【写真】ただ10キロ重いだけでなく、フェザー級でトップのデイヴィスは大きな壁となった(C)SATOSHI NARITA

9月28日（土・現地時間）と29日（日・同）の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ（ADCC）主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー1回目は、湯浅麗歌子の戦いをレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi

＜女子60キロ以下級1回戦／10分1R Ex5分＞
フィオン・デイヴィス（英国）
Def. by 12-0
湯浅麗歌子（日本）

3大会連続ADCC世界大会参戦となる湯浅の相手は、ウェールズ出身のフィオン・デイヴィス。湯浅より2階級（10キロ）上のフェザー級で戦い、昨年のノーギ・ワールズと今年のヨーロピアンを制している24歳の新鋭だ。

試合開始後座り込んで仕掛けようとした湯浅に対して、デイヴィスはすぐに右ヒザを入れてニースライスに。そのまま湯浅のガードを中央突破してパスに成功すると、マウントを奪ってみせた。体格差があるとはごんいえ、湯浅のガードをここまであっさり超えてしまうデイヴィスは只者ではない。

下になった湯浅は、隙間を作って足を入れることに成功するが、デイヴィスは再び右足で侵攻し、さらに上体を低くし左腕を枕に入れて上腕で湯浅の首を圧迫。ハーフで胸を合わせて湯浅の上半身を殺すと、再び右足を抜いてパスを完成した。

それでも開始4分弱、ポイントはつかない時間帯だ。デイヴィスは再びマウントを狙うが、今度はそのタイミングで湯浅が足を絡めてハーフに戻す。そのまま加点時間帯に突入した。またしても胸を合わせて前腕で首を圧迫するデイヴィスに対して、湯浅はロックダウンを作って抵抗するが、強烈なプレッシャーを誇るデイヴィスはそれを解除してマウントし、3点を先制する。

湯浅は一度足を絡めてハーフに戻すが、強固な上半身のコントロールを離さないデイヴィスはまたしてもヒザを抜いてパスを決めると、ニーオンザベリー、マウントと点を重ねてゆく。

残り2分となったところで、デイヴィスはマウントからステップオーバーして下になりながら三角を狙う。湯浅がそれを凌ぐと、下から腕十字へ。湯浅がそれをまたいで逃げると、デイヴィスはすぐにシットアップして豪快に浴びせ倒し、結局上のポジションをキープした。

ガードを取った湯浅は、下から素早く三角狙いを見せ、さらに横回転して足狙いへ。

しかし強いベースを誇るデイヴィスは動じず、試合終了。圧倒的なプレッシャーに耐えて下から守り抜き、最後まで諦めず攻撃を試みた湯浅だが、トップレベルの試合において10キロの体重差を突破することはできなかった。

ちなみに湯浅を倒したデイヴィスは、次戦で前回大会王者にして柔術世界大会5連覇中のビア・メスキータ（ブラジル）のガードもニースライスで突破して腕ひしぎ腕固めに移行。そのまま腕を伸ばして一本勝ちという大殊勲の星を挙げた。決勝こそビアンカ・バシリオ（ブラジル）と足を取り合った挙句にトーホールドで敗れたが、デイヴィスは今大会が生んだニュースターの一人となった。

■ 女子60キロ以下級　リザルト
優勝　ビアンカ・バシリオ（ブラジル）
準優勝　フィオナ・デイヴィス（英国）
※準決勝で敗れたビア・メスキータ、エルヴィア・カーピネンの両方ともに負傷して3位決定戦に不出場のため、3位は空位となった。

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