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【ONE FN19】手塚裕之、対戦相手がアモリンに変更も「自分の良いところを出せば相手の光は消える」

【写真】苦難は続く。それでも手塚はケージに入る。勝つために(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN19にて、手塚裕之がブラジルのアブラォン・アモリンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

手塚にとっては、昨年10月にスクランブル出場でジン・テホを下して以来の試合だ。今年1月の日本大会には出場ならずも、その後すぐに今回の試合オファーが届いたという。ただ、当初はヴァウミール・ダ・シウバと対戦予定であったが、計量時点で相手がアブラォン・アモリンとなっている(計量後も本記事アップ時点で公式リリースはない)。苦難の戦いが続く手塚だが、勝利に向けて気持ちは清々しいほど明るい。


――日本を発つ直前にも関わらず取材を受けていただき、ありがとうございます(※取材は2月12日に行われた)。

「いえいえ。明日、日本を出発して夕方にはタイに着く予定です」

――昨年10月のジン・テホ戦は9日前の試合オファーだったそうですが、今回は準備期間もあって。

「オファーを頂いたのは試合の1カ月前でした。日本大会に出たいと思っていたけど、結局は試合がなくて。直前まで何があるか分からないから、ギリギリのオファーでも試合ができるように練習して、スタンバイしていたんです。でも日本大会では試合がなく『マジかぁ……』と思った直後に、『次のバンコク大会はどうですか?』という話が来ました」

――手塚選手にとってベストだったのは、日本大会で秋山成勲選手と対戦することだったのですか。ジン・テホ戦直後に秋山戦をアピールしていました。

「日本大会に出場するなら――ですね。僕が日本で試合をするなら、一番盛り上がる相手じゃないですか。秋山選手は名前もあって、レコード上は日本人選手には無敗ですし。そんなカッコいいまま引退してほしくないな、って。日本大会なら秋山選手と対戦したい。それは本心でした」

――その日本大会出場は叶わず。しかしルンピニー大会に出場できるので良かった、ということでしょうか。

「う~ん……日本大会で家族やチームメイト、応援してくれている人たちに試合を見せたかったという気持ちはあります。でもファイターは試合をして勝ち上がっていくことが一番の目的だし、ファイトマネーも特別変わらないのであれば、どこで戦うのも同じだとは思っていますね」

――日本大会か今回のルンピニー大会か。どちらにしても前回の試合から3~4カ月後という試合間隔です。ジン・テホ戦は1年8月振りの試合でした。

「4カ月というのは理想的な試合間隔ですね。何よりも、いつ試合があるか分からない状態が長いよりは、しっかり試合が決まって練習できるようが良いです。試合が決まっていない時期の練習って、『自分は何のために練習しているだろう……』と思う時もあるんですよね。9日前にオファーが来ることもあるから、いつ誰と対戦しても良いように普段から準備はしています。でも、前々から対戦相手も日程も決まっていたほうが、しっかりと自分をつくり上げることができるのも当然で」

――そんななか、セコンドとして岡田遼選手がタイへ帯同するそうですね。所属ジムが異なる岡田選手がセコンドにつくのは、どのような縁があったのでしょうか。

「岡田さんとは一緒に練習しているわけではないのですが、同い年ということを知って、そこからお互いのジムを行き来して意気投合しました。彼は現役選手であると当時に経営者でもあり、かつセコンドとして平良達郎君や鶴屋怜君のセコンドとして海外を飛び回っているじゃないですか。

対して自分の地元というのは、ジムの会長であっても格闘技とは別の仕事を持っているのが普通で。だから急に海外で試合をすることになっても、仕事があるから休みも取れない。前回の試合は9日前だから誰も来てくれる人がいなくて……岡田さんにお願いしたら、快諾してくれたんです。しかもRIZINの中島太一戦が終わってから10日後ぐらいで疲れも残っていたと思うんですけど、快諾してくれて良かったです」

――手塚選手は以前、海外の試合でセコンドを帯同できないこともありました。

「そうなんです。シンガポールで試合をした時は、コロナで現地に連れていくことができなくて――イヴォルブの会員さんを紹介してもらいました。

でも、『戦うのは自分だから』と思っています。もちろん普段から一緒にいる人のほうが良いかもしれないけど、自分の場合は試合直前ってそれほど体も動かさないので。体を休めながら、イメージトレーニングして試合を迎えています」

――そんななかで、岡田選手がセコンドを務めくれた時は……。

「やっぱり同い年だから自分も気を遣わずに、いろんなことをお願いできるんですよ。何より彼は頭が良い人で、指示も的確なおかげで前回は勝つことができたと思います」

――手塚選手がONEで戦うなかで、これまでも様々な困難がありました。それでもONEで戦い続ける理由は何でしょうか。

「まずは海外で、強豪外国人選手と対戦できるという点ですよね。そこでメインストリームにいることができる――かどうかは、自分次第ですけどね。あとはやっぱりファイトマネーの部分は大きいです。プロのファイターである以上、自分のことを高く評価してくれるところで戦いたいので」

――試合間隔は空きながらも、現在は3試合連続フィニッシュしています。その結果、ご自身がONEウェルター級のメインストリームにいると思いますか。

「どうなんでしょうね……。ONEは今、ライト級以上の階級はランキングがないから分かりづらいところはありますね。どうしても軽量級に目が行きがちで。自分の中ではトップ戦線の中にいるとは思っていますけど」

――ライト級&ウェルター級2冠王者のクリスチャン・リーが1年以上試合をしていないのも、階級の現状を考えづらい要因になっているとは思います。もしクリスチャン・リーが復帰し、手塚選手が挑戦者に選ばれた場合――自信はいかがですか。

「クリスチャン・リーかぁ……。もちろん対戦が決まれば、『絶対に勝つ!』という気持ちで試合に臨みます。でも自信があるかどうかは、やってみないと分からないですよね。やっぱり強いチャンピオンだし――何なんでしょうね、あの強さは(苦笑)。でも『対戦したい。ベルトに挑戦したい』という気持ちは、今もずっと持って試合をしています。そのためにも次の試合もバッと倒して、自分が一皮むけたところを見せたいですね」

このインタビューはダ・シウバ戦を前提としたものだったが、15日(木・現地時間)の計量後に手塚の対戦相手がアブラォン・アモリンに変更されたことが正式に発表された。アモリンのMMA戦績は9勝4敗で、昨年からONEに出場し1勝1敗だ。初参戦となったパク・デソンには1R KO勝利を収めたものの、昨年11月にはパキスタンのアフメド・ウジダバに三角絞めを極められている。ここまでライト級(※77.1キロ)で戦ってきたが、今回はスクランブル出場で、ウェルター級(※83.9キロ)契約で手塚と戦う。対戦相手の変更後、手塚がMMAPLANETに送ってくれたメッセージは次のとおりだ。

「前回は9日前のオファーで、前々回が1週間前に対戦相手が代わり――そして今回も現地に着いてから相手が変更となりました。それが僕らしいといいますか(笑)。ハードな状況でも勝つことができる。それが自分の成長を証明する手段だと思っています。

アモリンは喧嘩ができて、柔術が巧い選手という印象です。特に、きちんとフィニッシュに対する嗅覚を備えて、ここぞという時に攻め込むのが巧いというファイターですね。

でも僕が自分の良いところを出せば相手の光は消えます。いつもどおり極めて、4試合連続フィニッシュを狙います!」

■放送予定
2月17日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ONE FN19 計量結果
※日本時間 2月15日 23時50分時点

<ONEムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ジョナサン・ハガティー:65.31キロ
[挑戦者] フィリッピ・ロボ:65.54キロ

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス:65.77キロ
モハメド・ユネス・ラバー:未計量

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ダニエル・ウィリアムス:56.70キロ
リト・アディワン:56.59キロ

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン:76.54キロ
ナウゼット・トルヒーリョ:76.66キロ

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之:82.78キロ
ヴァウミール・ダ・シウバ(ブラジル)➡アブラォン・アモリン:82.78キロ

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ:未計量
エディ・アバソロ:69.74キロ

<ミックスルール女子ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
ワンダーガール・ナット・ジャルンサック:56.70キロ
ダヤニ・カルドゾ:未計量

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
マンスール・マラチェフ:56.59キロ
猿田洋祐:56.59キロ

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
トンプーン・PKセンチャイ:56.70キロ
ティムール・チュイコフ:56.59キロ

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