【ONE113】ラピクスの挑戦を受けるONEライト級王者クリスチャン・リー─01─「新婚旅行から戻ると……」
【写真】昨年10月の日本大会で、姉アンジェラがONE世界女子アトム級王座を防衛し、クリスチャンは急遽出場のライト級ワールドGP決勝で勝利した。1年振りのファイトを戦うクリスチャン、アンジェラは妊娠で休養に入っている(C)MMAPLANET
30日(金・現地時間)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE113「Inside the Matrix」でクリスチャン・リーが、ユーリ・ラピクスを相手にONE世界ライト級王座防衛戦を行う。
昨年5月に青木真也を破りベルトを巻いたクリスチャンは、10月の日本大会でザイード・フセイン・アサラナリエフを倒しワールドGP優勝も果たした。
そのクリスチャン、今年の2月末にハワイで挙式を済ませ新生活のスタートを切っていた。その直後に始まったニューノーマルを、世界ライト級チャンピオンはどのように過ごしてきたのか。ハワイのMMAの状況とともに語ってもらった。
──クリスチャン、お久しぶりです。シンガポールにはいつ、入ったのでしょうか。
「昨日の早朝だよ(※インタビューは10月23日に行われた)。パンデミックが始まってから、初めてオアフを離れたよ。今はホテルで隔離されている形で、2度検査もした。色々と新しい状況のなかにある感じだね。ONEは感染予防プロトコルに則して、アスリートの安全を確保してくれているよ」
──大会には250人とはいえ、ファンの来場も可能になりました。
「本当に?! いくら限られているからといってもファンがスタジアムで試合を見ることができるのは本当に良いことだよ」
──ところでクリスチャンには「結婚おめでとうございます」という言葉をずっと以前にかけるべきでしたが、ノビノビになってしまっていました。2月の終わりに結婚式を挙げた時には4月にはどこかの国で直接告げることができると思っていたので。
「おぉ、ありがとう。そうだね、式の頃にはアジアで感染が広まってきていたから、僕らもハネムーンをアジアからカナダに変更したんだ。そうしたら、世界的なパンデミックが起こった。ハネムーンから戻ると、すぐにロックダウン状態になったのでこの点においてはラッキーだったよ」
──新生活と同時に、ニューノーマルがやってきたということですね。
「本当だ(笑)。この状況は全人類に関係しているけど、僕らは適応していくしかない。家族が安全に過ごせて、問題がなかったから言えることだけどね」
──練習にも当然のように影響が出たと思います。
「まず3月にはジムを閉めて、一般クラスの指導はできなくなった。でも、ユナイテッドMMAは僕らの家族が経営しているから、僕がジムを使うことは問題なかったんだ。だから、家族内でトレーニングを続けて、この試合の契約を結んでからはフルキャンプでハードトレーニングを積んできたよ」
──その状況でいつものようなキャンプを張ることはできたのですか。
「そうだね、ほとんどがブルーノ(プッシ)と父とやってきた。あとはごくごく親しい選手と、必ず検温をして最大限で5人までという少人数で練習してきたんだ。可能な限り安全な状態で、可能な限りハードなトレーニングをね」
──今、ハワイは昨年のPFLにおけるレイ・クーバー3世に続き、カイ・カマカ3世がUFCと契約するなど若い世代が活躍していますが、やはり出稽古などはできる状況ではないということですね。
「そうだね、ハワイは凄く才能豊かなファイターがいるけど、僕のトレーニングがユナイテッドMMA内でしかできないように、皆がスモールグループでトレーニングしている状況だね。それでも、ちゃんと準備はしてきたよ」
──マックス・ホロウェイがリモート・トレーニングしか行わないで、アレックス・ボロカノフスキーに挑戦したのは驚かされましたが……。
「イエス(笑)。あの試合内容で判定負けは気の毒だったけど、僕もスパーリングなしでUFCの世界戦で戦うなんて凄く驚かされたよ。実際、ジムは閉まっていてもメインランドと比較するとハワイの感染者数は少ないし、スパーリングはできたはずだよ。でもマックスは息子や家族の安全を一番に考えて、あの調整方法を選んだんだと思う」
──このような現状ですが、多くの選手が外にも出られない期間に自宅でトレーニングを続けてきて、コンディションが上がったという言葉もまま聞かれます。
「僕もだよ。現状、体調は過去最高だ。本来、試合前でも僕は1日に4時間、指導をしている。そうなるとスケジュールもタイトで、疲労も抜けにくい。でも、今回は自分の試合のことだけ考えて調整することが可能だったからね」
──ハワイではまだ一般会員の人達の練習は許されていないのですか。
「まだジムも閉まったままだよ。フィットネスジムも3月から休館になっている。本当にジムを閉める人も少なくないし、ビジネス的には大打撃を受けているよ」
──……。ハワイ自体が感染者数を抑えることができるのも、一番の産業である観光客がやってこないからですしね。ここは複雑です。
「COVID19で産業、ビジネス活動が遮断されてしまった。凄くタフな状況だよ。幸いにも僕らの家族がそうなっていないことに感謝しているよ」
<この項、続く>
■ONE 113 Inside the Matrix対戦カード
ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]ライニア・デリダー(オランダ)
<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者]ユーリ・ラピクス(モルドバ)
<ONE世界フェザー級(※70.3キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]タン・リー(米国)
<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィオン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]ティファニー・テオ(シンガポール)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
アントニオ・カルーゾ(豪州)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リトゥ・フォーガット(インド)
ノウ・スレイ・ポブ(カンボジア)