この星の格闘技を追いかける

【on this day in】2月10日──2011年

10 02 11【写真】北岡にとってももちろんそうだろうが、取材をしている身としても、この日のヒカルド・アルメイダの優しさは忘れることはできない(C)MMAPLANET

Satoru Kitaoka in Ricardo Almeida BJJ
@ニュージャージー州ハミルトン、ヒカルド・アルメイダBJJ
「人は痛みを知って他人に優しくなれる。他人の温かさを知って、強くなれる。常に良いことばかり有頂天状態で生涯を終えられるなら、他人は関係ないかもしれない。でも、多くの人が山あり谷ありの人生を送る。嫌なことを経験するのも我が身の肥やしとなる。今更ながら、北岡悟と米国を旅した前後、全くもって馬鹿げた騒動に巻き込まれた。でも、クオリティマガジンは法廷闘争に持ち込んでまで、僕を擁護しようという意思を示してくれた。そのクオリティマガジンの編集部に『こんなことで髙島学を切ったらダメよ』と連絡をしてくれた人がいた。一緒にLAにいた北岡はKさんと2人で、滞在中に僕がよく食べていたラルフスのパウンドケーキ、しかもチョコが混ざった値段の高いモノを買ってきてくれた(笑)。北岡も何かを得ようと、現状を打破しようと米国で練習していたに違いない。ヘトヘトになり、練習と移動で体は悲鳴を挙げそうになっていた。それでも彼はヒカルド・アルメイダの下を訪ねた。そして、夕方の練習までジムで休み、その前に疲れた体を少しでも癒そうと『スープかクラムチャウダーが食べられるレストランはないですか』とアルメイダに尋ねた。するとアルメイダは自宅に彼を招き、ランチだというのに奥方がクラムチャウダー、新鮮なサラダ、グリルド・サーモンを料理してくれた。そして、練習までゲストルームのふかふかなベッドで休息を摂らせてもらえた。さらにこの日は練習を切り上げていたフランキー・エドガーに連絡し、北岡とロールさせるためにUFC世界王者をジムに呼び戻してくれた。そんなことがあった1日の終わりに撮った1枚の写真。北岡が上手く笑顔を作ることができなくても、何ら不思議ではない。あれから4年、北岡はこの頃より強くなっている。日々の鍛練が彼を強くしている。その日々の生業の裏に、彼が必要とし、同時に彼を必要とする人々の存在があることを十分に理解しているはずだ」

on this day in──記者生活20年を終えようという当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。

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