【Bellator237】チャンドラーと戦う辛酸舐め男=シドニー・アウトロー「当時のことは振り返りたくない」
【写真】1992年4月生まれ、27歳とは思えない深みのある表情の持ち主。このインタビューでは伝えるコトができない声質も渋いの一言。キャリア14勝3敗で、チャンドラーに挑む(C)BELLATOR
29日(日)さいたまスーパーアリーナで開催されるBellator Japanで前Bellator世界ライト級王者マイケル・チャンドラーと対戦するシドニー・アウトロー。
フィラデルフィアでタフな人生を送り、MMAファイターとなってなお東部のフィーダーショーからダナ・ホワイト・チューズデーナイト・コンテンダーシリーズで勝利し、Titan FCで王座に就きながら、UFCとのサインはならなかった。
それでも辛酸舐めフィリ―=アウトローはベラトールと契約し、11月にロジャー・フエルタを破ると、今大会で人生最大の勝負をさいたまスーパーアリーナで戦うこととなった。
──マイケル・チャンドラー戦、キャリア最大のファイトが迫ってきました。
「とてもハッピーだし、十分に準備はできている。とても楽しみだよ」
──ベンソン・ヘンダーソンの代役での出場となります。このオファーをもらったとき、どのような気持ちになりましたか。
「メ~ンッ!! そりゃエキサイトするだろう。もう、連絡を受けた時からテンションはあがりっぱなしだ。エネルギーが漲って、しっかりと試合にフォーカスできている」
──日本で戦うことに、何か特別な想いはありますか。
「う~ん……ない。そういう感情は必要ないんだ。ただ、戦うだけだ。そして、それで十分。とにかく偉大な相手と戦うのだから、それだけの覚悟を持ってファイトに臨む」
──なるほどぉ!! シドニーの過去の試合を見ると、打撃はできる、テイクダウンもできる。そしてサブミッションもできる。もともとのベースは何だったのでしょうか。
「ふむ。俺はマーシャルアーチストだ。必要とされる技を使って戦う。何がベースかと聞かれると、まずボクシングだ。そこからグラップラーになった」
──なぜMMAファイターに?
「おぉ、良いクエスチョンだ。アマチュア時代に……必要だと思った。だからMMAファイターになったんだ。俺の人生は辛酸をなめることも多かった。人生の酸いも甘いも嚙み分けることができる。それをフィラデルフィアのストリートで学んだ。ファイトが日常で、いつもその態勢にいないといけなかったんだ。ただ、あの頃はいつも恐怖を感じていた。今の俺は違う」
──フィラデルフィアのストリート、そう聞くだけで恐ろしい体験が蘇ってきます(苦笑)。
「俺はそういう場所で、ずっとタフな経験をしてきた。あの当時のことは振り返りたくはないが、あの経験が今に生きていることは絶対的だ。凄くタフだった。そう……もの凄くタフだったんだ」
──だからボクシングを?
「そうだ。父親も祖父もプロフェッショナル・ボクサーだったしね」
──タフということでいえば、コンテンダーシリーズで勝利し、Titan FCでライト級王者になったにも関わらずUFCとサインができませんでした。この出来事がキャリアに何を与えたでしょうか。
「とにかく強くなるためには我慢が必要だと学んだ。その2つの出来事で、俺に何が必要なのか、何をどうする必要があるのか。その事実に向かい合うことで、精神的に強くなり、このスポーツに必要な全ての面を見直すことができた」
──UFCというプロモーションは今や、グラップラーに厳しいですね。
「う~ん、そうなのかもしれないが……、あの時にどういう判断がなされたのかは俺には分からない。そして俺はグラップラーだったから、自分のスタイルを見直した。とにかく、今はベラトールの一員になれたことはハッピーだ」
──日本のファンは寝技の攻防も、このスポーツの一部だと理解できています。
「おお、そうなのか。それは知らなかった。俺は日本のことを何も分かっていないんだよ」
──チャンドラー戦、このスポーツのトップに立つために3度目のチャンスを手にできました。
「そうだな……とにかく試合場で、これまで通り自分のやってきたこと全てを出し尽くす。勝利を手にしても、俺が何者であるかは変わらない。だから、そういうことは考えずにただ戦う」
──では最後に日本のファンに一言お願いします。
「絶対に皆が、がっかりするような試合はしない。それだけだ」
──シドニー、今日はありがとうございました。
「こちらこそ、ゴッド・ブレス・ユー」