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【WNO09】頑固オヤジ対決は、立ちレスに終始しヴァグネウ・ホシャがヒンガーに3-0で勝利

【写真】良く言えば──互いに譲らずの熱戦をホシャが勝利した(C)MIKE CALIMBAS/WNO

28日(土・現地時間)、テキサス州オースティンのJWマリオット・オースティンにてノーギグラップリング大会WNO 09が開催された。世界トップの組技師がノーギルールで戦うプレミア・グラップリングイベントから、ヴァグネウ・ホシャ✖ジョシュ・ヒンガー=グラップリング界の頑固おやじ対決の意地の張り合いの一戦をレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<ミドル級/15分1R>
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)
Def.3-0
ジョシュ・ヒンガー(米国)

(C) CLAYTON JONES/WNO

いつものようにスタンドで前進するヒンガーに対して、ホシャはほとんど左ジャブの要領で肩を押して突き放す。

さらに右で顔面をはたくように首を取りにゆくが、ヒンガーもそんなものは想定済という様子で笑いながら前進して首を取りにゆき、両者は頭を擦り付け合っては離れる。ギロチンを必殺技とするヒンガーはホシャの首を下げたいが、ホシャは腕を伸ばしてヒンガーの顔面に押し付けてそれを防ぐ。

(C) CLAYTON JONES/WNO

インローまがいの足払いをホシャが放ち、掌打の打ち合いのごとくヒンガーの左とホシャの右が交錯する場面まで見られる。

39歳の誕生日を迎えたヒンガーと、あと1週間で39歳になるホシャは、お互いに決して譲らないままゴツゴツとスタンドでぶつかり続けていった。

残り6分の時点で、初めてホシャが前に出てヒンガーの右足に手を伸ばしてのテイクダウンを試みるが、ヒンガーは難なく切る。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

その後ホシャのインローでヒンガーのヒザが一瞬崩れる場面があったが、ここもヒンガーはすぐに体勢を戻した。

残り1分半。頭をヒンガーの顔面に当てて前に出るホシャに対し、ヒンガーがこの日初めてのシュートインからのシングル狙いへ。難なくそれを止めるホシャだが、目の上を出血し、試合は一時中断された。

再開後、ヒンガーはまた飛び込もうとするが、ホシャは距離を保つ。残り20秒でホシャは強引に両ヒザを付いてのテイクダウン狙い。ヒンガーにかわされてバランスを崩しかけるがすぐに立つ。

(C)MIKE CALIMBAS/WNO

最後、上体を屈めたヒンガーがこの日初めて両腕でホシャの左足を抱えたところで、試合は終了した。

結局、お互いに最後までスタンド戦で全く譲らないまま幕。極めて困難な判定となったが、ジャッジは3-0でホシャの勝利を支持した。

勝者は試合後「こんな退屈な試合になっちまってファンには悪かった。でも俺はもう年寄りだし、奴はその俺よりもっと年寄りなんだ。なにせ俺より1週間も年寄りなんだぜ。だから年寄り特有のバカ力の持ち主なんだよ。このレスリングの攻防は、お互いにとって危険だった。下手なテイクダウンを狙ったらカウンターをもらうのが分かるから、お互い躊躇しちまったな。レスラーじゃない俺がジョシュとこうしてやりあえたのはちょっと良かったけど、満足はしてないよ。まあ少なくともファンのために血を流すことはできたけどな。アトスの連中は俺の戦い方を真似するよな。フェイントからテイクダウンを狙い、首を掴むってやつだ。まあそれもありがたいと思うよ。今度は7月16日のRoad to ADCCで戦いたい。俺はADCC世界大会では出場するたびに順位を上げてきて、前回ついに準優勝した。今度こそ王者になるつもりだ」と話した。

確かにダイナミックなグラップリングの攻防はまったく見られなかったが、頑固親父二人が最後まで妥協せずハードにぶつかり合い凌ぎ合う姿に味わい深さを感じたり、心を打たれる者もいたのではないか。何にせよ、ホシャは今年この戦い方で対シモエス、タケット、ヒンガーと接戦をことごとく制している。40歳近くなっても第一線で勝利をもぎ取り続ける姿は、鉄人と呼ぶに相応しいだろう。


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