【写真】マイナス・ポイント覚悟で下になったパウロ・ミヤオ (C)SATOSHI NARITA

9月28日（土・現地時間）と29日（日・同）の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ（ADCC）主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。

2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー5回目は全部が芯、そして金太郎飴のごとく注目カードしか存在しない66キロ級準々決勝から、パウロ・ミヤオ✖ニッキー・ライアンの新旧対決をレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi

＜66キロ以下級準々決勝／10分1R& ExR5分＞
パウロ・ミヤオ（ブラジル）
Def. by 本戦 0-0 延長 2-0
ニッキー・ライアン（米国）

業師同士の一戦が実現。両者は2年前にも対戦しミヤオが8-0で快勝しているが、当時のライアンは16歳の誕生日を迎える寸前の少年。今回はまったく違う展開になることが予想された。

まず座り込んだミヤオに対して、ライアンはその足を上から抑えつけながら左右にパスを仕掛けてゆく。素早く対応するミヤオは、ライアンの左足に絡んでのベリンボロ等の仕掛けを試みるが、ライアンは丁寧に対応して足を抜く。

加点時間帯が近づくと、ミヤオはライアンの右足を取ってダブルガードに持ち込む。そして5分を過ぎ、ミヤオはその右足をワキに抱えながらすぐさまシットアップして上に。これでまんまと2点を先制したかに見えたが、ポイントは入らず。ダブルガードという中立な体勢から、新たな戦いが加点時間開始されたという解釈だろうか……。

とまれ、失点がないことを確認したライアンはしばらくシッティングガードを取るが、やがて立つことを選択。両者スタンドからの攻防が始まった。

残り4分。レスリングでは不利と見たか、ミヤオはマイナスポイントを取られることを承知で引き込みを敢行。ライアンの右足に絡んでインヴァーテッドで崩し、50/50のような体勢を作ったミヤオは、さらにその右足を掴んで立ち上がる。そのまま倒されかけたライアンだが、すぐに立ち上がりながら足を振りほどき、失点を免れた。

ここでパウロは再び座る。2つ目のマイナスポイント献上かと思われたが、（両者スタンドの状態が成立せずに）スクランブルの攻防が継続していると解釈されたのか宣告はない。ライアンの右足に再び絡んだミヤオは、自らの左足を大きく旋回させて顔の左側にかけながら左足を掴む。さらに腰を動かして下からボディロックを作ったミヤオは、そのまま後転、50/50で足が絡んだ状態で上になってみせた。

見事なスイープで残り3分の時点で2点を先制したミヤオは、上から足を抜いて50/50を解除。すかさずライアンも立ち上がり、両者スタンドに。

ライアンとすれば、ここでテイクダウンを奪って2点を取り返せば、ミヤオの引き込みによるマイナスポイントの分逆転という場面だが、先にテイクダウンを仕掛けられる。それをライアンががぶると、ミヤオはしばらくその状態にとどまってタートルポジションを確立したのち、改めて引き込み。失点を回避してみせた。

僅かとなった残り時間、ライアンはミヤオの足を捌いてパスを狙う。が、ミヤオのオープンガードを崩すことはできず試合終了。お互いフィニッシュに近づく場面はなく、またポジションにおいてどちらかがドミネイトする場面も見られなかった業師対決だったが、ポイントゲームでミヤオに一日の長があった。

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