この星の格闘技を追いかける

【on this day in】2月09日──2011年

09 02 11【写真】疲労困憊の北岡は懸命にマルセリーニョに挑み続け、神童はそんな彼を極め続けた(C)MMAPALNET

Satoru Kitaoka in Marcelo Garcia BJJ
@ニューヨーク州ニューヨーク、マルセロ・ガウッシアBJJ
「どれだけ必死に食らいついても、抗うことはできなかった。喉を絞めあげられ、苦しそうな表情からうめき声が毀れる。北岡悟自身が『1年分ぐらいタップしました』と語るマルセリーニョ・ガウッシアとのスパーリング。マルセリーニョは道着クラスの時間にも関わらず、道着だけでなくノーギのスパーを行ってくれた。そして、道場主として威厳を保つために、世界最高の組技も披露してくれた。北岡はマルセリーニョの好意を100パーセント受け止めボロ雑巾のようにされた。この日、温暖なLAから痛いと表現したくなるほど冷たい東海外にナイトフライトで移動していた北岡。一度はペンシルバニアに近いヒカルド・アルメイダの道場へ行きながら、行き違いで期待していた練習ができなくなり、急遽ニュージャージーを縦断してマンハッタンへ赴いた。わざわざ高い飛行機代&滞在費を捻出し、ギタギタにされながら強くなることを模索する。そんなファイターを尊敬せずに、この仕事を続けることはできない。実は彼が海外取材に同行して練習したいという意向を持っていると耳にした時、どう断ろうかと思い悩んでいた。僕を頼りにしてくれることは嬉しい。でも、自分としては既にトップファイターとして誰もが認める北岡のような存在ではなく、その実力をもってしても正当な評価を受けていない選手たちや、厳しい状況に直面している選手の力になりたいという気持ちが強かったからだ。そんな時、北岡はとある共通の知人の居場所に僕が家族と一緒に現れると聞きやって来た。彼は年端もいかない子供たちや友達のいる前で、頭を下げ海外出稽古を行いたいと伝えてきた。先に記したように、日本を代表するトップファイターのそんな姿勢に、僕は断る理由を失くしてしまった。そして、初めて北岡悟という自己表現が限りなく下手で、社会人として未熟な心優しい青年の内面に触れる旅──の準備に取り掛かることになった」

on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。

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