【ADCC2019】66キロ級準々決勝─02─2013年ムンジ王者タンキーニョ✖2019年王者ガブリエル
【写真】立ちレスからポスチャーの強さでトップゲームを続けたタンキーニョ (C)SATOSHI NARITA
9月28日（土・現地時間）と29日（日・同）の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ（ADCC）主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。
2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー6回目は、全部が芯、そして金太郎飴のごとく注目カード品存在しない66キロ級準々決勝から新旧ムンジアル・フェザー級王者対決＝アウグスト・メンデス・タンキーニョ✖マテウス・ガブリエルの試合をレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi
＜66キロ以下級準々決勝／10分1R& ExR5分＞
アウグスト・メンデス（ブラジル）
Def. by 本戦0-0 延長0-0 レフェリー判定
マテウス・ガブリエル（ブラジル）
2013年に世界柔術フェザー級を制した36歳ベテランのタンキーニョと、今年の世界柔術同級を制した22歳の超新星による新旧対決が実現。
ガブリエルは引き込んでタンキーニョの足に絡んでゆくが、タンキーニョは強固なベースでバランスを保ち、低い重心からニースライスを狙う。ガブリエルは内回りで崩しにかかるも、タンキーニョは片手をポストしながら対応し、逆に上からヒールを仕掛けてから足を抜いた。
その後も低い体勢で上からプレッシャーをかけるタンキーニョと、それをニーシールドで防いでは、下から足を絡めて崩そうとするガブリエルの攻防が続き、加点時間帯に突入する。ガブリエルはベリンボロを仕掛けるが、タンキーニョは巧みなバランスと足さばきで上をキープ。さらにガブリエルは内回りから50/50を作るが、ここもタンキーニョは巧妙に動いて足を抜く。結局両者ノーポイントのまま本戦が終了した。
両者スタンド状態で開始された延長戦。レスリングに自信があるタンキーニョは、積極的に前に出てテイクダウンのフェイントを入れてゆく。時折手を伸ばしてガブリエルの右足をキャッチしかけるタンキーニョだが、ガブリエルはそのたびに下がって振りほどく。
さらに前に出るタンキーニョ。残り3分、押され気味のガブリエルも飛び込んでのテイクダウン狙いに。しかしそれを受け止めたタンキーニョは、ガブリエルの左ワキを差して豪快に小外刈りでマットに叩きつける。タンキーニョはそのまま背後につき、たすき掛けを作るがガブリエルは抑え込まれるまでに振りほどいて脱出に成功した。
ポイントこそ入らなかったものの大きな印象点を稼いだタンキーニョは、さらにスタンドでプレッシャーをかけてゆく。残り1分。このままでは判定不利のガブリエルは組みついてのテイクダウンを狙うが、タンキーニョの分厚い上半身は揺るがず。ならばとガブリエルは飛びつき技を狙うも、タンキーニョは崩れず。結局そのまま延長の5分が終了した。
レフェリー判定はスタンドで優勢に攻めたタンキーニョに。2010年代前半、メンデス兄弟のオリジナルベリンボロや50/50の仕掛けを封じて世界を制したタンキーニョは、2019年に22歳の新星マテウス・ガブリエルの最新型モダン柔術も完封。重くタイトなプレッシャーをかけ続けるファンダメンタル・ゲームの奥深さを見せつけたのだった。
