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【Special】『この人と話しておきたい年末、2018』。内藤のび太─01─「アレで勝てるというのが……」

Nobita【写真】取材は夕暮れ前の池袋北口で行われ……のび太は「池袋は怖い」と表情が硬かった(笑) (C)MMAPLANET

2018年ももう残すところ僅か……。MMAPLANETでは、年内に1年の総括と新たな1年の話をどうしても聞いておきたい格闘家を5人ピックアップした。

題して『この人と話しておきたい──2018』。3人目は──9月にONE世界ストロー級王座を失った内藤のび太に話を訊いた。

(C)ONE

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5月に2度目の王座奪取。8月にONE日本大会開催の発表があり、このままONEとともに勢いに乗るかと思った矢先、9月に1度はRNCで完勝しているジョシュア・パシオに判定負けを喫し、タイトルを失った。

思えば本格的にONE裁定の中身が吟味されるようになったのは、のび太の王座転落があってからだ。格闘技として試合をコントロールしていたのは、紛れもなくのび太だった。それでも勝てないONEの裁定基準について、のび太は何を想うのか。また常について回る現役続行問題について、尋ねた。


──9月にジョシュア・パシアに敗れONE世界ストロー級王座を手放した後、のび太選手が話すときの一人称が『ワシ』になり、周囲が心配していたという話を確かな筋から伺ったのですが、その後は大丈夫ですか。

「アハハハ、分からないです。ワシ……ですか? 自分では意識したことはないですし、言っていたのも覚えていないです。自覚症状はないですが、ひょっとすると言っていたかもしれないです。もう捨て鉢になって、そんな話し方をしていた可能性はあります」

──ワシを使う心境というのは?

「それは分からないです。ワシという言葉を使う心境は……(笑)。まぁ、一応は負けたなっていう感じでなっていたのかもしれないです。それで……ワシって言ったかどうかは分からないです(苦笑)」

──と同時に控室では『鈴木隼人選手みたいな、才能がある人が戦えば良いんだ。ワシがやるもんじゃない』というような言葉も口にしていたとも聞きましたが……。

「ワシもそうだし、そういうことを言ったかどうかも覚えていないですが……まぁ、取れないという致命的な部分が出た試合だったので。それとタイトルマッチを何度もやらせてもらったので、次は鈴木隼人選手の番だという気持ちではいたかもしれないです。

そうなってもしょうがないと……普通に考えた場合は。僕もまたチャンピオンにはなりたいですが……」

──三度チャンピオンになりたいということは、引退は考えなかった? 以前は負ければ終わりという考え方でしたが。

「う~ん、微妙なところですね。変わってきた部分もありますが、連敗しているようだと続けられないですからね。ただ、もう1度タイトルマッチを戦えるようになりたいとは思っています。少なくとも、もう1試合は確実にやるつもりです」

──1試合は……というのは気になりますが、パシオ戦の敗北を振り返ってもらえますか。5R終了時点で、裁定はどう転ぶとのび太選手は思っていたのでしょうか。

「僕自身は懸命に戦っていて、何がどうかというのは冷静に判断はつかないというのが正直なところだったのですが、5Rに入る前のインタバールでセコンドから『ここで取らないと負けるぞ』という話を聞かされていたので……。だから、もう取りに行くためのグラップリングのような試合をした結果、取れなかったのでヤバイなという気持ちではいました」

──ONEの裁定基準についてはダメージ優先ということは、伝わっていたのですが、詳しく論議がされるのはのび太選手の敗北からでした。ニア・フィニッシュ、ダメージ、打撃のコンビネーション&ポジショニング、テイクダウンの攻撃と防御、そしてアグレッシブという順序は、まだあの時点で浸透していなかったです。

「そうでしたね……ただ、6月にアドリアーノ・モライシュがジェヘ・ユースタキオにスプリットで判定負けをしたじゃないですか。あの試合があったので、テイクダウンで上を取っても打撃に負けるという見方は、鶴屋さんたちはしていたと思います。

僕はそこまで気にして戦っていたわけじゃないですが、モライシュのスプリット判定負けを考えると、あのままでは僕も負けるという風にセコンドは判断していたんだと思います」

──なるほど、その見方は間違っていなかったわけですね。実際に戦っていてテイクダウンして、トップにいるのだからのび太選手のペースで試合は進んでいるとは思っていなかったですか。

「後半はそうでした。ただ、もう必死だったから頭は回っていなかったです。頭が回らない攻撃が前半にあったのかもしれないですし」

──いや、そういうダメージの残る攻撃は被弾してはいなかったかと思います。映像は確認はされましたか。

「ハイ。後から見ると、効いた感じの攻撃はあったかと思います。テイクダウンを仕掛けて、鉄槌を連打されたり。とにかく1Rと2Rは打撃の面で僕の印象が悪くて、その流れでバックを取られたので、そこを挽回できなかったという試合でしたね。惜しい場面、山場を作らないと印象点を持っていかれてしまう」

──その辺り、ラカイ勢は本当に長けています。11月にビビアーノ・フェルナンデスがケビン・ベリンゴンに敗れた試合など、ONEの裁定基準でもビビアーノが勝っていたよう思えました。

「アレは僕もビビアーノだと思います。アレが負けになるのはチョット……逃げているのは凄いですけど、それはエスケープで攻めているのはビビアーノだったので、あれだけ寝技の強い人があの試合展開で判定負けになるのは……どうすれば良いのかというのはあります」

──仰る通りかと思います。ラカイに適した判定基準になっているのと、ラカイ勢の研究熱心さは認めるところですが。

「ラカイが寄せて行ったのか、ルールがラカイに寄ったのか分からないですけど……。アレで勝てるというのは、ラカイにはあるのでしょうね」

──そうなるとタイトルを目指し、のび太選手が再起をするには戦い方をアジャストする必要もあるかと。

「僕のスタイルはONEには合っていないですね(笑)。フィニッシュも狙っているのですが、削り続けた先にあるスタイルなので」

──それでは判定勝ちはできない。その事実が明確になりました。

「ハイ。だからフィニッシュですね。1にも2にもフィニッシュ、そこでニア・フィニッシュに持ち込む。僕はこれまで抑えるという部分で攻防をしていたので。その一歩、奧で攻防しないといけないです。

9月のパシオ戦だけでいえば、スクランブルとかでなく背中をつけてバックを取らせないように戦われました。それで下からパンチとかエルボーとか打って来て……印象点を取られるという」

<この項、続く

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