【DEEP132】猿寿健太と対戦。羽ばたけ! 火の鳥「左ボディで悶絶させたいんですよね」
【写真】計量から、こんな感じですが――インタビューでは素の高木恭平を見せてくれた(C)MMAPLANET
5日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP132 IMPACTで、火の鳥が猿寿健太と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
今年4月、RIZINで本田良介をKOした一戦は、火の鳥にとって大出世試合となったに違いない。本名は高木恭平。そのリングネームと奇抜な衣装、入場パフォーマンスばかりが目立つだろう。しかし高校から大学まで続けていたレスリングをベースに、打撃とサブミッションを身につけ、しっかりとフィニッシュするMMAファイターだ。
そんな火の鳥に、計量前日にインタビューを行ったところ――「火の鳥」ではなく素の高木恭平としての生活、これまでのキャリアと猿寿戦、さらに今後の目標も語ってくれた。素の部分を知り、かつ試合当日にはキッチリと火の鳥となって戦う姿に注目してほしい。
健太戦の勝ち方次第ではあるけど、いきなりタイトルマッチを狙えるんじゃないかと考えています
――7月5日、猿寿健太選手と対戦する火の鳥選手です。契約体重がフライ級リミット(56.7キロ)から58キロに変更されたようですね。
「はい、58キロに上がりましたね。健太選手のコンディション不良で、DEEPさんのほうから『キャッチウェイトにしてもらえませんか』というお話があって受けました。それは仕方ないです」
――キャッチウェイトに変更されたことで、試合に何か影響を及ぼすことはあるでしょうか。
「あまり影響はないです。健太選手のほうは、そもそも通常体重が重いでしょうし、当日は僕より5~6キロは大きいと思うんですよ。だから健太選手の当日の動きがどうなるのかな、というぐらいで」
――火の鳥選手は以前、減量について「あと5キロ。水抜きは3キロもやりません」とSNSに投稿していました。ということは、それほど通常体重が重いわけではない、と。
「通常体重は64キロぐらいで、節制していたら62キロぐらいになっていますね。それぐらいの体重なので、今年はストロー級で戦ってもいいかなと思っていたんですよ。ストロー級のほうがベルトに絡めるのであれば、まずストロー級でチャンピオンになってからフライ級で2階級制覇を獲るとか」
――フライ級でいえば現状、猿寿選手に勝てば次はタイトル戦線に絡むことができるでしょう。
「そうですね。今のDEEPフライ級って6人いると思うんですよ。チャンピオンの村元友太郎選手、関原翔選手、力也選手、健太選手、本田良介選手、そして杉山廣平選手。そんななかRIZINで本田選手を倒したことで、自分もこの枠に入れたと思っていて。次に健太選手を倒せば――他はほとんどの選手が村元選手と対戦しているじゃないですか。僕は村元選手と戦ったことはない。健太戦の勝ち方次第ではあるけど、いきなりタイトルマッチを狙えるんじゃないかと考えています。やっぱり本田選手を倒したことは大きかったですね」
――過去の実績から考えると、本田戦は圧倒的不利の声も多かったと思います。
「圧倒的、ですね。もう95パーセントぐらいは本田選手が有利と思っていて、僕が勝つと思っていたのは身内ぐらいじゃないですか。いや、身内も怪しいです(笑)」
――だからこそKO勝利は反響も大きかったのではないですか。
「大きかったです。あの大会はタイトルマッチが2つもあったし、他にも大きな試合があったから、僕の試合は注目されているカードではなくて。それでも少なからず目立ちましたよね。それまで本田選手は一度しかフィニッシュされたことがなく、しかもONEでバケモノのような相手(※サンジャル・ザキロフ)にKOされただけだったじゃないですか。その本田選手をKOできたので……、……気持ち良かったです(笑)」
選手でいえば南友之輔選手の打撃がすごく好きで、教えてもらったりしていますね
――これまでのキャリアについて訊いていきたいと思います。まず驚くのは、BRAVE所属ですが現在も一般会員なのですか。
「はい、普通の一般会員ですね。もともとは大学までレスリングをやっていて、卒業後はレスリングから離れて就職したんですよ。そこから6年ぐらい働いている間に、ちょうどRIZINが盛り上がってきて。特に武田光司、太田忍とか同世代のレスリング出身選手が活躍しているのを見て『良いなぁ』と思っていました。彼らとは知り合いでしたから。
一方で自分は毎日同じような生活で……メシ食って、会社に行き、仕事が終わってから帰宅して寝る。その繰り返しで何の刺激もなかったから、彼らの活躍を見て羨ましいなぁと思っていました。それで自分もMMAをやってみようと思って武田光司に連絡し、当時彼が所属していたBRAVEを見学したんです。
ただ、MMAをやるならプロで戦いたい。でもサラリーマンを続けながらは難しいと思ったので会社を辞めて、別の働き口を探しながらBRAVEに入ったという流れですね。それが29歳になる直前でした」
――なるほど。16歳の時にレスリングを始めたキッカケは何だったのですか。
「高校の部活で始めたんですけど、高校から始めるって珍しいですよね」
――ジュニアの頃から始めている選手が多いですよね。
「僕の場合は兄がいて、レスリング部の先生も僕のことを知っていたんですよ。『見学に来い』と言われて、その流れでレスリング部に入りました」
――レスリングを始めるまでの運動経験は?
「小学生の時はソフトボールをやっていて、中学からは部活に入らず中2から少林寺流空手道(※少林寺流空手道錬心舘)の町道場に週1回通っていました。それを高3まで続けていたので、高校生の時はレスリングがメインで、少林寺流空手道を並行してやっていましたね。少林寺流空手道は、型は全く勝てなかったけど、組手で一回だけ優勝したことがあります」
――左ジャブを上下に突きながら右を狙うという現在の打撃のスタイルに、少林寺流空手道の影響はあるのでしょうか。
「いや、全くないです。僕の打撃は見様見真似というか、自分がされて嫌なことを試合でやる。会員さんでも強い人がいっぱいるし、選手でいえば南友之輔選手の打撃がすごく好きで、教えてもらったりしていますね」
――確かに南選手の打撃スタイルと言われたら、しっくり来る部分はあります。
「あとはイリャ・トプリアとかが好きで、試合映像を視て真似したりしています」
――つまり重心を低めに構えて、ボクシングとレスリングをミックスしやすくする。
「そうです。スタンスを広くして、打撃を上下に出しながらテイクダウンも狙いやすい。自分に合っていると思っていますね」
僕は家族がいて、何より自分はまだ教えてもらう側だと思っていますし、一般会員として続けています
――現在も一般会員を継続している理由は何なのでしょうか。
「僕は家族がいて、昼は仕事をしているんですよ。今は格闘技だけでは食べていけないから。でも最初に内弟子という形になると、それが難しくて。何より自分はまだ教えてもらう側だと思っていますし、一般会員として続けています」
――ということはプロ練習にも参加していないのですか。
「ほぼ参加していないですね。基本的には一般クラスだけです。宮田(和幸)さんやプロ選手が指導するクラスに、仕事が終わってから夜に参加していて。子供も小さいので、仕事が終わってから子供の世話をして、だいたい20時半ぐらいからになりますけど。ただ自分の仕事は夜勤もあるので、夜勤の日は昼のプロ練に参加する時もあります」
――結婚したのは、前職の時代ですか。
「いえ。妻と知り合ったのは前の会社に勤めていた時代ですけど、結婚したのは会社を辞めてからですね」
――MMAをやるために会社を辞めることについては……。
「さすがに、いろいろと言われました(苦笑)。でもコロナ禍になって仕事も大打撃を受けていたんですよ。このままだと業界的にも先が見えない。だったら別の仕事も視野に入れていながら、今の会社を辞めてもいいんじゃないかという話になって。あと保険というか、妻のお父さんが会社を経営しているんです。最終的には今、妻のお父さんの会社に勤めています」
――まず仕事の面は安心できる面があったと。対して29歳を目前に、レスリングを離れて6年も経っていた時にMMAを始めることについて、ご家族の反応はどうでしたか。
「妻は、僕がここまでやるとは思っていなかったはずなんですよ。本気でプロMMAファイターになるとは考えていなかったんじゃないですか。『言っているだけだろ』とか(笑)。だから心配はしていなかったと思います。
でも僕がプロデビューして、RIZINで勝って次はDEEPのベルトにも絡むかもしれない状況になり、妻も本当に楽しみにしてくれていますね。一番楽しみにしてくれているかもしれない。なにせ僕よりDEEPやRIZIN以外の格闘技団体に興味を持っていて、自分より格闘技に詳しくなっているんじゃないですか(笑)」
今まで一番の強みであるレスリングを封印して戦ってきていますからね。まだまだ手札はたくさんあります
――アハハハ、それは何よりです。結果、アマチュアの試合を経て2024年10月に本名の高木恭平でプロデビュー。続いて韓国RING Championshipの試合を経て、2025年11月の木村琉音戦から「火の鳥」のリングネームで戦っています。
「あの試合がプロ3戦目で、DEEP初参戦でした。あの頃からキャラになり切ろうと思って」
――「キャラ」と言い切ることができるのも素敵です。その「火の鳥」というキャラは、どこから生まれたものなのでしょうか。
「2024年11月にBlack Combatのオーディションに参加したんです。Black Combatって選手それぞれにニックネームがあるじゃないですか。オーディションの時に日本の関係者から『ニックネームを考えてください』を言われたけど、自分じゃ何も思いつかなくて(笑)。それで関係者に相談したら、火の鳥ってニックネームをつけてくれたんですよ。結局、いろいろあってオーディションは途中で終わっちゃいましたけど(苦笑)。
その時オーディションに協力していたDEEPさんと縁ができて、翌年3月にはDEEPに出ることも決まりました。でも自分が負傷して試合を飛ばしてしまい、復帰する頃には試合の枠もない。そこでDEEPさんがRING Championshipの試合を紹介してくれて、そのあと改めてDEEPに初出場することになりました」
――そうだったのですね。火の鳥選手にとってMMAを戦ううえでの目標を教えてください。
「DEEPのベルトを獲ることが目標で、いずれRIZINに出たいと思っていました。でも先にRIZINに出ることができちゃって(笑)。今はDEEPのベルトを巻くことは絶対で、その先にRIZINでどれだけ戦えるかを試したいと考えています」
――その目標を達成するためにも重要となる次の試合、対戦する猿寿選手の印象は? 火の鳥選手はレスリングベースで、猿寿選手は柔道ベースです。加えて互いにパンチを振っていきますが、パンチのタイプも違っていて。
「フィジカルはメッチャ強いと思います。でも、それだけですね。体力もあるでしょうけど、僕が削っていって最後に倒しますよ」
――倒すとすれば、やはり右ストレートですか。
「アハハハ。もちろん右は狙いますけど、もう一つ……左ボディで悶絶させたいんですよね。今まで健太選手はボディ攻めを食らったことはないと思うんですよ。そういうところも突いていきたいですね」
――左ジャブがあるから右ストレートが当たり、右ストレートがあるから左ボディが入る。さらに顔面への左フックも返せるのあれば、より強みが増えるでしょう。
「何より、今まで一番の強みであるレスリングを封印して戦ってきていますからね。まだまだ手札はたくさんあります」
――おぉっ、それは今後も楽しみです。
「次の試合はKO勝ちして、タイトル戦線を掴み取りたいですね。ベルトを獲ってRIZINで上位層と戦えるような、活躍できる選手になりたいです。視てくださる方にも楽しんでもらえるような戦い方、入場パフォーマンスも含めて全て『火の鳥』を楽しんでもらいたいです。よろしくお願いします!」
■視聴方法(予定)
7月5日(日)
午後1時45分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ
■DEEP132 計量結果

































