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【WNO09】トップゲーム強化のニッキー・ライアンが、アウメイダに快勝──も気になる増量効果……

【写真】兄と同じことを求められる過酷な状況にあるニッキーだが、世に出た頃の鮮烈な印象の強さもあり致し方ないか……(C) CLAYTON JONES/WNO

28日(土・現地時間)、テキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンにてノーギグラップリング大会WNO 09が開催された。世界トップの組技師がノーギルールで戦うプレミア・グラップリングイベントから、兄が競技生活から退いたニッキー・ライアン✖ガブリエル・アウメイダ戦をレビューしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<ミドル級/15分1R>
ニッキー・ライアン(米国)
Def. 3-0
ガブリエル・アウメイダ(ブラジル)

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

増量を続けるニッキーと、階級を下げてきたアウメイダ。計量ではともにほぼ185ポンドだったという両者だが、相対するとやはりアウメイダの方が一回り大きい。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

試合開始後いつものようにすぐに引きこまずに、スタンド戦を挑むニッキー。お互い首を取り合う展開を経て、先にアウメイダが引き込む。ニッキーの右足を左ワキにかかえて崩しにかかるが、ニッキーはバランスを保って離れてみせた。

上から得意の足関節でのカウンターを狙うことも可能なように見えたが、ニッキーにはその気もないようだ。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

次にアウメイダは引き込みながらギロチン狙い。が、素早く察知したニッキーは首を抜くと、ハーフの体勢から低く体重をかけてボディロックを取ることに成功する。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

アウメイダは腕をこじ入れて距離を取りにゆくが、ニッキーはタイトに体重をかけて右足を抜きにかかる。アルメイダがうつ伏せになると、ニッキーは右足を抜いて背中につく。

アウメイダは体をずらそう動くも、ニッキーはそこに付いてゆきフックを完成した。追い込まれたと思われたアウメイダだが、上体を起こすと、ニッキーの足を腕ではがしながら体をずらし、トーホールドを狙いつつ距離を取ることに成功した。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

残り11分で試合は再びスタンドへ。ニッキーはここも引きこまずに首の取り合いへ。さらにニッキーがシュートイン。左手でアウメイダの右足を抱えると、右腕を首に当ててなぎ倒す形でテイクダウンに成功した。

再びハーフを取ったニッキーは右腕を枕にし、クラッチを組んでアウメイダの首を圧迫していと、左足を抜いてサイドにパスに成功した。ここでアウメイダが背中を見せ、再びニッキーは両足をフックする。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

一度バックエスケープを成し遂げているアウメイダは、ここも同じように体を起こして正座の状態に。さらにアウメイダは動き、再び体をずらして正対することに成功した。

アウメイダのガードの中に入ったニッキーは、立ち上がって足を開かせると両足担ぎへ。またしても背中を向けたアウメイダのバックをニッキーは三度狙ってゆくが、ここもアウメイダに体をずらされてしまう。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

お互いに息が荒くなり動きが緩慢になるなか、ニッキーは足を捌いてのパスを狙う。が、アウメイダは足を利かせて対応すると、ニッキーの右足にデラヒーバで絡む。

さらにアウメイダはニッキーの右かかとを抱えてシットアップ。残り4分のところで、この試合ではじめて上を取ることに成功した。

ところが、アルメイダは疲労のため鋭いパスの動きができない。対するニッキーは腰を上げての三角を狙うが、アウメイダは距離を取る。ニッキーは一度立ち上がったものの、こちらもレスリングで勝負するスタミナが残っていないからか、自ら座りこむ。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

このままでは判定では不利なアウメイダは、完全にスローダウンしながらも横にパスを狙うが案の定、動きの重いニッキーは最低限の動作でシッティングをキープ。

時に腕を張って突き放し、あるいは足の裏でアウメイダの胸を蹴って距離を創ることで、アウメイダの攻撃を流し続けて試合終了を迎えた。

判定は3-0でニッキーに。十八番のシッティングガードや足関節に頼らず、あえてトップからの制圧を試みたこの試合。ボディロックパスを駆使してバックを2度奪い、またスタンドでも見事なテイクダウンを奪うことで、ニッキーは新しい強さを示した。

その結果、何度も体をずらされてフィニッシュを逃した上に後半はスタミナ切れを起こしてしまったが、こうした課題は自分の得意分野に安住することなく、未来を見据えて新しい技術を実戦で磨くという姿勢を貫いたからこそ見えたものだ。

と同時にニッキーが、優位に進めていた試合でこのような体力切れを起こしてしまうとなると、やはり急激なウェイトアップには無理があるのではという疑念も浮かぶ。それは同じ10代のライバルであるルオトロ兄弟が、増量にもかかわらず無尽蔵のスタミナでノンストップの試合を続けている姿とはあまりに対照的だ。危うさも孕みながら進化を続ける10代のグラップラーたちの戦いを、今後も見守りたい。


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