【ONE85】パシオに挑戦、猿田洋祐─03─「MMAってすぐにできるモノじゃない。そこを見せたい」
【写真】パシオとの世界戦は猿田の10年が詰まっている (C)MMAPLANET
19日(土・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開催されるONE85「Eternal Glory」で、ジョシュア・パシオの持つONE世界ストロー級王座に挑戦する猿田洋祐インタビュー最終回。
猿田の1日をAmeba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追うなか、猿田と魚井フルスイングの遺恨という裏話が聞かれた。
魚井にうっぷんを晴らしてもらったうえで、タイトル奪取に賭ける決意のほどを訊いた。
ゆっくりと過去のできごとを振り返る猿田。その一言、一言を噛みしめるような口調から、如何に彼の闘志が漲っているのか伝わってきた。
<猿田洋祐インタビューPart.02はコチラから>
──アハハハハ。
魚井 いや、笑えないっスよ。実際、あの場にいると。
「謝ったじゃないですか」
魚井 僕があそこで踏み止まった理由が2つあるんです。『後で謝るからさ。死ぬとき、後悔したくないからさ』って真剣に言ってきたので。クソッ、ちゃんとしてるやんと思って(笑)。
もう一つは猿田の嫁さんもマレーシアまで来ていたのに、あそこで怒ってセコンドをブッチしてグダグタな試合になったら、嫁に刺されるなって。だからなんですよ。
──雨降って地固まりましたか(笑)。
「そうですね(笑)」
──2週間前というコトも含め、クアラルンプールでそこまでのことを経験していたら、もう何が起ころうともという感じになるのでは?
「メンタルの面をあの状況で創ることができたのは自信にはなりましたが、それでも精神的に余裕はないです。まだタイトルマッチが決まっただけなので。勝たないと、何もならないですからね」
──さきほどクアラルンプールには奥様が応援に駆け付けていたと魚井選手の発言でありました。今回は?
「ハイ、今回も来てくれます。実は年末に新婚旅行を予定していたんです。4月に決めていたことで、12月のアレックス・シウバ戦に勝てて『無事行けるね』って言っていたら、すぐに世界戦が決まって」
──つまり新婚旅行は……。
「キャンセルしました。なので絶対に負けられないです」
──ちなみにどこに行かれる予定だったのですか。
「シンガポールです(笑)」
──アハハハ。ぜひとも世界王者になって足を延ばしてください。改めてですが、パシオが相手だからこそ見せないといけないところなどありますか。
「まぁ経験だったり、地力が違うところは見せたいです。パシオ選手って若いし、まだ経験値も少ないじゃないですか。MMAってそんなにすぐにできるモノじゃない。たくさんやることがあるので、時間も掛かります。試合をこなしながら経験を積むことが自分のなかでは大きいので、そういうところを見せたいです」
──戦局的にいえば先ほども言われていた後ろ回し蹴りですが、あのような力とスピードのある技で入れなくなる選手も少なからずいました。逆にパシオが入れるようになり、優位な展開に持ち込みます。
「今、対策練習をしていますし自信はあります。大切なのは怖がらないという気持ちですから。そこが一番重要だと思います。
もうデビューして10年経ちました。色々なことがありました。修斗でデビューして、新人王を取って。ケガもたくさんして。トータルすれば3年ぐらいリハビリ生活をしました。
そのなかで諦めずにやってきて。1階級上でしたがタイトルマッチを2度戦い、1回目はドローで2回目は判定で負けてしまいました。
一旦、修斗を離れて他団体やVJTも出させてもらいながら、もう一度修斗に戻って。階級を落として、ストロー級で世界チャンピオンになって。そこからフライ級という──取れなかったベルトを取りに行こうと。でも田丸戦で上手くいかずダメでした。
そこがきっかけで初心に返って、最初からやり直そうというときにチャンスが来た。全て繋がっています。色々なことがありましたけど、次に勝たないと今までのことは報われないと思うので……。
修斗のチャンピオンではまだまだ足りないです。ONEでチャンピオンになって、しっかりと稼いで周りの人、チームや奧さんだったりに喜んでもらえるような選手になりたいです。
世界で認められる──日本、HEARTSには猿田という選手がいるということを分かってもらうために勝ちたいと思います」
──だからこそ技術面云々だけなく、人生という部分でも経験の違いをパシオに見せたいですか。
「フィリピンも大変な状況だと思うのですが、自分だって夜勤やって昼間に練習してとか、色々なことをやってきたので。家族を養いながら、自分の練習をしてきました。そういう面でも絶対に負けないし、繰り返しになりますが気持ちで負けないことですよね。
過去を思い返すと、今は恵まれているので……絶対に勝ちます」