなくなった。もう誰でも良いから試合をさせてほしいと伝え、8月に高橋選手と決まったのですが、今度は大会が中止で……。

しょうがないから9月に相手を見つけてくださいってお願いしました。坂本(靖)さんは頑張って探しますって言ってくれたけど、決らなくて」

──誰とでも試合がしたい。相手のバリューは気にかけないところがあるのでしょうか。

「もちろん強い選手とやりたいです。僕が『相手は誰でも良いです。戦わせて欲しい』と伝えているのは、どれだけ強い選手でも戦うということなんです。でも、そこで決まらなかったら、キャリアの差とか関係なく、それこそ誰だろうが試合ができるなら戦います。

昔から言われた相手なら、誰でも戦ってきました。ランク上位の選手との試合が決まらないのだったらら、しょうがないです」

──結果的にアキラ選手が相手になりました。

「8月大会が中止になり、1週間後ぐらいまではスライドでやるかもという話もあったんです。それが無理になり、そこから1週間ほどして、もう9月は相手が見つからないという連絡があった時に、アキラ選手が10月なら戦えまると言っていることも聞きました」

──しかし、義理堅いという昔堅気というか。あくまでもパンクラスで次の試合を待ち続けましたね。

「だってファイトマネーを出してもらって、それで試合を組んでもらってきたんですよ。俺は強くなるために試合が必要だし、それを用意してくれた人に不義理はできないです」

──強さを求め、そのために必要な試合をパンクラスに組んでもらってきたと。

「だって、強さを求めないと何のために格闘技をするんですか。格闘家は強さで評価されるモノだと思っています。俺は……近道なんてないと思っています。本当は近道だらけだったとしても。今の格闘技界、近道を歩いて行った方が良いかと思うんですけど、皆と戦って勝つ。これまで負けた相手に、勝つという気持ちでやっています」

──負けた相手に勝つという部分では、完敗を喫した摩嶋一整選手がRIZINで斎藤裕選手に敗れ、テイクダウン一つの差といっても過言でない勝負を落とした中島太一選手が、フェザー級暫定KOPになりました。

「う~ん、ホントはこういうことは言いたくないですけど、俺のなかではここからはRoad to 摩嶋のつもりでした。完璧に食らわされたので。だから摩嶋選手がRIZINに出ると聞いた時は動揺しましたね。僕は彼ならRIZINでサクっと勝って、コロナが収束すればUFCと契約する。再戦への路がなくなると思ったので。もうリベンジできないって、悲しい想いになっていました」

──一つの敗北を、そこまで深く受け止めていたのですね。

「だって、そうじゃないと……負けても大丈夫みたいな空気があったら、それこそ日本の格闘技界はどうなるんだと思います。ちゃんと力をつけて、結果を残していないと俺は上のステージにはいけないッスよ」

──そこでアキラ選手です。流れた試合と比較しても、強さもバリューも上の選手であることは確かです。待っていた甲斐があったのではないですか。

「いや、そこはそういう風には思わないです。一つの試合ですし。一つの試合だからこそ、負けられないです。ただ、それだけなんです。

『お前、強さに自信持っているなら、オファーを断る理由はないだろう』って思っています。そして試合に応じてきたアキラ選手は、余計なことを考えないで格闘技に取り組んでいると思っています。そういう選手は強いです」

──半年以上の鬱憤が溜まっているかと思いますが、どのような試合をしたいですか。

「そりゃ、やっぱスカッとする試合……いや、しっかりと勝ちたいです。結果としてそうなれば、それで良いんです。別にキレーに勝ちたいわけじゃないし。ただ、やってきたことを試合で出したいです。それができないと悲しいじゃないですか……。タフな試合になる──そう思っています」

──この試合への意気込みをお願いします。

「ド派手なところで戦っていなくても、本当に応援してくれて、期待してくれている人もいるので。そういう人たちに喜んでもらえるよう勝ちたいです。勝てればスカッと勝とうが、ドロドロになろうが構いません。やってきたことを出して勝てれば良いです」

■視聴方法(予定)
10月25日(日)
午後2時30分~TIGET LIVE

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