【UFC243】4年振りの豪州スタジアムショー、ミドル級王座統一戦。ウィティカー✖アデサニャ=打の違い
【写真】ウィティカー✖アデサニャ、前者が2年で2試合という試合数の少なさは気になる(C)Zuffa LLC/Getty Images
6日(日・現地時間)、豪州はメルボルンのマーベル・スタジアムでUFC243「Whittaker vs Adesanya」が開催される。
2015年11月にロンダ・ラウジー✖ホーリー・ホルムをメインとしたUFC193で、5万6000人の観客を動員したマーベル・スタジアム(※当時の名称はエティハト・スタジアム)で約4年振りの開催となる同大会のメインは世界ミドル級王座統一戦=ロバート・ウィティカー✖イスラエル・アデサニャの一戦だ。
ウィティカーは2017年7月にヨエル・ロメロを破り暫定王者に就くと、その年の12月にGSPの王座返上により正規王者に。翌2018年6月に王座初防衛戦の予定が、挑戦者ロメロの計量オーバーでキャッチウェイトのノンタイトル戦となり、さらに今年の2月のUFC234でケルヴィン・ガステラムを相手に王座防衛を行うはずだったが、今度はウィティカー自身が計量後に腹壁ヘルニアで緊急手術が出場で不出場という事態に陥ってしまった。
そのUFC234でアンデウソン・シウバとの一戦がメインに昇格し、判定勝ちを収めたアデサニャが4月にガステラムを破り暫定王座のベルトを巻き、今回の統一戦が組まれることとなった。正規王者のウィティカーは豪州人の父、マオリ人の母を持つことで自身は豪州だけでなくニュージーランドの代表でもあると常々に言っているが、今回は豪州人としてナイジェリア移民のキウイ、アデサニャをメルボルンで迎え撃つこととなった。
7歳の時に剛柔流空手を学び、ハップキドーに転じると所属ジムがMMAに転じたことでMMAファイターとなったウィティカーは、ローカル大会からTUF 豪州✖英国=Smashesで優勝を飾り、UFCと契約。当時はウェルター級で勝ったり、負けたりという戦績であったのが、ミドル級転向後は現在まで8連勝と負け知らずだ。
ウィティカーの特徴はスイッチヒッターで、蹴りも含めて左右・上中下に攻撃を散らすことができ、そのうえで下がりながらのパンチで相手を倒すことができる点にある。と同時に、上体を大きく揺らし、相手の攻撃の軸を外しつつ踏み込んで打ち込むパンチも大きな威力を持っている。このように相手の軸をずらした場合は、自らも軸がぶれ当たっても威力が軽減されるケースも少なくないが、ウィティカーの場合はその間合いが秀逸で、相手のステップインに合わせて斜め前に足を踏み出し、ドンピシャのタイミングで打ち込まれる。ウィティカーのパンチは遠心力を持ち、相手は前に出てきているので、自身の軸はずれていても相手は軸を持ったまま踏み込んでいるのを正面から捕え、正中線を打ち抜くことでダメージを増幅させてしまう。
対してアデサニャはナイジェリアのラゴス生まれで2001年、13歳の時にニュージーランドに移り住んだ。アフリカ時代にテコンドーの経験があったアデサニャは18歳でキックボクシングをはじめ、8年前より中国のWLF(武林風)、クンルンファイト、そして英雄伝説と国際的な舞台でも活躍して75勝5敗という戦績を残す。同時に2012年からMMAで活動を始めると、こちらでは現在まで17連勝──負けなしできている。
当然のようにストライカーのアデサニャだが、ウィティカーと比較すると前足重心で、大きく上半身を振って距離を詰めるということはない。いってしまえば最初からほぼ自分のレンジを取り、長い手足を武器に真正面から打撃を入れる。彼のバランスの良さは、パンチから蹴りという前に出る攻撃ではなく、蹴りからパンチのコンビネーション時に発揮される。
思い切り高い右ハイを蹴っても、重心が上に移動せず、着地と同時に足からヒザ、ヒザから腰、腰から背中、そして肩、ヒジと全てが連結したような形でストレートが放たれる。一見軽く見えるパンチは、グローブの大小に関係なく、体が結合した威力を有しており、蹴りに反応していた相手は面白いように倒れる。
同じストライカーでも相手との動きで試合を構築する正規王者と、自分の動きで相手を制する戦いをする暫定王者。元の距離がやや遠いウィティカーに対し、アデサニャがどのような位置取りを取るのか。また、ここに組み&寝技という要素が加わることで、両者の打撃が崩れることがあるのか。打ち合いになれば前者、一方的な完封ファイトなら後者という見方が成り立つものの──ウィティカーが1年4カ月振りの実戦というファクターが、そこに加わってくるだろう。
■ UFC243対戦カード
<UFC世界ミドル級王座統一戦/5分5R>
【正規王者】ロバート・ウィティカー(豪州)
【暫定王者】イスラエス・アデサニャ(ニュージーランド)
<ライト級/5分3R>
アル・イアキンタ(米国)
ダニエル・フッカー(ニュージーランド)
<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ(豪州)
セルゲイ・スピヴァク(ウクライナ)
<ウェルター級/5分3R>
ルーク・ジュモー(豪州)
ディエゴ・リマ(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
ジョルガン・デ・カストロ(カーボベルデ)
ジャスティン・タファ(豪州)
<フェザー級/5分3R>
ジェイク・マシューズ(豪州)
ロステム・アクマン(スウェーデン)
<ウェルター級/5分3R>
カラン・ポッター(豪州)
マキ・ピトロ(米国)
<ライト級/5分3R>
ブラッド・リデル(ニュージーランド)
ジェイミー・マラーキー(豪州)
<女子フェザー級/5分3R>
ミーガン・アンダーソン(豪州)
ザラ・フェアン・ドスサントス(フランス)
<女子フライ級/5分3R>
ナディア・カッセム(豪州)
キム・ジヨン(韓国)
<バンタム級/5分3R>
カリッド・タハ(ドイツ)
ブルーノ・シウバ(ブラジル)