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【Pancrase333】久米鷹介と王座統一戦、アキラ─02─「お互いゴリラチック」&「最高の試合ができる」

【写真】プロセスの違うパンチを打てるようになってきたアキラ。35歳にして引き出しが増え続けている(C)SUSUMU NAGAO

30日(日)、立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase333で、フェザー級正規KOPとの王座統一戦に臨む、暫定王者アキラのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

石渡伸太郎の指導を経て、アキラの試合内容は大きく変化し、そして進化してきた。試合の組み立てからフィニッシュに至るまで、まるで別人のように――。RIZINで1敗を喫したものの、その後に掴んだチャンスをものにして暫定ながらベルトを巻いたアキラ。では正規王者の久米に対してどんな印象を抱いているのかと訊いたところ、久米と通じるものがあるという。そんな両者の対戦や、いかに。

<アキラ・インタビューPart.01はコチラから>


――アキラ選手のファイトが大きく変わったのは、2021年5月に行われた松本光史選手との2戦目だったと思います。あの試合では序盤から松本選手が左ジャブで試合を制しているように見えながら、フィニッシュシーンから考えるとアキラ選手が最初から誘っていたのでしょうか。

「そうなんですよね。僕が前に出て大きなパンチを当てていたからか、ジャッジは1Rと2Rを僕につけていて。でも後からテレビの映像を視ると、実況と解説の方はずっと松本さん寄りで……(笑)。

3RでKO勝ちしたことは同じでも、田村戦と松本戦は試合プランが全く違っていました。田村戦は1Rが終わってコーナーに戻ったら、石渡さんから『今はこのパンチしか当たらないから、このパンチしか狙わなくていい』と言われたんです。最後は相手のパンチをもらった時、僕自身はそれほど効いてはいなかったのですが、田村さんは効いたと思ったのか安易に仕留めにきて。そこに石渡さんから狙うように言われていたパンチが当たりました。

松本さんとの2度目の試合は、逆に僕がポイントを取って、松本さんがKOか一本を狙って前に出て来るしかない状況に追い込んでいきました。そこに狙いどおりにパンチが当たったという流れですね」

――なるほど。2022年2月の鈴木琢仁戦は意外といいますか、柔術ベースの鈴木選手に対してアキラ選手からグラウンド勝負を挑んだように見えました。これまでのアキラ選手の試合でもテイクダウン&トップキープはありましたが、ガードポジションとパスガードを見ることは少なかったと思います。

「アハハハ、確かに珍しいですよね。特に意識していたわけではないのですが、寝技でも勝負できるという自信があったから、そういう試合になったんだと思います。テイクダウンしてからフィニッシュに持ち込む形が出来たのは大きいです。

それはRIZINで阿部大治選手に極めたノースサウス・チョークとか。ああいう形は、昔はなくて。石渡さんに教わって必死に練習しました。あの形が出来たからこそ、鈴木選手のように足が利く選手でも自分が立つことなく、そのまま寝技で勝負できるようになったんです」

――ただ、松本選手との3度目の対決でベルトを獲得する前に、RIZINでDEEP王者の大原樹理選手に敗れています。当時はパンクラスとRIZINで4連勝し、もうベルトも見えていたのではないでしょうか。

「選手をやっている以上、やっぱりベルトという形として残したいです。一方で、大きな舞台で戦いたいという気持ちもあります。実は大原戦の前まで、このままRIZINで戦って、もうパンクラスに戻ることはないかもしれないと考えていました。

でも大原戦で負けてしまって……あの試合は本当に悔しかったです。負けた原因は、結局は自分の根性のなさで。1Rと2Rは悪くなかったのに、最後に少し疲れたところで相手にまくられてしまったと思います。ここで負けるとRIZINで次の試合はあるのかどうか、そう思っていたところにパンクラスから暫定王者決定戦のオファーを頂いて、本当に嬉しかったです」

――プロデビューから12年で、ようやく辿り着いたタイトルマッチでした。

「やっと――という感じでしたね。ずっと一生懸命やってきました。でも一生懸命やっていただけで、やり方の工夫はできていませんでした。そんな自分を石渡さんが変えてくれて、辿り着いたタイトルマッチだったと思います。

ただ……何て言うんですかね、……何とも言えない気持ちでした。もちろん嬉しい気持ちは大きいです。でもまだ暫定のベルトで、これで正規王者に挑戦できる権利を得たという感じです。僕の中では、あの試合は挑戦者決定戦のような気持ちでしたね」

――そして今回、正規王者の久米鷹介選手と王座統一戦を行うことが決まりました。お互い長いキャリアの中で、同じ階級で同じ相手と対戦していることも多かったのですが、これが初対決となります。

「久米さんとは被っている時期がないですからね。僕がパンクラスに出始めた頃は、久米さんはROAD FCに行っていて。久米さんが勝ち続けている時に、僕は負けてしまっていたので……。だから以前は対戦するという意識はなくて、石渡さんの引退興行にいらっしゃっていた時、一緒に写真を撮ってもらいました(笑)。メチャクチャ良い人ですし、お互い通じるものがあって」

――通じるものとは?

「年齢も近いし、……お互いゴリラチックで」

――アハハハ、そこはYesともNoとも言えません(笑)。

「対戦が決まってからは、その時の写真を見ながら気持ちを高めています。……というのは冗談ですけど(笑)。久米さんは本当に偉大な選手です。打撃も強いし組んでも強くて、何より攻撃力が高い。でも、そのなかで自分が勝負できるところがあり、今はその部分を石渡さんと磨いているところです」

――どんなところを磨いているのでしょうか。

「それは試合前なので言えません(笑)。改めて前回の試合(※2021年12月、雑賀ヤン坊達也に一本勝ち)を視ても、本当に凄い内容でした。ああいう試合を視ると、自分も燃え上がります。久米さんとなら最高の試合ができるし、パンクラス史上に残るようなタイトルマッチにしたいですね。この試合で、自分がパンクラスのライト級でナンバーワンのファイターだと証明して、さらに上の世界に行きたいです」

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