【Invicta FC33】攻防の少ないラウンドを纏める力。フレイがグルサンデルを返り討ちにし王座防衛
<Invicta世界アトム級選手権試合/5分5R>
ジン・ユ・フレイ(米国)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
ミナ・グルサンデル(フィンランド)
まず左ローを蹴ったフレイ。さらにローを重ねる。遠目の距離で間合いを測るフレイに対し、グルサンデルが踏み込んで右を放つ。これを避けた王者は、続く前進に左エルボーを合わせる。グルサンデルも右を返し、右ローへ。右を連続で振るって前に出て来たグルサンデルを捕まえたフレイが、ダーティーボクシングでテンプルから耳の辺りに勢いのある左フックを連打する。残り90秒、グルサンデルが右ミドルをブロックされ、右ローへ。
と、右を当てたグルサンデルがダウンを奪う。立ち上がってもパンチを受け、ボディロックでテイクダウンを許したチャンピオンはクローズドガードを取る。グルサンデルは腕十字を防ぎ、右のパンチ&エルボーを打ちつけて初回をリードした。
2R、5分間で前回の25分以上の攻防があった両者。フレイのダブルレッグを切ったグルサンデルが、ケージ煮詰めてヒザをボディに連打する。フレイは左エルボーを顔面に打ち込んで離れると、左ストレートをヒットする。さらに左ストレートを当てたフレイだが、グルサンデルも左右のフックを連打してクリンチへ。ヒザをボディに受けるフレイも、ヒザを返す。勢いのあるニーから右を入れた挑戦者は、小康状態のなかで右フックを被弾。直後に組んだグルサンデルに対し、フレイは左フックを入れて離れる。そして、右フックにダブルレッグを合わせるが、逆に頭を抱えたグルサンデルがヒザを見せラウンド終了となった。
3R、ステップを使いながら左ストレートを伸ばすチャンピオン。グルサンデルは左ストレートを当て、動きが止まったグルサンデルにまたもやダーティーボクシング&左フックを連打していく。さらにテイクダウンを決めたフレイは、グルサンデルのハイガードをスラムして左右のパンチを打ち込む。スペースを作り、立たれても構わないので勢いのある左右のパンチを打ち込むフレイだったが、グルサンデルがダブルレッグを決めてトップへ。フレイはスイープを決め、スクランブルからスタンドへ戻る。
グルサンデルはケージにフレイを押し込み、チャンピオンの引き込みを誘発する。トップを取ったグルサンデルは足を捌いてパス。サイドからエルボーを落とし、スクランブルでバックに回る。バックを譲らず、ガードを選択したチャンピオンに対し、グルサンデルがエルボーを打ちつけトップを取ったままラウンド終了を迎えた。
4R、近い距離で向き合う両者。グルサンデルが右を振るうと、フレイのテイクダウン狙いを受け止めてヒザをボディ、そして右フックを打ち込む。フレイも右フックを殴り返し、さらに左フックをヒットさせる。鼻血を流すグルサンデルは、右を伸ばす。直後にダブルレッグを決めたフレイは、立ち上がったグルサンデルに小内刈りを仕掛ける。
ケージを背負い倒れないグルサンデルが、押し込み返し右エルボーを放って距離を取り直す。動きが落ちた両者、フライは勢いのあるパンチを単発で繰り出す。グルサンデルも、チャンピオン以上の動きを見せることができない。王者はワンツー、ローを蹴り合い左ハイが空振りになったところで最後のインターバルを迎えた。
最終回、ワンツーで前に出るグルサンデルに対し、フレイが左フックで迎え撃つ。グルサンデルが右を伸ばし、王者の左フックをかわす。フレイは右ジャブを当ててから左に回る展開を続ける。終盤に近付くほど前回の試合のような序盤戦に見られる主導権争いに戻ってしまうなか、グルサンデルがテイクダウンを狙う。
切ったフレイは、暫くケージを背負って時間の経過を持つ。離れた王者にワンツーを当てたグルサンデルが、ここで組みを選択してしまう。打撃で打ち勝つ気持ちが必要になってくる最終盤戦、テイクダウンの奪えないクリンチの攻防は逆にマイナスな印象を見ている者に与える可能性もある。
フライが突き放してパンチを狙うが、グルサンデルはすぐに距離を詰めてクリンチへ。突き放してパンチを当てたフレイが、蹴りを多用するグルサンデルにあくまでもパンチを見せる。タイムアップと同時に右手を振り回して勝利をアピールするチャレンジャーだったが、最後の組みへの固執は判定負けした前回の試合を思い起こさせる。
アクションのあるラウンドは両者が攻め、攻められた1Rと3Rはグルサンデル。主導権争いの2R、4&5Rは前回同様にフレイが上手くまとめた形か。ジャッジの判断はスプリットでフレイに凱歌が挙がり、フレイがグルサンデルを返り討ち──インヴィクタFC世界アトム級王座初防衛に成功した。