【Pancrase306】計量終了 手塚✖高木ら全選手がクリアの裏で──瀧澤✖代替選手の無差別級戦に関して
【写真】興行として、ビジネスとしてのっぴきならぬ事情があるのだろう。だが、現代MMAとして本来はバンタム級の選手が体重差7キロの試合を行ってはならない(C)MMAPLANET
29日(土)、東京都新宿区のDO-GA shinjukuで明日30日(日)に江東区の新木場スタジオコーストで開催されるPancrase306の計量が行われた。
メインでウェルター級暫定KOPTを戦う手塚裕之と高木健太の両選手を筆頭に、全出場選手が規定時間内にクリアーしている。
なおセミ瀧澤謙太と対戦予定だったリッキー・チャンプが親族に不幸があり、そして東陽子と戦うはずだったライーゼ・セルケイラが練習中のケガで欠場となり、それぞれがキルギスのダスタン・オムルザコフ、韓国のキム・ヨンギと明日は戦うこととなっている。
キム・ヨンギはこれまでDEEP、修斗に出場し、日本の老舗3団体制覇となるが、急遽出場となることを踏まえ東はバンタム級でなくフェザー級での試合を了承している。
また瀧澤の試合も当初予定されていたバンタム級ではなく無差別級で行われることになった。そして、水抜きをしない瀧澤謙太は62.85とバンタム級ノンタイトル戦の規定より1.2キロ多い体重で計量を終えている。一方、オムルザコフは69.8キロ……瀧澤とは6キロと950グラムの差がある。
パンクラスは今大会より新計量ルールを設け、61.65キロ(※所謂1ポンドオーバー規定を含んだ体重)がリミットのバンタム級では、対戦相手が63.5キロ以上の場合は試合が不成立となる。
それ以内の体重オーバーですら、相手の対戦を飲んだ場合のみが試合が成立することになり、試合をして減量失敗の選手が勝った場合はノーコンストという成立方法を廃止したばかりだ。
世界基準、そしてスポーツMMAを掲げようが、掲げまいが60キロ代の選手が7キロも体重差があって試合を行うのは危険極まりない。タイトル戦のドーピングの実施、上記にあるよう計量方法の見直し、計量現場に医師免許を持つ審判団を置くなど、これまで安全面を考慮し変革を続けてきたパンクラスだけに、無差別級という方法論=抜け穴を用いてこの1戦が組まれることは非常に残念でならない。
何かが起こってからでは遅い。そのために危険な芽をあらかじめ摘むことがMMAという競技を実施するうえで欠かせない努力のはず。この試合を組むこととなったプロモーション、審判団、選手、ジム、スポンサー、メディア、ファン、全てのパンクラスに関係している人々に、もう一度MMAというスポーツはノールール&体重無差別というルーツを持ち──残酷ショーと世間からバッシングを受けた結果、ルールを整備し安全面の強化を打ち出して生き残った歴史を持っていることを思い返してほしい。この1試合だけ──だからこそ、目を瞑ることはできない由々しき事態だ。
■Pancrase306計量結果
<ウェルター級暫定KOPT/5分5R>
手塚裕之:76.9キロ
高木健太:77.05キロ
<無差別級/5分3R>
瀧澤謙太:62.85キロ
ダスタン・オムルザコフ:69.8キロ
<フェザー級/3分3R>
ミノワマン:80.3キロ
石川英司:80.95 キロ
<女子フェザー級/5分3R>
東陽子:65.5キロ
キム・ヨンギ:64.4キロ
<フライ級/5分3R>
神酒龍一:56.85キロ
井上学:57.0キロ
<ウェルター級5分3R>
村山暁洋:77.35キロ
JJ・アンブローズ:76.95キロ
<ストロー級/5分3R>
前山哲平:52.6キロ
アダム・アントリン:52.05キロ
<ストロー級/5分3R>
早坂優瑠:52.6キロ
高島俊哉:52.55キロ
<フライ級/3分3R>
杉山廣平:56.8キロ
加マーク納:56.9キロ
<ライト級/3分3R>
林源平:70.55キロ
阿部右京:70.4キロ
<ウェルター級/3分3R>
KAZZ:77.45キロ
脇本恭平:77.3キロ
<バンタム級/3分3R>
高城光弘:61.4キロ
ワン・リザマ:61.1キロ
<バンタム級/3分3R>
井関遼:61.3キロ
高瀬一平:61.35キロ
<バンタム級/3分3R>
田代悠生:60.9キロ
藤井徹:61.3キロ
<フライ級/3分3R>
有川直毅:56.95キロ
水谷健人:56.75キロ
<ネオブラッドTウェルター級決勝/3分3R>
渡邊雅祥:77.05キロ
真王DATE:77.3キロ
<ネオブラッドTフェザー級準決勝/3分3R>
名田英平:66.05キロ
立成洋太:65.9キロ
<ネオブラッドTストロー級準決勝/3分3R>
尾﨑龍紀:52.65キロ
アラヤ:52.7キロ→52.65