【Special】挑戦、Evolve MMAトライアウト─07─中島太一が語っていたこと─02─「批判は承知」
【写真】負傷をおして参加したトライアウト。合否の発表はEVOLVE MMAのドキュメンタリー動画は配信されると同時に公とされる (C) MMAPLANET
今月9日(金・現地時間)から15日(木・同)までシンガポールのEvolve MMAで行われていたトライアウトに参加した中島太一の事前インタビュー後編。
今回のインタビュー直前に中島は12月9日(日)のPancrase302で組まれていた中原由貴戦の欠場をパンクラスに伝え、9日(木)に発表があった。
試合を回避し、トライアウトを受ける。「批判は承知の上」という中島の内面、試合で勝つための練習環境という想いを訊いた。
<中島太一インタビューPart.01はコチラから>
──中島選手は手塚選手と同様に12月のパンクラスへの出場が決まっています。試合があってもこのトライアウトを逃すというのは考えられなかったですか。
「トライアウトの申し込みは試合が決まる前にしていたので。トライアウトを受けるけど試合をする。そういう順序でした。トライアウトと試合の間隔は3週間あるので気にならなかったです。
コンスタントに練習し続けていましたし、1週間シンガポールにいっても何も変わらないという自信もありました。トライアウトを受けて、その間は試合用の練習ができないことで、試合の勝ち負けに関係するとか、そんな状況で格闘技を続けてきたつもりはないです。
何より中原選手のことを舐めているなんてことは一切なかったです。ただ、実はその試合なんですが、お断りさせてもらったんです……」
──エッ? それは……。
「練習中にとある箇所を少し痛めてしまい……治療をしてもらったのですが……その先生は評判も良くて、しっかりとした治療をされているので、本当に低い確率だと思うのですが、悪化させてしまい……試合に出られる状況ではなくなってしまったんです……。
治療以前はトライアウトに行っても、試合に出るつもりでいました。だから、凄く焦りましたし……回復するのか、それがいつになるのか。試合は決まっているので、この状況を伝えないと、回復を待てば待つほど……試合ができる状態に戻らなければ、色々な方に迷惑をかけることになります。
それなので一昨日にですが、パンクラスに伝えさせてもらったんです」
──それでトライアウトには出るのかという声は、当然のように挙がるかと思います。
「ハイ……。ただ、このトライアウトを逃すことはできなかったです。正直、まるで普通の動きはできないです。ばかりか、きっとトライアウトのスケジュールをやり切ることも難しいかと思います。
でも、この状況でも……俺はここまでできるんだということをアピールするつもりです。トライアウトは僕個人のチャレンジです。だから、正直──腕に力が入らない状態なんですけど、こんな状況でお金を払って試合を見に来てくれる人の前に立てないです。
この状態で試合をすることは、お客さんに失礼です。試合は本気で殴り合いますが、トライアウトはそうじゃない。もちろん、批判は承知のうえですがトライアウトと試合は違う。そこは分かってほしいです」
──万全でないと、トライアウトでも『こんなものか』と思われる可能性もあります。
「それはどうでも良いです。トライアウトは練習です。大切なのは試合でのパフォーマンスなので。もちろん、全力を見てほしいです。そこは……悔しいですけど、起きてしまったことなので後悔してもがしょうがない。やれることをやるだけなので」
──第2回トライアウトがあるような状況だと、今回受けなかったこともありますか。
「いや、今だと思います」
──では、この状況で受かる自信は?
「う~ん、50/50ですね。イヴォルブの人たちが『コイツは腕が使えないのか、話にならない』という感じで取り組みを理解してくれなかったらしょうがないです。ただ腕がこうでも、ここまでやっているんだと理解してくれると可能性はあると思っています」
──つまりケガもセールスポイントにすると。
「ハイ。そうです」
──その形振りを構わない状況は人間を強くするのかもしれないですね。
「あぁ、今そう言われるとそうだと思います。それは試合とかでも思い当たる節はあります。形振り構わない人は強いです。ただ、これ以上悪化させたくないという気持ちはあります。これ以上、悪化させると格闘技人生に影響が出るかもしれないので無理はしないです。今、できることをだけをやります」
──トライアウトに受かったとして、目標を実現させるためにどこで戦っていきたいと思っていますか。
「目指すは世界1位なので、今はUFCです。ただUFCにこだわっているのではなく世界1位にこだわっています。世界最強がベラトールだったら、ベラトールを目指します。ONEなら、ONEで戦います。そこにこだわっています。
そのためにパンクラスで戦います。パンクラスのフェザー級のベルトを獲ります。ONEと契約した4年前、パンクラスのタイトル戦かONEかという状況でONEを選択しました。『あの時、タイトル戦を採っておけば』とはよく言われました。そして、その機会がまた巡ってきているので、パンクラスのタイトルは獲っておかないといけないです。
僕はずっとパンクラスで戦ってきたので、世界に行く前にパンクラスのベルトを獲ります。トライアウトに受かり、環境を変える。その時が来たと思っています。そういう時期にこの話がきた。僕のためのトライアウトです」
──ではトライアウトに向けた意気込みをお願います。
「ハイ。こんな状況ですけど、今できることを精一杯シンガポールで見せて、絶対にこのトライアウトは僕が勝ち取ります」