【Breakthrough Combat02】森戸新士が語る、北岡悟とのプログレス防衛戦&椿飛鳥と戦う城戸泰介の存在
【写真】リモート画面の向こう=レオス柔術アカデミーでは、なぜか暖房をつけず屋外にいるかのようなダウンジャケットの2人--風邪はひかないようにお願いします(C)SHOJIRO KAMEIKE
25日(水)会場非公開で開催される配信イベントBreakthrough Combat02にて、Progress暫定ウェルター級王者の森戸新士が、北岡悟の挑戦を受ける。また、森戸が主催するレオス柔術アカデミーの城戸泰介は、椿飛鳥とプログレス初戦に臨むこととなった。
Text by Shojiro Kameike
驚きの北岡悟プログレス参戦、王者として迎え撃つ連続一本勝ち中の森戸――まさにプログレス史上最高峰のカードが組まれた。その森戸が前々回のインタビュー時に、自身の作戦参謀にしようと試みたほどの柔術家である城戸もプログレスに初挑戦。そんな2人が2024年最後の試合と、ファイトボーナスについても熱く語る!
城戸君は自分で研究できるタイプ(森戸)
森戸さんは生き物としての能力が違いました(城戸)
――今回は森戸選手に北岡戦に関して、さらにプログレス初挑戦となる城戸選手についてもご紹介いただきたいと思います。まず城戸選手はレオスの前に、岡山県のゼロ戦クラブでMMAをやっていたのですか。
城戸 はい。出身は愛媛県で、大学進学で岡山県に行きました。
――現在、城戸選手は柔術&グラップリングでもボトムから攻めていますが、当時アマチュアMMAに出ている時の試合映像を視ると、ゴリゴリのMMAレスリングを展開していて驚きました。
森戸 アハハハ。
城戸 当時はその方法しか知らなかったんです。もともと器用なタイプではなくて。
――城戸選手が最初にMMAを始めたキッカケは何だったのでしょうか。
城戸 MMAの前は小中高と柔道をやっていました。最初にMMAを知ったのは――僕が愛媛県で通っていた柔道の町道場に、当時もうMMAで活躍していた中井りん選手がいて。中井選手をキッカケにMMAを知って、面白そうだなと思っていたんです。僕が中1の頃なので、もう10年以上前ですね。
そのあと岡山でMMAを始めて2年ぐらい経った頃、「柔術のほうが面白い」と思うようになりました。柔術はMMAよりも技が体系化されていて、細かいし学びやすい。器用じゃない僕でも意識していけば、柔術の技のほうがうまく使えるようになっていったんです。
少しずつMMAを離れて柔術に移っていくなかで、森戸さんに連絡して「出稽古に行かせてください」と伝えました。そこから月2回――当時はまだ広島のジムはなかったので、岡山から岩国まで新幹線を使ってJRに乗り替えて出稽古に行かせてもらっていました。
――えっ!? 岡山か岩国まで、新幹線を使っても1時間半以上は掛かりますよね。
城戸 そうですね(笑)。そのあと広島のジムも立ち上がるタイミングで、僕もレオスで指導しながら練習も……という形になりました。
――森戸選手は、当時の城戸選手についてどのような印象を持っていましたか。
森戸 城戸君は初めてウチに来た時から、すごく柔術の技を知っていて。海外の選手の話題で楽しんでいました。初めて来た時、練習が終わってから一緒にご飯を食べに行ったんですけど、海外の好きな選手の話をしたり。
城戸 そうでした(笑)。普段、周りにはそんな話をできる人がいなくて。
森戸 「この選手、良いよねぇ」と最新の柔術家&グラップリング選手の話をして、彼の柔術&グラップリング愛を確かめました(笑)。技術的にもすでに上手だったです。そんな城戸君に対して、最初のレオスの凄さを分かってもらおうと思って――僕と摩嶋一整さん、それと城戸君の3人で、延々とスパーリングを回すという。
城戸 あれはメチャクチャ、キツかったです(苦笑)。森戸さんと摩嶋さんは技術的にはもちろん、まず体の強さが……。もう鉛のような重さで、こんなに強い人と組んだのは初めてでした。特に上に乗られるとキツくて。良い場所に乗られているから、それは技術なんですけど、そもそも生き物としての能力が違いましたね。
帯の色ではなく、強いかどうか(城戸)
強くなるのはやり方次第(森戸)
――アマチュアMMAに出ている頃、城戸選手はどちらかというとパワーでテイクダウンしていましたよね。小中高と柔道をやっていたら、パワーで負けることはないと思いますし。
城戸 そうですね。同階級であれば必ず倒せていました。
森戸 うん、うん。
城戸 だからレオスに出稽古に行かせてもらうようになって、全てが新鮮でした。
森戸 城戸君は自分で研究できるタイプなので、僕が技術を教えることは、そんなになかったです。たまに何か聞かれたら、僕なりの考えを伝えるぐらいで。僕も城戸君から教わることがあるぐらいで、自分が師匠というものではないです。
城戸 ここは皆が各々考えたことを持ち寄って練習する、試し合う場所というか。
――城戸選手は今年のJBJJF全日本ノーギ、同オープン選手権で優勝しています。その直前に救急車で運ばれたというのは……。
城戸 試合中に首を怪我してしまったんです(苦笑)。
森戸 広島で行われたADCCルールの大会の話ですね。試合中に両脚担ぎで一瞬空中に浮かされて、なぜか相手がその状態で飛び乗ってきたんです。かなり危険な行為ですよね。その時に首が圧迫されて。
城戸 痛すぎて、僕も起き上がることができませんでした。
森戸 すぐに救急車を呼んで病院でも検査してみると、幸い首の圧迫で神経に影響はなかったようです。ただ最初は、次の週に行われる全日本ノーギには絶対に出さないと考えていました。
城戸 でも痺れもなく、回復も早くて。退院して軽く体を動かしてみたら動けるし、全日本ノーギにも出ようと決めました。
森戸 検査で異常もなかったし、本人が出たいというので……心配だから僕もセコンドで着いていきましたけど、当日は動きも良かったね(笑)。
城戸 はい。むしろ、いつもより良かったんじゃないかと(笑)。
森戸 ピンチになって、何かスイッチが入ったのかな。
――まず体が無事で何よりです……。城戸選手は、現在茶帯なのですか。
城戸 茶帯です。まだ今年上がったばかりで。でも帯の色は、あまり気にしていません。紫帯の時に黒帯を倒したこともありますし。帯の色ではなく、強いかどうかじゃないですか。
――なるほど。 今までお話を聞いていると、城戸選手にとって必要だったのはレベルに合った選手との練習環境で。それがレオスだったということですか。
城戸 自分の場合は強い人と練習することで、自信を持って試合に出ることができます。もともと気持ちが強いほうじゃないので、森戸さんと練習していると安心感があるというか。
森戸 やり方次第ですよ。環境は自分でつくれるし、特に柔術&グラップリングだと教則で技術が体系化されていて、自分で勉強もできますから。あとは強い練習相手がいれば。
ケージレスリングで勝負してくる相手をどう極めるか(森戸)
一方的な試合をして、何が何でもMVPを獲ります!(城戸)
――そんななかで森戸選手は北岡選手と対戦します。このカードが発表された時は本当に驚きました。
森戸 僕も長谷川(賢プログレス実行委員会代表)さんから「北岡さん、どうですか?」と連絡が来た時は「え、北岡さん?」とビックリしました(笑)。北岡さんはMMA至上主義というか、あまりグラップリングの試合に出場するイメージがなかったので。最近だと今年、クインテットでグラップリングの試合に出ているぐらいですか。
――MMAの経験がある城戸選手にとっては、北岡選手とはどのような存在ですか。
城戸 僕は今でもMMAを視るの好きですし、北岡さんのレッグロックとギロチンの精度はハンパじゃないと思って視ていました。MMAをやっていれば知らない人はいない選手で、その北岡さんとグラップリングで対戦できるのは凄いチャンスですよね。もっと森戸さんの名前が知られるチャンスだから、ぜひ勝ってほしいですね。
――プログレスのルールで戦うことは、森戸選手にとってメリットはありますか。
森戸 知名度の面でいえば、北岡さんにとってはメリットのない試合ですよね。
――ルールと技術、戦略面のお話です(笑)。
森戸 アハハハ、そうですね。相手がディフェンス力の弱い選手であれば、ルールとか関係なく極めに行けば良いと思うんですよ。でも北岡さんのようにディフェンス力も高い選手だと、極めも守り切られる想定をしながらポイントも考えて試合をしないといけない。それだけ試合の組み立て方が大事になります。
――ケージで戦う、という点は?
森戸 できればケージを使った攻防には付き合わないようにしたいけど、そう簡単には逃げさせてくれないと思うので。相手がケージを使って漬けようとしてきても、僕はそれに対する攻め手も持っておきます。ケージレスリングで真っ向から北岡さんと勝負しようとは思っていません。それでもケージレスリングで勝負してこようとする相手に対しては、僕は柔術&グラップリングを使って、どうやって極めるかを考えます。
――そして今回もボーナスをゲットする、と。
森戸 2大会連続で欲しいです。連続となると前回以上のインパクトを残さないといけないでしょうけど、それでも僕か城戸君が頂きます。
城戸 はい!
――森戸選手が前回、70万円のボーナスを獲得した時の表情は、今まで見たことのないものでした。
森戸 アハハハ! やめてください、そういうのは(笑)。
城戸 いや、メチャクチャ嬉しそうでしたよ。
森戸 え、分かった? クールにいようと努めたんだけど。
――中継画面からも嬉しさが凄く伝わってきました(笑)。
森戸 ファイターが試合をした結果なので、そこは喜びが伝わって良かったです(笑)。
城戸 そうですね。グラップリング界が少しずつ潤っているなぁって思いました。
――城戸選手は森戸選手の推薦という形で、椿選手との対戦が決まりました。
森戸 はい。僕がプログレスに出る時は、いつも関係者の方に城戸君のことは伝えていました。特に最近はノーギの大きな大会で優勝していたので、強く推薦していたんです。
城戸 僕もいろんな人に視てもらうプロの大会で、グラップリングの試合をするのは初めてです。特にMMAの大会でグラップリングの試合に出るのは大きいと思うんです。柔術の大会でノーギの試合に出るのと違って、もっと視聴者の数も違うと思いますし。そこで自分の名前を覚えてもらい、どんどん強い人と試合していきたいです。今後も継続参戦させてもらえるように――今までで一番気合いが入っています。
――プログレスルールだけに、ゴリゴリのMMAグラップリングは復活するのでしょうか。
城戸 それは秘密で(笑)。だけど今は他のこともできるし、椿選手はMMAファイターですからね。相手の専門分野で勝負しようとは思っていないので。70万円を獲るためには、相手の得意なところに付き合ってはいられないです。僕も勝つだけじゃなく一方的な試合をして、何が何でもMVPを獲ります!
■視聴方法(予定)
12月25日(水)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat02対戦カード
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]北岡悟(日本)
<Progressライト級王座決定戦/5分3R>
中原由貴(日本)
安楽龍馬(日本
<バンタム級/5分3R>
吉野光(日本)
川北晏生(日本)
<ミドル級/5分3R>
イ・イサク(韓国)
アギラン・タニ(マレーシア)
<Progress68キロ契約/5分2R>
須藤拓真(日本)
中島太一(日本)
<Progress71キロ契約/5分2R>
城戸泰介(日本)
椿飛鳥(日本)
<フライ級/5分3R>
チェ・スングク(韓国)
古賀優兵(日本)